家出物語（仮）

おまけ・本編完結記念反省会

ユニラテラ王城・某一室にて。セクティア＝セ／スヴェイン＝ス　でお送りします。

ノリしかありません。ご了承の上、お読みください。

セ）いやぁ、お疲れ様～。というわけでカンパーイ！

ス）待て待て待て待て！　何勝手に「お疲れ様会」にしようとしてるんだっ

　　どう考えても「反省会」だろーが！

セ）反省会？　結婚式もお披露目もちゃんと出来て、万々歳じゃないの

ス）何が「ちゃんと」だ！　こっちがどれだけ苦労したと思ってる！？

セ）？？？

ス）式はともかく、お披露目の席なんて途中から魂抜けてただろ

セ）……あれ、気付いてた？

ス）明らかに死んだ魚みたいな目をしてるのに、気付かないわけないだろうがっ

セ）だって次から次に挨拶させられてさー。みんな同じに見えるんだもの

　　ドレスとか宝石なんかが煌びやか過ぎて目がチッカチカしたし

ス）子どもかっ！　適当に返事するお前のフォロー、大変だったんだぞ！

セ）ぶーぶー。夫婦は助け合うものじゃないのよぅ

ス）助け「合って」ないし。……はぁ、お前、ちっとも成長しないな

セ）なに、喧嘩売ってる？　なら買おうじゃないの

ス）どこのチンピラだ、どこのっ

セ）というわけでカンパーイ！

ス）だから勝手に進めるんじゃない！

　　大体、紅茶と焼き菓子で「乾杯」っておかしいだろ！

セ）だって、シンに「スヴェインと二人きりでお喋りしたい」ってお願いしたら、

　　こうなっちゃって――

ス）ちょっと待て。くっそ、どこから訂正して良いか分からん……！

セ）そうね、ちゃんとお酒を頼めば良かったわ。あとおつまみ！

ス）そこじゃない！　むぐっ！？（クッキーを口に突っ込まれる）

セ）ほら、犬の飼い主みたいに「待て」を連呼してないで食べましょ。

　　うーん、美味しい！

ス）むぐむぐ！　こら、どんどん口に投げ込むんじゃないっ

　　にしても、一息つく間もない、酷い話だったな。滅茶苦茶疲れた……

セ）酷い？　楽しいの間違いでしょ。こーんな可愛い奥さんゲット出来たんだから

ス）あ？

セ）幼馴染みとの衝撃的な再会！　蘇る過去！　燃え上がる恋の炎……！

ス）異議あり！

セ）異議？　あぁ、恋の炎はむしろこれからってこと？　もう嫌だなぁ。

　　スヴェインったら、恥ずかしいじゃない

ス）恥ずかしいのはお前だっ！　「衝撃的な再会」はある意味認めるとして。

　「蘇った過去」は恐ろしいトラウマだったし、「恋の炎」なんてあったか！？

セ）えー、うっそ。あんなにバチバチ燃えてたのは幻だっていうつもり？

ス）それは怒りの火花であって、断じて色恋の類じゃない！

セ）熱く見つめ合って

ス）睨み合ってたんだ

セ）私に力強く触れたじゃない

ス）頭をはたいたんだ！

セ）……ちっ

ス）おい今舌打ちしただろ。この不良王女、いや今となっては不良妻か

セ）ひっど！　あんまり言うと訴えて慰謝料取るわよっ。弁護士を呼べー！

ス）受けて立とう。絶・対、俺が勝つがな

セ）むきー！　（カンッ）

ス）うわっ、足を踏むな！　しかもそんな高いヒールでっ

セ）ふん、貴方の愛する美しい妻からの愛情表現よ。素直に受け取って？

ス）足に穴が開くような愛なんて受け取れるかっ

セ）……もう、そんな目くじら立ててたら皺になるわよー（クッキーぼりぼり）

ス）そうなったら２０００％お前のせいだからな（ばりばり）

セ）（紅茶を一口）あ～美味しい。色々なことがどーでも良くなってくるなぁ

ス）（同じく一口）……既に十分色々と投げ出してる奴が言うなっての

セ）とにかく、ちゃーんと頑張ってあげるから。任せなさいって♪

ス）不安だ。とてつもなく不安だ

セ）だから、たまには一緒に遠乗りしてよね

ス）え？　あ、あぁ。たまには、な

セ）えへへ……

ス）な、なんだよ急に……

セ）良かった。スヴェインなら、そう言ってくれると思って

ス）え？

セ）お揃いの乗馬服と帽子、注文しといたのっ

ス）乗馬服と帽子？

セ）帽子はもう出来たんだ、ほらこれ（がさごそ）

ス）……それは馬面の被り物だろ。誰が被るかこんなもんッ！

セ）面白いでしょ？（すぽっ）　似合う？　でも前が見にくいかも……？

ス）気付くのが遅いっ。ウチの税金でなんてモノ作ってるんだお前は。

　　待てよ？　帽子がコレってことは、服はどんなデザインに！？（ガタッ）

セ）えっ、ちょっとスヴェイン？　どこに行くのよー？

ス）早く止めないと大惨事間違いなしだ！（走り出す）

セ）ちょっと待ってってばー！（追いかける）