第41話 破壊の震源
セリスは自身の右腕を上げ、玉座の間の天井を覆い尽くすような巨大な魔法陣を展開した。その魔法陣から幾多の黄金の柱が床に突き刺さる様に出現した。
「神聖なる世界を知るがよい。」
セリスの放った言葉と共にその場の全ての者の視界が眩い光により真っ白になった。
一ノ瀬が光に慣れながら目を開けると、そこは雲にたった一人で降り立つ光の世界が広がっていた。暫く目の前の光の世界を眺めていたが、雲の上で周囲を見回していた視界が暗転し、元の玉座の間に情景が戻った。
「え?今のは?」
一ノ瀬が言葉を発した時、そこには予想しえない光景が広がっていた。暫く先程の光が視界を支配しており、徐々に視点が合っていく一ノ瀬が見たものは、黄金の剣がロゼッタの胸を貫いている光景だった。
「、、、、、、、、????、、、、、!!!!!!?」
一ノ瀬は見覚えのあるその剣に貫かれたロゼッタを眺めながらいまだ複雑に入り組んだ思考を正せずにいた。
「、、、、ロ、、、、ロゼ?!、、、なん、、何で?うぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
狂乱した一ノ瀬は叫び声を上げながら膝から床に伏した。光を灯して無いロゼッタの瞳は、一ノ瀬の叫びを知らずに居るようであった。
「、、、ほう?それがソナタの持つ魔法か?」
セリスは魔族の王に問いかけた。玉座の間でアドルフを除き意識のあるセリスからの問い掛けに何かを確信した魔族の王は口を開いた。
「この魔法に打ち勝つとは、黄金卿の名はまことなのだな?かつてこの世界を滅びに導いた召喚者たちを封じた者の名は伊達では無いな。」
魔族の王の言葉にセリスは再び問いかけた。
「再び生を受けたわらわは力を半減までいかぬでも弱まっておる。時期に二度目の死に至ろう。しかし、ソナタは大きな誤算をしておる事をまだ理解しておらぬのか?」
「、、何の話だ?」
セリスの発言に魔族の王が詰め寄る。その間、アドルフは何も構える事もせず静かに意識を飛ばす一ノ瀬を注視していた。
「かつてのわらわ【達】が束となっても封印しか出来なかった者達より、遥かに桁違いな者の存在を認識できぬソナタには同情のしようが無い。時期に起こる事態にこの世代の覇権を握るソナタ等がどのような立ち回りをするか?わらわは楽しみにしておこう。」
「「?!」」
セリスの言葉の後、アドルフの目線の先から柱の様に昇る膨大な魔力が発せられた。魔族の王が視線をアドルフと同じ様に定めたその柱の中心には、意識や理性を失った一ノ瀬が静かに立っていた。その姿を見ながらセリスは呟いた。
「かつて召喚者を封印した【戒めの書】。名を変えたこの代の呼び名は【魔導禁書】。その書物を使用した者は命までも魔力に変化させ魂を対価に術を発動させる。だが、膨大な魔力を使役し、全ての術を使用する事の出来る召喚者が世界を導くとする。その者の名を【全知の魔術師】と言う。わらわが出来る事は主殿の側に寄り添い、大切な者を守る事のみであるな。」
セリスは語り終えた後、自らの所持する魔導禁書を取り出した。その書物は鈍い光を灯しながら、一ノ瀬の元に引き込まれてる様に浮かんでいった。一ノ瀬の目前にたどり着いた時、眩い光と共に書物は開かれた。
玉座の間から放たれた魔力の放射は、その部屋の壁や天井を破壊し、昼間のような光をバレット王国に降り注いだ。そんな中、セリスと二人の王は、魔法陣を展開させた。
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