第103話 問題を取り除くために
イディオットにエーデルハイド、リゲルとクワイエットさん
俺の父さんにシグレさん、そしてクローディアさんさ
『ニャハハン』
ギルハルドは、天井で寛いでいる
言っている意味は分からないだろうが、張り付いてゴロゴロしているんだよ
意味が分からない…重力とか無視だぞ?
それに慣れてくると、俺は深呼吸をした
立派な長テーブルに全員が座り。静寂が重くのしかかる
シグレさんが不気味な笑みを浮かべてリゲルとクワイエットさんを見ている
多分この人、以前遭遇した時の話をティアから聞いているかもしれん
『シグレ、暴れたら追い出す』
『わ…わかってますよゲイルさん』
よし、父さんナイス
ちょっと緊張するけど。リゲルとクワイエットは普段通りリラックスムードだ
クローディアさんは頬杖をつき、俺に向かって真剣な顔を向けてきた
何を考えているのだろうと詮索していると、俺じゃなくテラ・トーヴァが話した
《リゲル、俺の想定通りに結果が出ればお前の求める情報を教えてやる》
かなり威圧的だ、声がそう感じる
しかしリゲルは顔色一つ変えずに懐から小石サイズの魔石を取り出し、テーブルに乗せる
あれが連絡用の魔石、リゲルはそう説明してくれた
『これで直接ロイヤルフラッシュ聖騎士長と会話できる。悪いが最初は口を開くな?こっちで進める大事な話もあるし隠語もあるんだ。あの人が重役といた場合、バレるからな』
クローディア
『隠語ね。あのバカが1人だとわかれば進めれるわけね?』
『ああそうさ。』
『リゲル、元五傑だよ…敬語』
クワイエットさんはヒソヒソ声でリゲルに駄目だし
どうやらリゲル達はその事を聞いていたようだな
アッとした顔を浮かべたリゲルは頭を掻き、正したんだ
『そうですね。一応今日連絡しますとは言っておいたんですけども急な指示があった時は近くに誰かいるという事もあるのでね…じゃあ連絡しますからね』
シエラ
『心の準備してない』
『誰がお前らの準備を待つんだよ』
シグレ
『僕の準備も待たないのかい?』
怖い
腕を組んでニコニコしながら首を傾げるシグレさん
なんでつっかかったのか意味わからん
俺の父さんに脇を肘でどつかれているから大丈夫そうだが…
リゲル
『あんた勿体ないな。警備兵よりも聖騎士が似合うぜ?』
『間違って君をボコボコにしちゃうと思うけどもいいのかい?』
リゲルはティアに疲れた顔で助けを求めている
昔の事は今は関係ない。ティアが止める前に、やはり俺の父さんがシグレさんの頭にゲンコツをすると、大人しくなった
気流石父さんのゲンコツだ
ティアマト
『こっちゃいつでもいい』
アカツキ
『俺もだ…最初は黙って聞いとくよ』
リゲル
『黙ってないと困る』
彼はそう言いながら、魔石に僅かな魔力を流し込むと発光し始めたんだ
『アー、アー』とリゲルがテストをしていると。魔石から久しぶり過ぎるあの声が聞こえてきたんだ
『リゲルか?状況はどうなっている』
ロイヤルフラッシュ聖騎士長だ
俺達は険しい顔になるが、クローディアさんの額には青筋、怒っているようだ
クワイエットさんがクローディアさんを見てちょっと動揺している
しかし、リゲルは話を進めた
『ロイヤルフラッシュさんの好きな冒険者チームですが。今話せますか』
『今は自室だ。大丈夫だ…盗聴もない』
『なら隠語無しでいいっすね?』
『うむ。話すがよい』
『その前にロイヤルフラッシュさんに言いたいことがあるんすよね』
『どうした?』
『ごり押し作戦はどちらかが潰れちゃいますよ?スキルを安全に活用するならばお互いの損得勘定をするべきだと思いませんかね』
『貴様!何故スキルの事を!』
凄い興奮してる
俺達はすっごい緊張し、体が強張るけども
リゲルは溜息を漏らし、呆れた顔で淡々と話を続けた
『その感情的な反応怖いんでやめてもらえないっすか?じゃないとロイヤルフラッシュさんの理想通りにならないんですよ。こっちは任務が完了できるかはそっち次第なんす』
『俺次第だと?貴様何故スキルを知っている?』
『色々スキルを狙う輩がいてですね、世界騎士イグニスもそうでしたよ?』
『やはりあいつもか…!』
『長話はやめましょ?ロイヤルフラッシュさんからは重要人物であるアカツキの連行、それはアカツキ本人と接触して話を聞いたんですよ。双方に利益の為に動けないかってね?』
『お前…何を動いたのだ?』
『ロイヤルフラッシュさん?スキルを活用したい。それだけですよね?』
『…その通りだ』
『今彼らも一緒にいますよ。スキルを知るグリンピアの人間全て。勿論クローディアさんっていうあなたの古い知り合いもいます』
『なにっ!?』
声がデカい、耳が痛くなりそうだ
リゲルは耳を多少抑えながら話し出す
『だから興奮したら駄目ですよ。アカツキ本人に代わりますよ』
『ちょっ!お前!何故そんな展開になっ…』
ゴロゴロと長テーブルに魔石を転がして俺の前で止まる
話すのかと思うと、荷が重い
隣のティアが俺の手を握っているのがせめてもの救いだな
でもやるしかない
俺は深呼吸をすると。魔石から声が聞こえた
『アカツキか?』
『俺です。あなたのしたい事に協力しますが頼みがあるんです』
『…まずは聞こう』
『スキルを狙う奴に狙われています、微弱ながらでもいいので協力していただきたい』
『なるほど、損得勘定とはそのことが…互いの利益に見合う交渉。』
『一先ず今まで何があったか下手なりに話します』
俺は時間をかけてロイヤルフラッシュ聖騎士長に話したのだ
長いといっても10分くらいか、その間、彼は無駄口を開かなかった
『あなたはスキルを奪われたくない筈です。でしたら協力しますので助けてほしい』
『よかろう』
驚いた
こんなすんなりなの!?夢じゃないのか!?
ちょっと動揺をしていると、リゲルは呆れた顔を俺に向けてくる
そんなに俺の驚いた顔が駄目だったのか?
『ルドラにも教えたのか?』
ロイヤルフラッシュ聖騎士長がため息交じりに話すと、リゲルが椅子を立ち上がり、俺の横に来て話し出したのだ
『まだです、仲間だからと無暗に教えるのもあれですから』
『確かに』
『てかロットスターさんが知ってるのが問題っすよ。まぁそれは省いて話しますが、結果はスキルの活用ならどんな形の関係でも問題はないっすよね?ですよね?』
『ああ問題ない。それにアカツキといればイグニスが現れるか…好都合だ!』
『先ずは友好を気づくためにお互い話した方が良いんですが…こっちの条件は少しロイヤルフラッシュさんからしてみればちょっと…』
『どうしたリゲル?話してみよ』
そこで声を出したのがクローディアさんだった
『馬鹿黒豹、あんたからグリンピアに来なさい…さんざん怖がらせたでしょう?謝罪からしなければリゲルの話に私は乗らないわよ』
『ぐっ。やはりお前はいると思ったが…致し方ない。我もスキルがグリンピアにあると予想し、目の前に現れて高揚していた』
『あら?反省出来るようになったの?』
『いちいち一言がツクる女だな。12の月の中旬に向かう』
『変な部下は連れてこないようにしなさい、知られる人間が増えると困るわ』
『お前の妹を付き人に連れていく』
『あんた卑怯ね!』
『ぐはははは!スキルの事は秘密にしておくさ!数年ぶりであろう?お前を憧れて五傑になったのだ!姉に会えるぞと言えば尻尾を振るだろうな!』
クローディアさんの額の青筋、凄い
というか五傑?どういうことだと思うが…
ロイヤルフラッシュ
『細かい日時はリゲルとクワイエットに伝えるよう、グリンピアに滞在させる』
リゲル
『これ結果出せたら色々話を聞いてもれますよね?』
ロイヤルフラッシュ
『約束だからな、12の月…成功したら俺に願いを言うが良い…昇格ならば難しいがな』
リゲル
『あの…ロイヤルフラッシュさん?』
ロイヤルフラッシュ
『なんだ?』
リゲル
『俺達滞在は別にいいんですけど…金ないんですよ。経費でこっちに流せません?』
ロイヤルフラッシュ
『お前ら自給自足は得意だろう?我慢しろ。他の者には撤退連絡をしておく。頑張れリゲル、クワイエット』
ブツッと切れると、アッとリゲルは囁く
『面倒くさがり聖騎士長め…』
クローディア
『今更気づいたの?遅いわよ』
シグレ
『まぁでも良い方向に向かいそうだね』
《これで敵が味方になるな》
リゲル
『もしそうなったら教えろよ神さんよ』
《お前の知りたい過去を全て教えるわけじゃねぇぞ?自分で見つけろ?俺はヒントを与える。起きたこの星の過去は全て神である俺は知っているからな》
リゲルは満足そうに椅子に戻し、座ると深くもたれ掛かる
結構安心してるよ、お堅い性格じゃなくてよかった
ティアが嬉しそうに俺の手を両手で握り、ブンブン振っている
痛い…けど我慢だ
『いい感じだねアカツキ君』
『もしロイヤルフラッシュ聖騎士長も協力してくれるならばかなり安心できる』
父さん
『あいつが来たら俺も同席するぞ?』
クローディア
『またここを使う事になるわね』
シグレ
『僕も来るさ。それにしてもスキルでこんなに争うってなんだか悲しいね。普通に過ごす方が楽しいのにさ』
クワイエット
『僕もそう思うんだけどなぁ。美味しい食べ物食べれればいいよ』
リゲル
『俺は普通の生活してみたいね。家も家族もいないからそんな気分を味わってみたいさ…スキルは魅力的だが興味ねぇ』
クローディア
『孤児だったの?』
クローディアさんが食いついた
リゲルは自分の身に降りかかった不幸を口にした
その話はイディオットしかしらないからエーデルハイドも驚いて聞いていたよ
リゲルは物心覚えた時から身内は母親だけ
小さな村で小さな幸せを感じて生活していたが、そんな彼の村に魔物が入り込んでしまい。幼きリゲルを狙って襲い掛かった魔物を守るために母親がかばって亡くなってしまったんだ
普通に聞けばただの事故
しかし、彼はそうじゃないとわかった
聖騎士が訓練の為に村の外にいたことを彼は調べたんだ
でも事故の記録は村にも残されず、なかったことにされた
それが可笑しすぎるとリゲルは思い
真実を知るために聖騎士に入団するために強くなったらしい
クローディアさんは彼の不幸を聞き、とあることを教えた
クローディア
『昔、魔物の生物兵器実験として調教兵がいたことがある』
リゲル
『調べたさ…魔物騎士だろ?』
クローディア
『それは表上よ。もともとは聖騎士会の中の部隊だったってのは知らないようね?』
リゲルは驚愕を浮かべ、椅子を立ち上がる
かなり興奮しているようだが、クローディアさんは『それ以上は知らないわよ?』と言うと彼は静かに座った
『あれは聖騎士の中の事件だと思ってる』
『あら?もし真実の中にとある人間がいたらどうするの?』
リゲルは素早く剣を抜き、テーブルに刺した
凍てついた眼、彼は一言も喋らないが
それだけで何を企んでいるかはわかったよ
クリスハート
『あの…』
『なんだクリ坊』
『お悔やみ申し上げます。しかしもし罪人がいたら牢獄に入れたほうが…』
リゲルは目を細め。彼女に尖った言葉を返した
『お前にはわからねぇよ。目の前で母親を殺された幼いままの俺の気持ちがよ…綺麗ごと言うな。お前は大事な人間が殺されたら牢獄に入れて解決すると思ってんのか?』
『いや…そんなつもりでは』
『軽はずみで言葉をかけるな。男爵の娘さんよ』
俺達は驚く
エーデルハイドの皆さまは知っていたようだな、驚かない
リゲルは調べていたらしいな、彼女の事を
『クリスハート・ルーティンは偽名。本当の名はルシエラ・ル・ダンカード。お前はダンカート家の、リクゼン男爵の長女だ』
『どこでそれを…』
『聖騎士は情報収集も出来るからな、信用できる奴かどうかは調べるさ…お前は幼い頃から貴族として生きるよりも冒険者としていきたい事と親が選んだ貴族との婚約から逃げたいから冒険屋になった。違うか?』
クリスハートさんは驚きながらも返事をしようとはしない
というか男爵の娘だったのか…良いとこ育ちというリゲルの読みは当たってたのか
『貴族とはこっちは付き合いも豊富だ。話も聞ける…冒険者として20歳までにBランクに到達できれば結婚の話は無しにすると言われているだろ。あと半年…好きでもない奴と無理に結構は俺も嫌だがな…。』
『話を変えましたね…』
『お返しだクリ坊、お前も内心で焦ってるだろう?でもアカツキが目の前に現れた…スキルを確実にドロップでき、強くなる手段がな…』
『わ…私はそんな感情でアカツキさんを見ているわけでは…』
『そんなの知ってる、お前は目的が違うからな…今回の襲撃で倒した魔物を引いてあとBランクの魔物を2体倒せば晴れてBランクの冒険者チーム。俺達は似てる』
『似てる?』
『みんな訳ありってことさ。傷のなめ合いなんて糞くらえだ…やることやりながら協力しないと逃げる前に刺客に殺されるぜ?』
リゲルは立ち上がると、クワイエットさんも立つ
どうやら部屋を出るらしい、といっても寝る場所は2階の奥の部屋だ
クリスハート
『その…ごめんなさい。』
リゲル
『別に。ただお前は良いとこ育ちだからこそ正しい甘え方を知らないと結局望み通りにならないぞ』
聖騎士2人は部屋を出ていった
ちょっと気まずい雰囲気が応接室に残っている
クリスハートさんは少し凹んでいるけど。どう声をかけていいかわからない
ルーミア
『ストーカーなみの情報収集能力』
シエラ
『まさか。クリスハートちゃんを狙ってる?』
クリスハート
『ばっ!馬鹿な事を言わないでシエラ』
あれ、戻った
父さんは大丈夫そうだから今日はシグレを連れて退散するといい、クローディアさんに挨拶をして部屋を出ていった
出る前に『頼むぞクローディア』と真剣な顔で言い放ったんだ
いつもはクローディアさんといっているのに、今はそうじゃない
『わかってますゲイルさん』というクローディアさんにも驚きだ
この場にはクローディアさんにエーデルハイドそして俺達イディオット
『ニャハーン』
天井に珍妙な忍者猫がいるけど、気になる…
ティア
『好きじゃない人と結婚ってやだね、アカツキ君もそう思うでしょ』
アカツキ
『へっ!?うん!』
いきなりすぎて焦る
しかもテラ・トーヴァが追い打ちかけてくる
《食えないチキンだしな兄弟は。お前からアタックしないと取られるぞ?頬チューだけでウキウキしちゃってよぉ・・・あっ!全員にこれ聞こえてらっ!》
お前!わざとか!!
ティアの顔が真っ赤に染まる
リリディが顔を逸らす
ティアマトが不気味な笑みを浮かべてくる
リュウグウが槍を構えている、俺にだ
クローディア
『青春ね』
俺は恥ずかしくなって松葉杖を装備してその部屋から逃げるように出たよ
1階ロビー、受付の裏に隠れている、眠そうな顔で受付カウンターに座るアンナさんの隣だ
彼女は不思議そうな顔で俺を見ているが、声をかけてはこない
《わり…兄弟》
『お前…次どんな顔でティアと話せばいいんだよ』
《マジで忘れてたんだよ…》
アンナ
『どうしたんです?アカツキさん』
『仲間が来てもバラさないでくださいね』
アンナ
『ガールフレンド見てますよ?』
俺は顔を持ち上げる
ティアの顔がこちらを覗いてるんだけどいつからいるんだろう
お互いに顔が赤くなってしまうよ
『あ…ごめん』
俺は何故か謝ってしまう
でもティアは意外と普通にしようと心掛けているようであり、『災難だったね』と口にする
俺も平常心でいよう
ロビー内の丸テーブルの席に座り、ティアと共にのんびりとしている
でも目を合わせると恥ずかしい
あっちもなのかな
『なんだか良い方向にいきそうで良かったなぁ』
『え?どっち?』
『え?』
俺が可笑しいらしい
きっとこれからのイディオットとしての意味だろう
やはり恥ずかしい
2階からティアマト達やエーデルハイドの皆さんが降りてくるけども、親指をティアマトがたてている意味が分からん
そのまま入院している部屋の中に行ってしまった
さて、どうしたもんか
『みんないい人たちで良かったね、みんなアカツキ君の味方だよ』
『グリンピアに生まれてよかったと思うよ、もし1人だったらきっと諦めてた』
『大丈夫だよ、私も一緒に困ってあげるから』
ありがたい言葉だ
出来れば傷ついてほしくない人間の1人だ
今は表現をそう誤魔化しておこう
《懐かしい言葉を思い出すセリフだな》
『え?なんで』
テラ・トーヴァがティアの言葉に反応した
やけに食いついているけど、どうしたんだ
《いや…とある男の奥さんがいてな。その男が死ぬ前に自慢げに言っていたよ》
『テラちゃん、死んだって何?』
《そこは今は聞かないでくれ》
『テラ、誰が言ったかも言わないのか?』
《言えねぇ。奥さんはその男と結婚を決めた時にこういったそうだ。貴方の人生に訪れる苦痛を私も一緒に背負いますってな。》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます