十七.隣人

17.1

 通夜のような顔で話しかけてきた広瀬を夕飯に誘った怜路は、買い物カゴに放り込んであった割引惣菜の精算をするためレジへと向かう。怜路からの誘いに目を丸くした広瀬は、思いのほか素直に後を付いて来た。

 普段であれば、美郷を挟んで三人で会話することの方が多い。この二人で食事をするほど親しいわけではないのだが、余程その美郷に関して悩んでいるのだろう。どうにも誰かに打ち明けたい様子なので、仕方なし怜路はそれに付き合ってやることにする。

(なんで俺が……つーて、まあ、他に手頃なヤツも居ねえだろうしなァ)

 最近は、ほぼ「三人でつるんでいる」という状態だったのだから、多分、仲裁のお鉢が回ってくるのは致し方無いことなのだろう。――多分、などと思うのは、怜路には「同年代の同性とつるむ」といった風に、均質で対等な人間関係を長く続けた経験がさして無いからである。学校生活とやらを経験していない弊害だった。

(メンドクセーけど、美郷は美郷でモンモンしてやがるしな)

 傍で見ている方が煩わしいので、さっさと仲直りなり何なりして欲しいものだ。内向的で交友関係を広く持たず、ひとつひとつ言葉を選ぶタイプである美郷が広瀬への声掛けに悩むのは予想の範囲内だが、広瀬の方も悶々としているのは怜路からしてみれば少々意外である。こんな言い方をすれば嫌がられるであろうが、広瀬のような「ノーマルで無害で外向的」な人間であれば、美郷一人との関係に固執せずとも、友人などいくらでも出来るだろうに。

 そんなことを頭の端でつらつら考えながら会計を済ませ、ポケットに持参していた家電量販店配布のエコバッグに惣菜を突っ込んだ怜路は、飲食物店舗は二つしかない、慎ましいフードコートを目指す。途中横切った吹き抜けの中央広場は歳暮商品の特設会場となっていたが、中に人影は見当たらなかった。辿り着いたフードコートも、端に一組ほど地元高校生らしき制服姿の一団があるのみで、目当てにしていたうどん屋も営業していない。どうやら、平日夕方に営業している店舗はラーメン屋だけのようだ。傍らの喫茶店も人気が無い――とよく見ると、閉店のお知らせがショーウィンドウに貼付けられていた。それを見付けた広瀬が「マジか……」と心底ショックを受けた声音で洩らす。

「俺が子供の頃からあった店なのに……」

 そう切なげに呟く彼には、この場所の思い出がきっとあるのだろう。これが都会ならばすぐに次の店が入るところだが、巴や安芸鷹田のような田舎では、飲食店が再び入るとも限らない。怜路が越してきてからの数年間でも、巴市内のショッピングセンターのテナントがいくつも空きスペースや倉庫に変わっていた。

「次も飯屋ンなりゃいいな。――で、ラーメンしか無ェみてえだが、ラーメンでいいか?」

 形式上そう尋ねながらも、怜路はさっさとカウンターへ足を向ける。曖昧な返事と共に、広瀬が後ろを付いてくる気配がした。

 おのおの食べたいものを注文し、店に近いテーブルへと腰を落ち着ける。出来上がりを待つ間、特に自分から話を振る気にもなれない怜路はスマートフォンに視線を落とした。がらんとしたフードコートエリア内に、近くの液晶テレビが繰り返し流しているこの店のコマーシャルが響き渡る。斜め向かいの広瀬が、居心地悪そうに身じろぎした。

「――なあ、あのさ、」

 言うか言うまいか迷っている、或いは、どう言葉にするか表現を探している風情の頼りない問いが掛けられる。怜路はそれに、「んー」と気のない応えを返した。

「あの――さ、宮澤のその、実家のこと……とか。俺が、訊いてもいいモンなんかな?」

 続く弱々しい問いにようやくスマートフォンから視線を上げ、怜路は広瀬の顔を見た。

「……ンなもん、実際訊いてみりゃ分かンだろ。別に答えたくねェっつわれたって、死にゃしねーぞ」

 心底そう思ったのでそう答えたのだが、広瀬は戸惑い傷付いたような顔をする。「いや、マジで」と怜路は続けた。

「訊いて良いか悪いかくらい、本人に確認取りゃイイだけだろうが。良けりゃそのまま話してくれンだろうし、嫌なら他の奴から又聞きすンのもナシだろ」

「けど、そもそもソレを確認されるの自体嫌かもしれないだろ?」

 そんなことまでイチイチ気にしていては、身動きが取れないだろうに。心底そう呆れた怜路だったが、同時に改めて不思議に思った。何故そんなに臆病になるほどに、広瀬にとって美郷は重要な存在なのだろうか。

「おめー、美郷に何か弱味でも握られてンのか?」

 あえて投げた雑な問いに、広瀬が「はあ!? そんなワケないだろ!!」と声を張った――と同時、ラーメン屋のカウンターから店員が二人を呼ばわった。気勢を削がれた様子でそちらを一瞥し、「そんなんじゃない」と絞り出した広瀬が席を立つ。ンな事ァ知ってらあ、と胸の内だけで返事して、怜路もまた立ち上がった。

 結局、そこで一旦会話は途切れ、ただ黙々と斜向かいにラーメンを啜る。他に客もなく暇そうな店員の立てる物音と、店内放送が流す賑やかな音楽や近くのテレビから流れるコマーシャル、はしゃぐ高校生たちの声などをボンヤリ聞きながら怜路はチャーシューを咀嚼した。ものの五分も経たずどちらもラーメンを食べ終え、怜路が最後のスープを喉に流し込む頃には、広瀬は手持ち無沙汰そうにこちらを見ていた。広瀬のどんぶりにはまだスープが半分程度残っている。健全なことだ。

 どんぶりをトレーに置いて渋々広瀬に視線を合わせると、広瀬は逡巡するように視線を手元に落とす。率直に言ってまだるっこしい。が、幸いにも怜路が再び水を向ける手間のない間に、広瀬がもう一度口を開いた。

「弱味とか、そう言うんじゃない……ただ、」

「分かってンよ、アイツがんな真似するワケねーもん。要するにお前は美郷が大好きなのな」

 んなっ!? と広瀬が奇声を上げる。だが結局そういうことだろう。

「振る話題ひとつに悶々悩みやがって、初恋した小学生か」

「ッ、そういうのとは違うだろ!? 俺はもうこれ以上宮澤に嫌な思いさせたくないんだよ……」

「あれとは違う、それとは違う、じゃあ結局何だってンだ。そりゃ職場で机並べてる奴と険悪になりゃあ面倒くせえのは当たり前だが、ダチの心証がちょっと悪くなったくらいで、人間死にゃしねーよマジで。それにアイツだって、多少なに、センシティブ? な話題突っ込まれた位で死にゃしねえ。あんなクソ派手な話題、お前が突っ込まなくたって誰かが土足で突撃するわ。今日のあの木元ってヤローみてえに」

 突然事務室に現れた県庁職員と名乗る男は、美郷の事情や心情を一切汲まずただ「鳴神家の長男」にゴマをすり、美郷に適当にあしらわれて去って行った。面と向かって「宮澤」と名乗られて、全く動じず貫き通した神経の図太さには呆れるばかりだ。しかし怜路の人生経験上、世の中の数割はああいった「相手の気持ちを汲むことなど頭にない人間」で構成されている。

 ――否、彼らとてもしかしたら、己の大切な相手の気持ちくらいは汲むのかもしれない。誰しも無意識に他者の重要度・優先度を順位付けし、己が使う気力や気遣いを割り振っている。どんな人間も「興味も関心もない他人」には冷淡で無神経なものだ。

(つーて、ゴマする気で来たんなら、ちゃんとその程度の気は遣えっつー話だしなァ。アイツがヤベー奴なのは間違いなさそうだが……まあ、美郷が野郎を連れて警察署に行ったおかげで、県警の協力は確約されたし役には立ったが……)

「いや、それはそうだけどさ……でもだからって、俺が――俺が、無神経に訊く、のも……。いや、所詮はと一緒なのかな……」

 最初何か反論しかけた広瀬だが、途中からしおしおと萎れてしまった。億劫さに任せて頬杖を突き、怜路はその百面相を観察する。

「ああいう、通りすがりみたいなよく分かんない奴が、ワケ知り顔で『鳴神』って呼ぶのも、俺が宮澤に立ち入ったこと訊くのも、宮澤にとっては同じような――何も知らない他所の奴の……書き割りその他一般の囀りみたいなもんなのかな」

 そんなワケはない。そんなワケはないのだが、一体広瀬の中で何がどうなってそんな思考の迷路に嵌まり込んでいるのかサッパリ見当も付かず、怜路はただ、不可解なモノを見る目で萎れた広瀬を眺める他なかった。正直、もう面倒臭いのでこのまま広瀬を引きずって家まで帰り、美郷の前に突き出してしまいたい。現状は結局、怜路から見れば「お互いに最初の一言を掛けそびれて気まずい」だけなのである。小一時間同じ部屋に詰めておけばどうにかなる程度の話だ。

「ぶっちゃけオメーが何を言ってるのか分からねえが……なんだ、アレか。結局お前は美郷の『特別』でありたいワケな?」

 であれば恐らくその願いは既に叶っているし、怜路の見立てでは「だからこそ現状が膠着している」のだ。

 宮澤美郷は「囀る書き割り」程度を相手に、倒れるまで神経を磨り減らすほどか弱い男ではない。木元に対してなど「嘘を吐かない程度に話を合わせて、利用できるだけ利用する」といった態度だった。普段へらへらと頼りなさげな物腰ゆえ繊細そうに見えるが、アレは次期当主教育係若竹を怯えさせた、図太く計算高い「鳴神の蛇喰い」なのだ。その美郷が今回相当に参っていたのは、に相違ない。

 しかしそんな客観視などとは程遠い精神状態らしい広瀬は、怜路の指摘にもう一度奇声を上げた後、赤らんだ顔を俯かせた。

「――俺程度の人間が、俺みたいな、ただちょっと環境に恵まれてるだけのが、宮澤みたいな特別な奴と『並べる』なんて思わないんだ。けど――」

 これが恋愛相談であれば、適当に「当たって砕けろバーカ」とでも言って切り上げている所だ。本当は今もそうしたい。なぜなら広瀬の懊悩は九割九分杞憂で、広瀬は己の立ち位置を、その重要性を何一つ理解しておらず、それを怜路が広瀬に説明するのは非常に――どうにも、億劫で馬鹿馬鹿しく思えるからだ。

(――けど、なァ……)

 美郷はうつし世に居場所を求めながらも、薄闇の境界にしか在れない己を持て余している。怜路などは記憶の始まった時から天狗という「あちら側の存在」に養育され、薄闇の境界を己の当然の居場所として生きてきた。全ての「普通」は画面の向こう側にある、己の手の届かない物事で、それを苦痛に思うことすらなかった。

 だが美郷は違う。彼は「普通の傍ら」を望むからこそ、公務員というお堅い職種を選んだのだろう。一方でその抱える身体はとても闇に近い。闇の向こう側のモノたちは、本人さえ望めば彼をあっさりと歓迎するであろう――実際、御龍姫や暁海坊辺りは美郷を白蛇精だと思っている様子を見せるし、美郷の抱える白蛇は、彼が昼間の世界の真ん中で生きるのを難しくさせている。

 そして先日、美郷はとうとう怜路に洩らした。――心が折れる日が来たら水底で、つまり「あちら側」で眠りたいと。

(俺はソイツについて行くことはできても、引き留めることはできねえ。それができンのは――)

 しばし萎れた広瀬を眺め、怜路は溜息を吐いた。許されるならば煙草の一本でも出してライターを鳴らしたいところだが、生憎とそれができる場所ではないため、代わりにプラスチック製のグラスに残っていたお冷やを喉に流し込む。グラスを置いたついでにガリガリと頭を掻き回し、背もたれを軋ませ斜め六十度に傾いて、怜路は嫌々言葉を紡いだ。

「頭ァ冷やせ。今日初めてツラ見ただけの野郎と、高校時代三年間、プラス市役所二年間のダチが同列なワケねーだろ。特にあいつは、薄く広くトモダチ作るタイプじゃねーし」

 なぜこんな分かりきったことを諭さねばならぬのか。そう心底呆れる怜路とは対照的に、広瀬はいまだ納得できない様子で浮かぬ顔している。

「……あのなァ。オメーからして、俺や美郷がだっつーのは否定しねえよ。それが負担だったり面倒だったりで、距離を置きたいっつーんなら止めねえ。そんな権利ねーからな。お前は何かつまんねえ事みてえに言うけど、だってコトは、それだけ選択肢が多いっつーことだ。特にオメーみたいなタイプはその気になりゃあ、わざわざ俺らみてえなな人間と付き合わなくたって、幾らでもダチが作れンだろ」

「ッ、そういう話じゃないだろ!」

 怜路の言葉に、弾かれたように広瀬が顔を上げた。

「俺は――俺なんかじゃ……」

 しかし、その視線は見る間に下がり、胸の痛みを堪えるように俯いてしまう。自己嫌悪に酔う、という表現が世にあるかないか怜路は知らないが、あるすれば正にそういった風情だ。その酔いを醒まそうと、怜路は淡々と言葉を重ねた。

「そういう話だよ。オメーがどうしたいか、何が嫌か、そんだけの話だ。嫌なら遠ざけりゃいい。余計な苦労を背負ってでも近付きたいと思えるンなら、そうすりゃあいい。ただな――」

 傾いだ姿勢のまま腕を組み、怜路は一呼吸ぶんほど言葉を切った。

(美郷にとってのコイツは、此岸しがんに己を繋ぐ数少ない係留索いのちづなみてーなモンだ。コイツとの縁が途切れちまえば、美郷をうつし世に繋ぎ止めるモンは一気に減る。あいつはそれを望んじゃいねえ……)

 怜路の眼に映る「宮澤美郷」は、初めて会った時から闇とうつし世の境界ギリギリの所にいる。そして美郷がうつし世を捨てる日が来れば、怜路はそれを止める術を持たない。なぜなら、怜路自身にはうつし世にしがみつく動機が特にない――もっと言ってしまえば、からだ。

 だから面倒でも、広瀬の苦悩に付き合ってやるほかなかった。広瀬が全く下らぬ勘違いで、本意でもないのに美郷に背を向ける状況は望ましくない。

「お前が『普通』を自負してンなら、そこに十人並んでりゃあその中で、五番目前後の場所に居るってコトだろ? てめえより各別に上等な奴も二、三人居るかもしれねえが、てめえより各別にヤベぇ奴も、少なくとも二、三人居るってこった。オメーが美郷と縁切ったところで、アイツが世捨て人にでもならねえ限り、他の誰かと人付き合いをする必要が出てくる。オメーを除いた残り九人の中で、あいつがオメーより上等な人間を引き当てる確率ってなァどのくらいだ? 少なくとも五割以下ってコトじゃねーか」

 父親が公務員で年子の妹がいる、ほどほどに裕福な農家の長男坊。田舎では進学校と扱われている私立高校の普通科を卒業し、近場の大学を経て、実家からは隣となる自治体の公務員になった男。経験した部活は硬式野球部だが、スポーツよりも学業を優先。嫌味のない性格で、高校時代には生徒会役員も経験した外向的な人物。怜路が知る限りでも、広瀬孝之はどこを切り取っても「無難」から「優良」の評価が付くな男だ。

 目の前で俯き、「凡人」と己を見下すように言う当人は、その値打ちに全く無自覚なのだろう。ほとんど全て、怜路が生まれつき持ち得ない――あるいは遠い昔、己の選択の範疇外で喪ってしまったモノだ。そしておそらく美郷から見ても、眩しい「普通の象徴」である。

「しかもだ」

 言っているうちに勢い付いて、怜路は思わず、その組んでいた両腕を広げる。

「人間として上等かどうかと、ダチになれるほど馬が合うか――アイツのことを気に入って、好意的な立場を取る奴かは別問題だろうが。お前も知っての通り、アイツの事情は複雑で特殊だ。それを呑んでくれる人間が十人のうち何人いるかなんて、確率五割じゃきかねーだろ」

「なあ?」と首を傾げて同意を求めた怜路に、背を丸めて困惑気味にしていた広瀬は、しかし顔を俯けた。

「けど、俺じゃあ上手く気を回せない。そんなに上等に出来てないんだよ」

「少なくとも気を回してやろうっつー意志があるだけで、他の九人とは比較すンのも馬鹿馬鹿しいって話をしてンだよ」

 コイツも強情だなと呆れつつ、怜路は回転率最優先と思しき硬い背もたれから体を起こす。今度はテーブルに両肘を突き、組んだ手の甲に顎を乗せて続けた。

「――『特殊』を抱えて生きるってなァ、事情を知らねえ奴と衝突することを呑んで生きるってことだ。全部を回避はできねえ。『普通』なお前に回せねえ気遣いが、この世の一体何割にできると思う。そこはもう、美郷本人が呑んで立たなきゃならねえ部分だ。そんで――もしあいつが誰かとぶつかって転びかけた時に、支えてやれる人間が傍に居るか居ないか、そっちの方が重要になる。お前がアイツと距離を取るっていうのは、そういうことだ」

 その人物に興味も関心もない者ほど、事情を汲まず冷酷に相手を踏みつける。それが道徳に反すること主張したところで、人間は万人に平等の興味や関心を持てるほど上等に出来てはいない。それは遠い国の戦争や貧困の話だけでなく、ほんの隣人同士でも起こりうる軋轢だ。こちらに興味も関心も持たぬ赤の他人全てに「理解しろ、気遣え」と強いるのは、なかなか無理があるだろう。――無論、「事情」の存在を広く知らしめることに、啓発活動としての意味はあるとしても。

 だからこそ、どれだけ赤の他人に蹴られ踏まれたとしても、と教えてくれる隣人の存在は得難いのだ。他の誰でもない、を望み気遣ってくれる者の存在が。

「けど繰り返すが、こういうのはお前自身がどうしたいかだけで決めるべきモンだ。義務感なんざ要らねえ。負担感か、好意か、お前の中の天秤だけで決めろ。そいつが誠実だし、お互い不幸にしねえ、ならねえ秘訣だろうぜ」

 一気に言って、怜路は引き攣れた喉を潤そうとグラスを掴んだ。しかし生憎と水は先程飲み干している。チッ、と舌打ちして、怜路は席を立った。ぎゃりり、と細いスチールで出来た椅子の脚が床を掻く。

 近くのウォーターサーバへ水を汲みに行った怜路はその場で一杯を飲み干し、広瀬の方を見遣った。俯き加減に黙り込んでいる、その感情は窺えない。

「まあ、土日で頭ン中整理すればいいんじゃねえの? 今俺が喋ったことくらいアイツも分かってンだろうし、もし分かってなくて駄々こねるようなら、そん時はアイツの方が悪い」

 他に客がいないのを良いことに、テーブルひとつ分離れた場所からそう言葉を投げた怜路に、広瀬が僅かに頷いた。

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