王宮のシュウシュウ
豊穣を願う祭事が幾年かぶりに開催されるということで、シュウシュウも王宮から離れて初めて王宮に戻ることとなった。
そこに砂琉璃も呼ばれているとはシュウシュウは知らないでいた。何より、シュウシュウは砂琉璃はもう既に亡くなったと思っていたのだった。
その情報はもちろん誤りであった。ガンムが落馬したという話が途中、ガンムの名が砂琉璃となり、ガンムも無事であったがシュウシュウの側で、寺院に来ていたハクが「大将軍が落馬して亡くなった?砂琉璃か」と言ったのだった。
その一言をシュウシュウは耳にしてしまったのだ。
ハクはシュウシュウが聞いていることを知らなかった。
シュウシュウは真っ青になり、そのまま床へふせ、二日ほど高熱を出した。多英はそれはそれは心配したが、シュウシュウは三日目には本人の心とは反対に体が回復していった。
だから、シュウシュウは砂琉璃の凱旋を知らなかった。
寺院にて黄連を看病し、そして弔い、黄連の残された家族と寄り添う静かな日々だった。シュウシュウはその生活に馴染んでいた。どこにも行きたくはなかったが、王の命令の為に王宮へ行かざるを得なかった。
多英や葉月は喜びシュウシュウを飾り立てた。そして数年ぶりに王宮へ向かった。迎えにきたハクと黄連の息子ジーマを連れて立派な行列だった。
「慈恵安太婦人」
豪華絢爛の王の待つ部屋で名を呼ばれ、王の前へと向かう慈恵安泰婦人ことシュウシュウを第一婦人達はもちろん、王も目を見張った。王も婦人も、シュウシュウは深手を負い、やつれた容貌だと思っていたのだ。
だが、シュウシュウの美貌は増しており、王宮とは離れた寺院での活躍に自信をつけたシュウシュウはより一層磨き抜かれていた。
そして慈恵安太婦人の活躍を王宮の者はみんなが聞いており、王はシュウシュウを労い褒め称え、大臣達も深く頭を垂れた。
第一婦人の璃々は苛々したものの、璃々はこう思った。彼女の活躍は男のものと同様だと。何の魅力もないと自分を抑えた。
「ふん、どんな活躍しようと一介の兵士と同様だわ。私が気にするまでもない。どんなに若く美しかろうが、王はもうあの女には手を出せまい。祭りが終わればとっとと帰るがいい」
凛々はそう心で呟くのだった。そしてにっこりと堂々と笑ってシュウシュウに頭を下げた。第二婦人のパナンは心からシュウシュウの回復と活躍を喜んでる様子で頭を下げてシュウシュウに活躍のお祝いを言った。
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