第23話 解放
遅番での定時は本来0時。
山本を残して行くのは申し訳なかったが、恭介はタイムカードを切って店を出た
この時間に帰るのはいつぶりだ?
サイゼリヤがまだやってる時間だ、恭介は久しぶりのサイゼリヤの食事を堪能出来た。
12月に入ると恭介のシフトは早番が多くなった。残業させないこともあるが、山本わ遅番で鍛えなくてはならない事が大きい
元来指示出しも恭介にへもうやらせたくないようだが、まだスタッフ達は恭介が辞めることを知らない
いつ退職出来るかも解らないのだからという理由で恭介も伝えてなかった
その状況で、他にやる人がいないのに外す事は出来ず、早番に入った時は恭介が指示出しをすることになった
最近では、新台などのポップを持って店頭に出てお客さんのご案内をする事が増えた
告知に制限がある中で出された苦肉の策だが、それは意外な効果を発揮する
「ご案内に出てきます」
「えっ?冴島さんがでるんですか?」
恭介の発言に早番スタッフは驚いたようだ
「え?寒いし。女性が出た方が効果は高いけど、今人通り少ないし。ここぞという時にお願いします」
基本的には女性に頼む事が多いご案内だが、別に男がやってもいい。
効果は薄いが
そう言い出したのは鏑木はじめ役職達だ。自分達が率先して見せてくれた事は相変わらずないが、どうやら早番では本当に女性だけに押し付けるだけの形になっていたようだ
「冴島さん、吉岡代わりにご案内出ます」
そういう進言って勇気いると思うけど、吉岡かそういう事をよく言ってくれる
「今常連さんがホールに結構いるから、人通りの少ない時間に吉岡さんご案内やってもらうのはもったいないので、ホール見ててください。」
「了解しました」
その日、カウンターに入っていた仲村
ナタデココの早番のカウンター業は暇な事が多い
恭介は仲村に
「仲村さん、お客さんがカウンターに来るまでポップ持ってホール内でご案内出来ますか?カウンターの前で良いです。お客さんと話し込んじゃう事があったらカウンターフォロー入れるんで」
仲村は今まで見せたことのないような笑顔で
「了解しました!やります、やりまくります」
恭介が外で案内をし始めてからだいぶ時間が経った
仲村も「外、私が変わろうか?」
とわざわざ外まで来て話してきた
「いえ、それより仲村さん休憩行きましょう。吉岡さん、カウンターと仲村さんがやってた事引き継いでください」
「仲村、ずっとご案内出来ますよ!」
「…OK、素晴らしい!でも休憩行きましょう仲村さん」
恭介が退職願いを出したからなのか
普段つまらない揚げ足取りに精を出す役職からのインカムはその日以降入らなかった
早番業務16時に終わり、スタッフが帰るのを見送ってから、恭介は自分の定時である17時まで遅番の休憩回しを手伝いにホールに残った
スロットコーナーの休憩を回した所で野原が慌ただしくやってきた
「ここ僕が入るんで、冴島さん3階行って下さい」
「え?はい」
恭介が3階に上がろうとすると、鏑木が誰かを3階に案内していた
面接の時に見た事がある
本社の人間だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます