受付嬢女神


受付に女神がいた。正確には女神のようなものだ。

あの女神はロリだったがこっちの女神はお姉さんだ別人だろう。たとえ小さくこっちへ手を振っていようと別人だ。


『早くこっち来なさいよ』


念話のようなものが届いた。ガチもんの女神だったようだ。


「ようこそ港町ルードルへ!ご用件をお伺いします」

「チェンジで」


反射的にそう答えてしまった。

女神は頬をピクピクさせながらも笑顔を絶やさず、かつ俺にしか聞こえないように「ぶっ殺すわよ」と言った。

コイツが言うとシャレにならないので素直に謝っておく。


「俺は旅人だったのですがこの町で店を営みたいと考えているのですがしばらくは田舎から持ってきたものを売って過ごしたいと思っていまして」

「なるほど。では最初はどこかで宿をとって、町での露店から始めるのがいいと思います」


こんな感じで白々しい会話をする俺と女神だった。


それから少しして組合の受付嬢である女神が町を案内してくれることになった。


「それで?お前は何してんだ?」

「あんたの手伝いよ。店を持つのだってホントは大変なんだから」

「それもそうか」

「そうよ。で、まずあんたはここでの家を買いなさい」

「さっき宿って言ってなかったか?」

「受付ではああ言わなきゃいけないのよ」

「そういうもんか。でも家を買う金なんてないぞ?」

「あるわよ。あんたに渡して袋に金貨10枚入ってたでしょ。金貨10枚が平均的な市民の年収よ」

「まじか」

「まじよ。今日は時間もないから宿に泊まりなさい。明日色々準備するから」

「了解だ。明日も組合に行けばいいのか?」

「別に来なくていいわ。私が迎えに行くから」

「ん?でもお前一応組合の職員なんだろ?」

「今日だけよ。だから来なくていい」

「?その割にやけにしっかりできていたような....。。さてはお前やってみたかっただけだな受付嬢」


俺が指摘すると視線を逸らす女神。

それをニヤついた目で見る俺。

女神は俺が視線でバカにしているのに気付いた。


「いいでしょ別に!!やってみたかったのよ!?悪い???!!!」


キレる女神を見て俺はこらえられなくなり吹き出した。


女神は笑う俺をみて更に怒った後宿への地図を渡してどっかへ行ってしまった。

俺はその地図を頼りに【青藍の海辺亭】という宿に来ていた。

格好のいいおばちゃんが出迎えてくれる。


「いらっしゃい!」

「とりあえず1泊お願いしたいのですが」

「あいよ!素泊まりなら銀貨1枚。飯が欲しいなら朝夕で3枚だよ!」

「では飯付きでお願いします」

「あいよ!部屋は2階でこれがカギだよ。宿を出る時は一時返却がうちのルールさ。風呂はないから入りたきゃ銭湯にでも行くといいさ」


おばちゃんはそう言って鍵を渡してくれる。

俺はまず部屋に入ってベッドに飛び込んだ。

持ち物の確認やこれからの事を考えようと思っていたのだが、なんだかんだで疲れていたのでそのまま寝てしまった。

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夢を見た。俺の葬式をやってる夢だ。もうしばらく会っていなかったが親父やお袋。高校生の妹のユメ中学生の弟の幸喜。幼馴染の俊介と青葉。皆泣いていた。


目を覚ました俺は本当に死んだんだという事を実感した。

今はただただ家族に申し訳ないと思う事しかできなかった。

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どれだけ悲しくても腹は減る。

部屋の備え付けの時計は8時を指していた。寝たのが5時頃だったので昼寝としてはいい時間だろう。

俺は飯を食いに宿の食堂に向かった。


食堂はそこそこ混んでいたがカウンターの席が空いていたのでそこに座る。

すると定員さんが注文を聞いてきたので日替わり定食というものを頼んだ。


日替わり定食はサバみそだった。この世界でもサバはサバらしい。めちゃくちゃ旨かった。

食後に酒があったのでちびちび飲んでいるとふと端っこのテーブルが気になって視線を向けると3人の男がいた。うちの一人目が合ってしまったのですぐに視線を外し俺は部屋に戻った。


「おい。今カウンターにいたやつこっちをじっと見ていやがったぞ」

「あ?そりゃほんとか」

「あぁ、気づかれては無いだろうが気を付けた方がいい」

「そうだね。今日はこのくらいにして部屋に戻ろうか」

「ああ、本番は明日だからな」


そういって3人の男たちも部屋に戻っていった。

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