エロげーの悪役令嬢に転生した俺は凌辱END回避のために世界最強を目指す!
チョーカー
ノア幼年期編 師匠の達人たち
第1話 プロローグ 決勝!! 対関羽戦!?
「―――っせ! ――――っせ! ころっせ!」と殺伐とした観客たちの声。
彼女―――あるいは彼は、両耳に手を当て、殺意を帯びた声援をBGM代りに聞く。
「……良い音楽だ」
こうすると不思議と心地よく精神は落ち着くのだが……観客たちは彼女の恰好を挑発行為と捉え、ボルテージが上がっている。
彼女の名前はノア。
ノア・バッドリッチだ。
額の傷を隠すように赤いハチマキをつける。
拳には、かなり乱雑に
誰が彼女が貴族の家柄に生まれたお嬢様だと信じよう……
ノアが令嬢だった事を示すのは、薄汚れたドレスだけだ。
だが、それは戦闘服であり、長い
ノアは、とある理由から、自ら意思で奴隷に堕ちている。
信じがたい事に彼女は、奴隷商に行き、自らを売ると同時に大金を渡した。
奴隷となった自分を自分で購入したのだ。こうして解放奴隷あるいは自由奴隷という立場だけを手に入れた。
目的は、ここ――――地下闘技場。
奴隷が素手で戦う場所だ。――――いや、参加者の全員が奴隷というわけではないのだが、
ノアのように、他の目的がある人間が集まってくることは否定できない。
そして、今日は地下最強決定トーナメントの最終日。
ノアは決勝まで勝ち上がり、相手を待つ。
そして、対戦相手が現れた。
2メートルを超える長身。 黒く美しい髭が貯えられている。
伊達ではない―――― 美髯公と言われるあだ名。
そう今宵、決勝でノアが戦う相手は、
中華は三国時代、武神と謳われた伝説の武将 関羽である。
上半身は裸。 カンフーなどで使われるようなズボン。
靴は履いてなくて素足だ。
いやいやいや! なぜ!? 関羽!?
と不思議に思う者もいるかもしれない。だが、ここは異世界。
世界の危機が訪れたたびに異世界から武道武術の達人たちを召喚してきた。
あるいは、前世で徳を積んだ偉人たちも当然のごとく転生している。
そう、ここは異世界なのである。 だから……強者たちは、ここにいる。
向かい合うノアと関羽。
「ハジメ!」とレェフリーが試合開始を告げる。
じり…… じり……
じり…… じり……
互いに慎重に間合いを詰めていく。 先に攻撃を仕掛けたのは――――
当然、リーチの勝る関羽だ。
(左! ―――疾い!?)
被弾を許して、後ろに下がるノア。 二撃、三撃と続き――――
右ストレート!
(ワンツー? なぜ、関羽がボクシングを!)
関羽の打撃を腕で受けるが、それは骨まで痺れるほどの威力。
だが、それで止まる関羽ではなかった。
(タっ……タックル!)
パンチで意識を上段に向けさせてから、下半身へタックルを狙う。
長身の関羽が繰り出すタックル。長い、長い腕で足を取られれば、一気に倒される。
「けれども! こうだ!」とノアは奮い立たせるために声を出す。
関羽の首を抑え込み、タックルの突進力を逸らす。
上からの圧力で四つん這いに倒れていく関羽。 その顔面に―――
「膝蹴りをぶち込む!」
木の枝が折れたような音が聞こえてきた。
パキッ!とか……
ペキッ!とか……
鼻の軟骨が折れた時に、こんな音がするのだ。
だが油断してはならない。 優秀なレスラーは上から潰されても、相手の足に手が届けば、そのまま仰向けに倒す事ができる。
後ろに飛ぶように離れるノア。だが、関羽の腕が伸び足首を掴み取る。
「――――ッ!?」と焦りの表情が隠せないノア。 無理やり、蹴りを放つようなモーションで関羽の腕を振り払う。
再び、対峙する両者。 関羽の鼻から一筋の血が垂れるが気にした様子はない。
「そうか……」と呟くノア。
「三国時代……その遥か以前からイタリアと中国は貿易していたんだっけ? 小学校の時にシルクロードって習ったのを失念していたぜ」
シルクロード。
諸説は様々だが、紀元前2世紀から紀元後16世紀に貿易をしてイタリアと中国を結んでいたルートである。
そのルートにはギリシャも含まれている。
ならば、武神と呼ばれる関羽。
ギリシャの格闘技であるボクシングもレスリングも当然、習得しているはずである。
「――――いや、正確にはパンクラチオンって所かな?」
「フン」と肯定するように笑う関羽。
「正解だ。それで、そちらの流派は?」
「俺は――――
李書文を師に八極拳を
武田総角から御内式を
前田光世から柔術を!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます