第82話 ノアの学校生活?
「う~ん」と頭を抱えるノア。
「それで? どの部活に入るか決めたの?」
「ぜんぜん、そもそも休憩時間ごとに勧誘が来るから何の部活が来たのか覚えていない」
「本当に大変そうね」
「なんで、私の所は体育系でルナちゃんの勧誘は文化系なの?」
「それは、貴方の方が……その……活発そうに見えるじゃない」
「ん? なんで言い淀んだのかな? 言葉を選んだのかな?」
「いやねぇ、私は貴方の事をアホの子だなんて思っていないわよ」
「はぁはん! 語るに落ちたってやつだね!」
「ところで、さっきから貴方と違って優秀な従者が見えないけれども、どうしたのかしら?」
「いちいち、引っかかる言い方だけど……まぁいいや。うちのメイドちゃんなら、学園の部活情報を集めにいってるよ」
「……そう。本人が貴方に使えるのを凄く喜んでるみたいだからいいけどね」
それから、思い出したかのように――――
「それじゃ、朝に勧誘に来ていたアルシュ先輩の魔剣研究部はどうかしら? 学園で一番人気の部活よ」
「う~ん、魔剣にはちょっと思い入れが深いのよね。それに私は剣が使えないわけで」
「剣が苦手な人でも剣を使えるようになれるための部活だと思うけど?」
「そうかなぁ? 走れない人が走れるようになるために陸上部に入らないと思うけど」
「陸上部?」
「あぁ、私がいた世界であった部活動だよ」
「私がいた世界!?」
「なんか、さっきからオウム返しになってない?」
「えっと……その……? 聞きにくい事なんだけど、それに言いたくないなら答えなくてもいいのだけど……」
目線と左右に忙しなく移動させるルナ。 ノアは「?」と疑問符を浮かべるだけでルナの言いたい事がわからない。すると――――
「お嬢様は転生者ですよ。心配しなくても隠してたりしません」
帰ってきたメイドリーが助け船(?)を出した。
「あら? メイドちゃん。おかえりなさい」
「はい、ただいま戻ってまいりましたノアお嬢様」
「え? えぇ? ちょっと待って! ノアは転生者……じゃ実年齢は?」
「もちろん、ヒ・ミ・ツだよ!」
「ち、ちなみに、ちなみにだけど……元の性別は? もちろん女性だよね」
「ん? いや、そう言えば昔は男だったわね」
「――――ッ!?」とルナは感情を爆発させた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ルナちゃん落ち着いた?」
「えぇ、ですがノアさんにはわかりませんよ。学園で初めてできた女友達が男性だった時の気持ちなんて」
「私たちズッ友だよ!」
「うるさいですよ!」
「むっ~ 男性って言っても前世の話だし、正直に言うと成長と共に精神が体に持っていかれているって言うか~」
「まぁ……まぁ、別にノアさんが殿方であっても私は、どちらかと言えばそっちの方が都合が良いと言いますか……ごにょごにょ~」
「ん? んん?」
「お嬢様いけません。ルナさまからラブコメの波動を感じますので離れましょう」
「え? ちょっとメイドちゃん!? なんで私を抱きかかえているの!」
「失礼しましたお嬢様。あの波動、ラブコメの波動に飲まれると非常に危険ですので」
そんなこんなで放課後。
「それじゃ、さようなら!」と教室から出ようとするノア。 しかし――――
「ノアさん、お約束通りに迎えにまいりました」
そういうのは魔剣研究部のアルシュ先輩だった。
「えっと~ 失礼ながら、どういった約束だったかしら?」
「はい、朝に訪れた時に見学にお誘いしましたので」
「えっと……」とノアは朝の会話を思い出す。
『まずは見学にいらしてください』
『はい、では機会があれば……』
『それでは、また誘いに来ますね』
(……まさか、この会話を本気に!? それも当日!?)
そんなノアの内心を気づかぬようにアルシュ先輩はエスコートを始めた。
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