8話 出会い
「聞けたか!?」
「うん。2年3組の鶴貝宮子さん」
「そうそう!」
「というか、なんで先に名前教えてくれなかったの」
「あ。そういえば……」
「まあ。見つかったからよかったけど」
「流石犬飼! やるなー」
「どうも」
「そういえばさ、浩介は何でその、鶴貝先輩のこと好きになったんだ!?」
「そういえば話してもらったことなかったね」
「え」
「話せよーー」
「うん。私も聞きたい」
「えー」
「「言え」」
「はい……」
半ば強制的に聞き出すことに成功した。
「たしか2年前……」
―――2年前。
「浩介ーお前何で彼女とか作らねぇの?」
「彼女だ?」
「好きな奴とかさ! お前すげぇモテるのにさ。もったいねぇじゃん!」
「好きな奴ね……」
昔の俺は少し尖っていて。
好きな人ができるのがありえないとか思っていた。
でも、突然その考えが馬鹿だったって気づいた。
「生徒会からのお知らせです」
「うわ、鶴貝生徒会長だ! 美人ー」
今まで興味もなく、見ていなかった生徒会長にふと目がいった。
「っ」
心臓が自分でも驚くほど高鳴ったのを覚えている。
「浩介どした?」
友達の声も耳に入らないぐらい。
心臓がバクバクしていた。
「俺、会長好きかも」
「え!?」
友達の顔なんて全く見ない。
会長だけを見つめていた。
会長の声だけを。
会長の視線だけがほしい。
「ベタ惚れだ……」
「ってわけだ」
「うっそ! 意外だー」
「たしかに。昔、尖ってたんだ」
「そうそう! 反抗期だったな」
「なるほどね」
上川の意外な過去が知れた。
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