聖夜の天使たち

月野 白蝶

仕事始め

 空は生憎の曇り空。今にも雪が降りそうでヤになるぜ。

 世間様は『クリスマス』だの『聖夜』だのうるせーが、俺は仕事だ文句あるか畜生が。

 隣にある白い袋を忌々しく睨みつけ、舌打ちもプラスしてやる。てか、サボりてー


「サボらないで下さいね。マスター」


 人の心を透視すんな。

 涼しい顔で俺の傍らに立つ男を睨む。反応は無し。余計に腹立つ。


「わーってるよ、ダリーな」

「前後の文が繋がっていません」


 るせー。サッサと終わらせてやるよこんな仕事。

 袋を後部座席に放り投げ、俺は助手席に座る。


「サッサと出せ都那戒トナカイ


 深々と溜め息をついて奴が言うには、「Yes,Master」









 漆黒の車が、音もなく夜の街を滑り出す。




 ここが今夜の、俺の『職場』だ。

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