1-53 スパーリング

唐突な前回までのあらすじィィィッッ!!



すれ違いからダリル絶対殺すウーマンに堕ちた幼馴染みロベリアとの闘い以降スランプに陥っていたダリルだったが、無気力表情系女子ストレリチアの熱血指導によりこれを解決ッッ!! 気分晴れやかにプルムのトレーニングに挑もうとするが協力者として現れたのはランヌでの因縁の相手、『バルバロッサ』のビスマルクと『破壊牧師』クロムウェルだった!!


だがダリルは寝ていたから覚えていないッッ!!


そしてプルムは焦る。もし、ダリルが寝ている間に勝手にカラダを使って稼いだこと(殴られ屋)がバレたら制裁されるのは明白ッッ!!


果たして男達の運命は如何にッッッッ!!!



──グランオルドル修練場



ビスマルクとクロムウェル、完璧な登場であったにも関わらず思いの外反応が薄いダリルを見て不安を募らせる。


「·····お前、もしかして覚えてないのか」



「····ああ、誰だ····?」


「「「········」」」


途切れる会話、気まずい空気、聞こえるは他の修練に励むグランオルドル隊員の掛け声····


その不穏な空気を破ったのは目をおさえ泣き真似をするプルムだった。


「·····お前ら、分かってくれ···· 相棒は、先の戦闘で一部の記憶を失っているんだ·····ッッ!!」


「ん? 何を言っているんだプルム?」


どう考えても無理のある設定、普通の人間なら一笑に付す話だが、


「!?···· 話を聞かせて貰おうか、プルム殿」


「ああ····」


「ん? 何でお前らもそんな話を信じる? というか誰だ?」


食い付いたッッ!!



───ダリルの悲しいロベリアとの闘いの話(かなり盛り気味)を始めて10分後


「──という訳で相棒はその現実に直視出来ず、自ら記憶を失ったんだよッッッッ!!」


悲しそうなふりをして壁を叩くプルム、悲しすぎる二人の運命を聞いて男泣きするビスマルクとクロムウェル、もうどうでもいいから早く修練を始めてくれと思うダリルの姿があった。


「くっ! そんな悲しい闘いがあったなんて····!」


「最愛の人に裏切られただけではなく殺されそうになる···· 恥じることはないダリル殿よ、この修練を通じて共に強く成りましょうぞ····!」


プルムの適当は話しでビスマルクとクロムウェルは納得したのであった。


「·····もう茶番は済んだか? さっさとトレーニングを始めるぞ」


「お、そうだな。ちょっと準備してくるから待ってろ」


勢いで何とか誤魔化せたと胸を撫で下ろしたプルムはリングの中央に人一人分位しか入れない魔方陣を書き始める。


「ところでアンタらは傭兵なんだろう? どうしてストレリチアの言い付けでここに?」


ダリルはビスマルクとクロムウェルに話し掛ける。


「俺もクロムウェルも、ストレリチアさんにはピンチを助けられた恩があるからな」


「ええ、他の傭兵の中でも私たちと同じ理由の者は少なくないはずですよ」


「? アンタらさっきの話を聞いてると国外から来たんだろ? 剣聖のあいつと何処で知り合ったんだ?」


「彼女、こっそりと定期的に西方世界中を武者修行で旅をしていて、道中で困っている戦士や勇者達がいれば助太刀に入ったり、助言したりするんですよ」


「実際、俺たち『バルバロッサ』最大の功績、ホワイトドラゴン討伐もストレリチアさんがいなければ達成出来なかったしな!」


「なるほど、世話好きは昔からと言うわけか」


共通の話題で盛り上がる筋肉モリモリマッチョマン達、よくよく話してみると趣味と趣向が似ておりプルムを待っている間、三人は話に花を咲かせるのだった──


 

───五分後



「よし! それじゃあ今夜三人でその店に呑みに行こう、俺の奢りにしてやるよ! 分かったなダリル、クロムウェル!!」


「フ、この緊急事態下でやっているかどうか分からんが悪くないな」


「フフフ、ダリル殿がこんなに話しやすかったとは失礼ながら意外でしたよ」


そして目茶苦茶仲良くなった!! 早速呑みに行く約束をするほどに!!


「······随分と仲良くなったみたいだけど準備出来たから三人ともリングに上がってくれ」


手招きされると三人はプルムのいる5メートル四方程度のリングへと上がる。


「とりあえず相棒はこの魔方陣の上に立ってくれ」


言われるがままに魔方陣の入ったら体がずっしりと重くなるのを感じ始める。


「体が鉛になったような感覚だろ? コイツは元々拘束魔法として作った奴でな、普段の五倍近い重さを感じるだけじゃなく魔方陣の外にも出れないようにもなっている簡易牢獄みたいなやつだ。あ、流石に相棒が本気だしたら普通に破れちまうから辞めてくれよ」


プルムは更に説明を続ける。


「相棒はこれからこの二人と交互に3分×20本のスパーリングを休憩なしでやってもらう。但し相棒は理合や身体強化魔法を使用せずその魔方陣からも出てはいけない、二人はバリバリ身体強化魔法を使ってくれて結構だ。それと、セット間に休憩と治療を挟みながらだけど1日4セット目標だから、そこんとこヨロシク」───

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