第9話 僕達は貧乏だ
俺が怪我から復帰して1日目、今回の依頼はゴブリンと赤猪の2種で満足する事にした
ティアは朝弱いので迎えに行ってから彼女の腕を掴んで一緒に冒険者ギルドに向かうと既にティアマトとリリディが受付前で痺れを切らして待機している。
彼らが依頼書を確保していたからスムーズに森に向かう事が出来た
『しゃあ!頼むぜ!』
『ギャー!』
ティアマトがゴブリンの錆びた短剣を弾き飛ばしてからゴブリンの顔面を掴み、俺に向けて投げつけてくる。
飛んで来るゴブリンを視界に捉え、直ぐに納刀して開闢を使って騎士アンデットに斬らせて気配感知スキルが付与された魔石を出す
それはティアマトに渡す為の物、彼は嬉しそうに発光する魔石を握りしめ、それを吸収している
『凄い技スキル』
ティアが凄い驚いている。
確かにこのスキルは凄い、ドロップ確定条件はトドメではあるが俺達が依頼書でこなす魔物ならば一撃で倒せるだろう
『サンキューなアカツキ』
『これでティアマトも気配感知スキル持ちだし皆それなりに自衛できそうだ』
身を守るスキルの基礎はゲットだ、森の中を歩いているうちに川辺に辿り着く
下流だ
川の近くは砂利になっているが歩きやすい、反対側は直ぐに森となっている
川の幅は10m程と比較的普通な感じだが意外とこの川は深いのだ、以前入ったら俺の腰まで入るくらい
一度皆で川の近くで会議する事になったのだがお題は俺達の武器はこれでいいのか?会議だ
皆手頃な岩に腰を下ろすと話し始めた
『アカツキは大丈夫そうだな』
『俺はティアマトの武器が優先したいな、攻撃職の代名詞だしさ』
『僕もそう思います、僕はこの賢者スタッフがあれば大丈夫ですがね』
『お前ぇそれ割れねぇのか?』
『割れる気配がありませんね?』
昔からバンバン敵を撲殺しているのに一向に劣化する様子はないリリディのスタッフ
良い木質で出来ているんだろうなと思うがなんの素材かは謎過ぎる
ティアマトがティアを見て口を開いた
『てかティアちゃんは大丈夫なのかぁ?武器持ってねぇが』
『あ・・・私は・・・』
そういえばそうだ、彼女が武器を持っているのを見た事が無い
リリディは魔法使いイメージでスタッフを持っているが基本的に魔法使いは武器は無いが何かしら自衛で何か持つべきである
ティアは首からローブを羽織っているが武器を持ってはいないのかと俺が尋ねると彼女はローブの裏に手を回し、腰の後ろで何かを取り出した
『『『!?!?!?!』』』
流石に俺達は目を疑う、短剣にしては少し大きいが片手剣でもない
『お兄ちゃんから貰ったサバイバルナイフなら』
『ああなるほどなぁ、あの人なら渡しかねねぇなぁ』
『そうですね、心配はなかったようです・・・』
シグレさんのナイフか、相当怖い物を彼女は持っていた
という事でティアマトの武器を買い直す事にするのだが今彼が持つ片手斧はチーム資金で買った武器だが金貨5枚の価値だ
安い理由はそれだけ強度が無いからだ、ミスリル程度は欲しいが多分金貨15枚相当だろうなとリリディが口を開くがチーム資金は現在金貨7枚、これはEランクの魔物倒さないとたまらないぞ
『じゃあEランクの魔物倒せばいいですね』
ティアがそう言うので俺達は追加報酬狙いでEランクを探す事になった
ゴブリンは既3体は倒している、赤猪も2頭制覇し時刻は12時過ぎになったばかりでかなり順調だ
川に沿って歩いた方が敵の奇襲にいち速く気づけるため、このまま登るように進む
歩きながら用意していたおにぎりを皆で食べるがトンプソンさんの屋台で購入していたのだ、出来立てじゃないが美味しい
先頭はティアマトと俺、後ろにはリリディとティアだがこれが一番戦いやすい筈だ、魔法スキルは飛距離があるので魔法使い二人は後方からサポートしてもらうのだ
『おっ?』
ティアマトが担いでいた片手斧を下ろす
俺も構えるが右側の森から赤猪3頭が一直線に走ってきたのだ
『ギュピピピピ!』
『可愛い』
ティアは能天気に囁く
俺とティアマトは共に走り出すと1頭ずつ一撃で葬る
残りの1頭はティアが魔法スキルであるショックを使い、雷弾を撃って赤猪を麻痺させている隙にリリディが左手で眼鏡を触りながら右手に持つ木製スタッフで頭を殴って倒す
俺は3頭分の魔石を回収しながらリリディに聞いてみた
『魔法使いだよな?リリディ』
『今更何を言うんですか?そうですよ』
『そうなんだ…』
最後にティアがボソッと呟く、ティアマトはティアの反応を見て笑いそうになっていた。
先に進むとエレメンタルエアロが川の反対側から浮遊しながら俺たちに襲いかかるが常時この魔物?は浮いている
銀色の結晶のような形をしており、中心は緑色の水晶が埋め込まれている
エレメンタルエアロが撃ってきた風魔法カッターをティアマトが避けるとその隙に俺は一直線に魔物に向かって刀を水晶に突き刺し、核を砕いて倒した、意外とこのエレメンタル系の魔石は高いから嬉しい、体から出てくる魔石を回収するとリリディが口を開いた
『しかしティアさん加入で楽ですね、あなた方二人が手詰まりしていても僕は彼女の麻痺魔法を使ってもらって倒せますから』
その事にティアも嬉しそうにしている
『リリディ君は魔法使わないの?』
『僕は温存しますよ、極力は帰り道で使う予定です』
『そっか』
『ティアさんも残りの分頼みましたよ』
『はい』
ティアは仲間と溶け込んでいて問題はない
リリディは木製スタッフがあるから大丈夫だな
帰りの戦力として魔法を残して貰えると有り難いが使わないとダメな状況なら彼は出し惜しみしない筈さ
少し奥に進むと予定通り、奥の川で水を飲む魔物を見つけた
全員で右の森に入ってから茂みを利用して近づく
魔物ランクEのグリーンマンティス、1メートル程の巨大カマキリだが特徴としては両手の鎌の棘には神経毒があり、掠り傷でも少し麻痺してしまう、これより強いマンティスは入るがここにはいないようだな
『虫の癖にでけぇ』
『大きいですね、麻痺耐性スキル持ちでしたね』
『てことは私のショック効かないんですね、ショック』
『『『ん?』』』
『な…なんでもありません』
ということで川の水を飲むグリーンマンティスの背後からティアと俺が忍び寄るがバレないとは思っていない
カマキリの目は360度どこでも見えることを知っているからだ
二人が茂みから顔を出すと水を飲んでいたグリーンマンティスは直ぐに振り返り、カマキリらしさの威嚇ポーズを見せた
『お手々広げてますね』
『広げてるなティア、頼むぞ』
『はい!』
歩きながら近付いていく、この魔物は自ら動かない
相手が鎌の範囲内に入るまで威嚇ポーズのままが殆どなので俺は手前で立ち止まるとティアにスリープを頼む
『おやすみなさいスリープ!』
ティアが右手を出すと手の平から現れた白い煙がグリーンマンティスを包む
『キー?』
煙の中で魔物の声が聞こえるが煙が直ぐに消えるとそこには砂利の上で横になって眠る虫の姿があった
俺は歩いて近づきと難なく首を切り落として魔石を回収する
なんて楽なんだ!補助魔法とはこんなに有利に戦えるとは想像以上だ
『間抜けな虫だったな』
茂みから顔を出して近付いてくるティアマトがそう告げるとその後ろから歩いてくるリリディも口を開いた
『カマキリですから、じっと待つ習性からは逃れられないのでしょう、まぁ自分から獲物に忍び寄ることもありますがね』
可哀想な魔物だが普通に戦うと少し面倒でもある
瞬発力は優秀なのでグリーンマンティスの鎌の範囲に入るとランクEとは思えぬスピードで斬りかかってくるのさ
遠距離攻撃持ちがいないと討伐難易度が上がる
『追加報酬を金貨2枚ほど今日は越えたいな』
仲間に銀貨5枚ずつ、そして金貨1枚貯金を10日続ければ金貨10枚が集まる
そのためにはEランクの魔物もそれなりに倒さないと駄目だ
コロールが森から走ってきたときはティアのショックで麻痺させ、その隙に俺とリリディとティアマトは一斉に襲いかかって倒した
Eランクの魔石を手に入れたが俺の技スキル無しでもスキルドロップはしてほしいと切に願う
ちらほらゴブリンが現れるとリリディは体を動かすと口にし、ゴブリン相手に木製スタッフを振りまくる
『賢者バスター!』
『ギギッ!』
撲殺しても彼は賢者志望、今はそうしておこう
夕方頃に帰り、冒険者ギルドにて報酬を貰うと金貨3枚に銀貨2枚
とそこそこである
金貨1枚と銀貨2枚をチーム資金に残し、他は皆で均等に分配してから今後の話をロビーの丸テーブルにて話し合っていると近くの冒険者から気になる会話が耳に入る
『最近変な格好の冒険者が森の奥で現れるらしいが見てみたいよな』
『あぁ、黒い鎧を着た奴だろ?何か探しているらしいけども不気味だってよ、崖下の海抜の低い森に一人でいるんだからよ』
盗み聞きしているが確かに不気味だ
俺が黒龍と遭遇した森だろうがあんな場所に一人でいるのは無謀過ぎる
『不審者ですかね』
リリディが眼鏡を触りながら口を開くがそう捉えてもいいかもな
『森の奥の海抜が低い森ですよね、あそこは強い冒険者でも奥までいかないらしいよ』
『ってことはそこで魔物をバンバン倒せばいいのかぁ?』
『ティアマト君、私たちにはまだ早いよ』
『ケッ!しゃあねぇか、今はそうしとく』
ティアマトはいつかは行きたいんだな。
俺たちがそれなりに強くなれば行く機会もあるだろう
明日は少し奥まで森を進むことにし、解散となるが全員の帰り道は一緒だ
リリディは帰ったら素振り1000回してから瞑想をするなどとわからない訓練方法を自慢げに語るとティアは苦笑いしながら頷いてあげていた。
家に帰ってから夜食まで寝ていようかと自分の部屋に入ると妹のシャーロットが俺のベットで勝手にスヤスヤ寝ている。
叩き起こしてから彼女は目をシパシパさせ、俺の顔を覗き込みながら話しかけてきた
『添い寝したいの?』
『どうしてそうなる?』
『そういう顔してる』
『無理があるぞ』
『えへへ』
可愛いらしい妹だが兄の俺は大変だ
今日のご飯は酢豚だよと口にしてから妹が部屋を出ていく
寝る気だったのだが調子が狂い、一先ず机に座る事にして魔物の本をペラペラと適当にめくるが読む気はない
魔物の簡単なイラストを見ているだけだ。
『Dをメインに倒せればなぁ』
森にいけば強い魔物は奥に行かないといない、たまに俺たちの移動範囲内に強めの魔物は現れるがいつも出てくる訳でもない
スキルを充実させてから挑むか、保有しているスキルレベルを上げてから挑むか
俺は後者だろうと思っている、スキルを活かすにはレベルは必須
アビリティースキルを1段階は上げないと危ないな
ふとドアの先から美味しそうな匂いに気づき、本を閉じてから椅子から立ち上がるとそのまま部屋を出てリビングに向かった
予想通り夜食が出来上がったらしく、テーブルには酢豚や野菜サラダそして野菜スープが俺の目に飛び込んできた。
家族で食べ始めると父さんがふと話しかけてくる
『順調か?アカツキ』
『まぁね、ティアマトの武器を新しいのにするために稼いでるんだ』
『確かにそれはいいかもな、攻撃の要は大事だからそれなりに良い武器は必要だな、軽鉄の片手斧だといきなり武器が壊れる場合があるからね』
それは面倒だ、軽鉄は比較的に軽い鉄だが錆びやすい
しかも寿命は短く、一年持てばいいほうだから殆どの冒険者は劣化防止にミスリルが混ざった武器を使う
ミスリル以上のランクの素材もあるけとね
『お兄ちゃん、リリディさんのスタッフは新しいのに買わないの?』
『あいつはあれが気に入ってるんだとさ、あれ折れる感じしないくらい硬いんだよ』
『リリディさんの意思みたいに、硬い』
シャルロットよ、あながち間違いではない
明日は金稼ぎ、スキル上げが出来ればいいけどスキル持ち魔物が現れればな
数多くの魔物を倒していれば何かがアップする筈なのだがそれよりも早いのが俺達が持つスキルを持つ魔物が再びスキル入り魔石を落とした時に体に吸収したほうが1発でレベルが上がる
それを狙う事が俺達は可能だ
『息子は街一番になれるのかしら』
『が…頑張るよ母さん』
困難だろうな、だけど先の事はわからない
今日は酢豚を食べれたし明日も頑張れそうだ
シャルロットは母さんと皿洗いを始めると父さんは食後の運動として自前の片手剣を持って近所の巡回に向かった
俺も暇になってしまったので武器を持って近所を散歩しようと夜の街を歩き始める
ふと自分のステータスを見てみた
・・・・・・・・・・
アカツキ・ライオット
☆アビリティースキル
スピード強化【Le2】
気配感知【Le1】
☆技スキル
龍・開闢【Le1】
居合突【Le1】
☆魔法スキル
称号
・・・・・・・・・
スピードのレベルが2という事は回避能力が向上したと言ってもいいだろう
風が心地よい、暫く歩いているとティアの家の前に来たがもう寝ているのだろうか、横から彼女の部屋の窓を見るが明かりがついているからまだ起きているだろうな
『何をしているんですかアカツキさん』
『リリディ』
欠伸をしながら話しかけて来た、どうやら彼も暇で外を歩いていたらしい
共に散歩することになって街の広場に辿り着いた、中央には噴水、それを囲むようにしてベンチがいくつも設置されている
座っているのは巡回している警備兵が休憩がてら休んでいたが俺達は気にすることなく隣のベンチに座る
『いきなり道が見えてきましたね』
『道?』
『あなたのわけわからない特殊技のおかげで皆が苦労して手に入れるスキル漁りがこうも簡単に行えるんです、変わらずその特殊な技は内密にしといた方がいいですよ』
彼は眼鏡を触りながら淡々と話す
確かにこれは内緒にしといた方が良いだろう、クローディアさんならば良いかなと思ったけどもそれも駄目だ
『わかった、先ずは金を稼がないとな』
『そうですね、ティアマトさんの武器さえ良くなれば多少無理が出来ます』
そうだな
というか冒険者としてのランクも欲しい、悪いが俺達は未だにFランク冒険者チームだ
今年中にDランクには到達したいがその程度ならば今のスキルでならば行ける
まぁEの魔物をあとちょい倒せばEに昇格できるけどもその時は素直に昇格しとこうかな
そして次の日、俺達は森の中に入ると手当たり次第に魔物を倒していく
Fランクの魔物であるゴブリンが多いが繁殖力が凄まじいのだろう、川辺を歩いているとティアは手作りのお握りを1つずつ俺達にくれるけども彼女は料理が得意だ、まぁおにぎりだけども本気出せば凄いんだ
『ありがてぇ』
『助かりますよティアさん』
『ありがとうティア』
『1つずつだけどね』
『だが無ぇより全然マシだぜ』
ティアは嬉しそうにしている
川を泳ぐ魚を見ながらのんびり食べていると俺達は魔物の気配を感じて川の流れてくる方向に目を向けながらもおにぎりを素早く食べて武器を構え始める
あれはハイゴブリンだ、ランクEの魔物だが今の俺達ならば危なげなく戦えるだろう
『ゴブゴブ!』
開けた川辺、勿論あちらからは丸見えなので俺達を視認すると意気揚々と細い棍棒を振り上げて走ってくる
『ティア!』
『はい!』
彼女の名を叫ぶと彼女は右手を前に出し、手の平から小石程度のサイズの雷弾を撃ち放つ
これはショックという麻痺術だが真正面から素直にそれに当たる魔物でもない、棍棒を振ってティアの雷弾を弾くけども既に俺とリリディが奴に走り出し、目の前まで迫る
『ゴブッ!?』
俺はハイゴブリンの右腕を刀で突き刺すと奴は棍棒を落とす、その隙にリリディが全力でスタッフを振りかぶって顔面にフルスイングすると強烈な音を立て、ハイゴブリンは後方に倒れる
ティアマトはトドメを刺すために俺達の後ろから走っていたが、どう見てもハイゴブリンは息絶えていた
『俺の出番なしか、つぅか一撃で倒せるようになったか』
『と、いうよりも当たり所が良かった感じですね』
リリディがティアマトに話しながらハイゴブリンの体から出て来た魔石を回収する
確かに良い音してたしある意味会心の一撃か、そうでなくてもティアマトが最後攻撃して終わりにしていたし俺達はE相手に危なげなく戦えたな
『でも単騎で良かったね』
『そうだな、これで取り巻きがいたら面倒だ』
『その取り巻きが遅れて今来ましたよお二人さん』
俺とティアが話しているとリリディがスタッフを担いだまま俺達が来た道に目を向ける
ギャギャギャと独特な鳴き声を発し、ゴブリンが4体現れる
『暇しねぇな、森って』
ティアマトはそう告げると我先にと魔物に飛び掛かっていく
リリディは好戦的な彼に溜息を漏らしつつも追従すると俺とティアは取りこぼしたゴブリンを相当するために遅れて走り出す
一通り倒し終えた俺達は回収した魔石を川辺で広げてみる
結構無差別に倒したおかげで今回はかなり稼げたと思う
ティアマトの片手斧もボロボロになりかけている、やっぱ軽鉄は駄目だな
『良い感じですね』
ティアの言葉に皆微笑みながら頷く
順調すぎる、だからこそ慎重に行こうと俺は皆に話した
夕方に近付いているからそろそろ戻りつつ魔物を倒すことにし、森の中を歩く
ゴーストという日が暮れた頃に現れる魔物も出たがそれはティアのショックという麻痺系の雷弾を当てるだけで直ぐに消滅し、魔石を回収
ゴーストとは黒い煙に釣り目の魔物、さほど大きくないが物理攻撃が一切効かないが術系で一撃という極端な魔物である
『今日はスキル魔石見てねぇがまぁいいか』
『開闢使うかティアマト?』
『いんや、今日は大丈夫だ・・・丁度いい魔物が出て来てねぇからな』
『確かに、あれ?』
俺は気配感知で魔物の気配に気づく、皆も同じだが静かに気配の元へ近付く
すると木の根っこ付近で鹿の死体を四つん這いで貪るゾンビナイトがいたのだ
こいつは連続斬りという素早い斬撃を2回放つ技を持つ魔物である、夕方という事もあり、現れたのだろう
『アカツキィ、いいかい?』
ティアマトが凄い不気味な笑みを浮かべているが怖い
その顔にティアも苦笑いしているがリリディは隙を作ると言い放つと背後から素早くゾンビナイトに襲い掛かる
俺も彼に追従するがあと少しという距離でリリディは地面に落ちた枝木を踏んでしまい、音を立てるとゾンビナイトは素早くこちらに振り向く、口元が赤いがあれは血だな
騎士の鎧を着た骸骨といえばわかりやすいだろう
『アァァァ!』
呻き声が怖い
立ち上がろうとするゾンビナイトだが先手はこちら、リリディはゾンビナイトが持つ剣をスタッフで弾き飛ばすと敵の剣が奥に転がっていく、飛んでく剣に顔を向けるゾンビナイトだが『今です!』とリリディが叫ぶと俺は開闢(カイビャク)を発動しだ
黒い瘴気の様な煙が俺の鞘から噴出すると中からアンデット騎士が飛び出し、隙を見せているゾンビナイトに向かって刀を振って両断した。
上半身と下半身が真っ二つ、アンデット騎士は直ぐに消えると倒れたゾンビナイトの頭部から光る魔石が現れた
『ティアマト君のだね』
『ティアマトさん、早く回収を』
ティアとリリディがそう告げるとティアマトは光る魔石を握る
『ビンゴだぜ!』と言うと彼は体にその光を吸収し始めた、こうして彼のステータスを皆で確認すると自分の事の様に俺達は万歳したんだよ
・・・・・・・
ティアマト・ウロボリス
☆アビリティースキル
毒耐性【Le1】
☆技スキル
鬼無双【Le1】
連続斬り【Le2】up↑
☆魔法スキル
称号
・・・・・・
『悪ぃなアカツキ』
『いいんだよティアマト、その分俺達が出来ない事を頑張ってくれ』
『ケッ!どこまでもいってやるぜ!』
マッスルポーズをするティアマトはご機嫌である
良い気分でゾンビナイトの魔石を回収し、出会った魔物を倒しつつも街に戻った俺達は冒険者ギルドに向かい、受付カウンターで魔石を広げて査定してもらうと金貨5枚に銀貨4枚となった
意外と高いことに驚くが受付嬢のアンナさんにどうしてか聞いてみると案外普通な答えが返ってくる
『エレメンタル系の魔石は高いからですかねぇ、まぁ数多く倒していたからって理由が一番でしょうけどお疲れ様です』
『ありがとうございますアンナさん』
リリディが何故かお礼を言う
皆で金貨1枚に銀貨1枚を取り分にし、残りを冒険資金にすれば貯蓄分も合わせてティアマトの片手斧がそろそろ買えるだろう
順調な俺達は2階のテラスに行ってトンプソン爺さんのお握り屋台で1品ずつおにぎりを買うとおにぎりで乾杯して食べ始める
『今日は良い事あったみたいね、イディオットのピヨピヨ達ぃ』
『そうなんだぜ?俺のステータス見てくれや爺さん!』
ティアマトはお握り片手にステータスをトンプソン爺さんに見せると彼は目を見開いてから直ぐに微笑む
『いっぱしに近付いておるじゃないか、それなら次のランクも大丈夫じゃろうて、そろそろ君らも先に進む方針にしといた方がいいと思うぞい』
『私達Eランクいっても大丈夫ですかねトンプソンさん』
『楽勝じゃよティアちゃん、攻撃の要の熊五郎がこのステータスならばワシは勧めるだろう』
『それならば昇格しないといけませんね』
リリディもその気だ、というか皆どうだろうな
そうとなれば頑張るか、なんだかワクワクしてくるがそんな様子を見ながらテラスに副ギルド長のクローディアさんが入ってくる、トンプソン爺さんは視線を足に向けるがクローディアさんはそれを苦笑いしながら挨拶すると彼女は俺達の元に来て口を開いたのだ
『あんた達は昇格条件に到達してるわ、まぁ講習料銀貨2枚で2時間の授業を受けるだけなんだけどもその間に冒険者カードは更新できるわ、どうする?』
グットタイミング、俺達は顔を合わせてからクローディアさんに答えた
『はい』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます