1話 出会い

「あーあ」


 第一志望の高校に落ち、第二志望の高校にやってきた。


 確実に受かれる自信はなかったから納得だったけど、多少は落ち込む。


「入学式か。面倒くさいや」


 面倒なことが苦手で、何事も後回しにしてしまうのが私の悪い癖。


「いった!!」


「ん?」


 校門を過ぎた所で大きな声が聞こえた。


「見てみるか」


 少しの興味本位で声のする方向へ足を向けた。


「いったたたた」


「あの、大丈夫ですか?」


 そこには大和撫子という言葉がとても似合いそうな女子がいた。


「あ、ごめんなさい! 大丈夫です」


 とても大丈夫には見えないんだけど。


「手、貸しましょうか?」


「ありがとうございます!」


 私は腕を掴み、引っ張り起こした。


「ご迷惑をおかけしました」


「いえ」


「あの! 名前聞いてもいいかな?」


犬飼皐月いぬかいさつき。1年です」


「1年生!? それは悪いことをしたわ。早く教室にいってちょうだい!」


「はい」


 敬語じゃなくなったから先輩かな。


 急いでる様子もないし、ここで何か作業するんだろう。


「それじゃ、失礼します」


 真っ直ぐ下駄箱の方へ行った。

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