第36話 勇者カミヤの暴言記
俺の名は、カミヤ。孤高の勇者にして、最強の男だ。最近の若けー奴らは駄目だ! なっていない、俺が頑張って魔物倒すしかない! すべて俺にかかっているのだ。ギルドのえれー奴らもそれがわかっているのか、面倒な仕事は押し付けてこない。後進の指導だとか、冒険者のまとめ役だとか。何が楽しいんだか。好きなやつが、好きにやれば良いんだよ。
だけど俺は、みんなの憧れ、羨望の的だ。俺がギルドに顔を出すと。みんなが遠くから、憧れの表情で見ている。良いんだよ、サイン位あげっからさー。
「げっ、カミヤだ。何しに来たんだ?」
「報酬の高い依頼持ってちゃうんじゃないの?」
「いやー。わたし目が合った」
「大丈夫? 子供出来てない?」
ザーマシティ冒険者が多い割に、強えー冒険者が少ないんだよね。勇者アオ達は、弱いし。賢者グレンは女の尻追っかけてっし。ゴトー君達は、完全に食材調達に熱中しているし。まあ、魔獣王ウーマ・ジョーこと、マスターだけは別だけどね。後、先生かな? 完全に謎だけど。あっ、そうだオサダさんもいた。
こうして、依頼を受けて魔獣退治にやってくる。今日の相手は……なんだっけ? まあ、いっか。全て吹き飛ばせばいいや!
俺は、孤高の勇者。全て1人でやっている。さあ、ちゃっちゃとやっちゃいますか!
俺は、聖剣を振り上げる。
「やめて、やめてください。まだ、人が、います!」
「なんだよ。まだ、避難してねーのかよ。早くしろよな!」
そして、今度は大丈夫かな? 魔物退治を開始する。聖剣を振り上げ、周囲一帯吹き飛ばす。
「わたしのわたしの家が〜!」
「馬が〜、牛が〜。おらたちの家畜が〜」
「フー、無事解決!」
「御苦労でした。では、気をつけて帰ってください、勇者様。村を建て直さないといけないので」
「ふーん、あっそ。それよりさ〜。俺、帰ったらすぐに1杯やりたいのよ」
「はあ」
「で、ちょっと財布ん中寂しくてさ〜」
「ですが、ギルドに報酬は、振り込みましたが」
「いや、そうじゃなくてさ。ほら1杯やりたいだけなのよ」
「わかりました。少々お待ちください」
俺の手に封筒が渡される。ちょっと軽いな〜。だけど、貧しい村だからしょうがないよね。
「申し訳ありません。村の復興に使うお金もありまして、僅かですが」
「ああ、いいよ、いいよ、あんがとね」
俺は、キャットハウスで、1杯やるために急いで帰る。
「確かに強いけどあれで、勇者なんて」
「はあ。さあ、みんな村の再建を急ぐぞ」
「はい、村長」
俺は、キャットハウスの扉を開ける。まだ、誰も来ていなかった。
「お疲れ様。マスター!」
「お疲れ様です。カミヤさん。飲み物何にされますか?」
「ビール頂戴! キンキンに冷えたやつね!」
「はいよ!」
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