第1619話 アレだけど
カバ美が落ち着いたら出発準備を始めた。
「レディ・カレットもいくのか?」
部屋でウェットスーツを着て食堂に来ると、レディ・カレットもウェットスーツを着ていた。
「もちろんよ!」
そうか。なら、しょうがねーな。
「マーガレットも連れていくの?」
「まあ、どっちでもよかったんだが、委員長さんを連れていくなると自然とついてくるだろうからな、連れていくよ」
最初は人魚のところに捨ててこられねーかな? とか思ってたが、委員長さんと因縁(?)があった今では委員長さんに押しつけようにチェンジした。なら、仲良く連れていきましょう、だ。
「思考がクズですね」
幽霊が背後でなんか言ってるが、お茶の子サラサラ気にしませーん。
「ん? ユウコさんは置いていくのか?」
食堂の端にメイド服を着たユウコさんがいた。影が薄いから幽霊かと思ったよ。
「お休みです。べー様、お小遣いあげてください。今日お休みのメイドにお願いして、カイナーズホームに連れてってもらうので」
「カイナーズホームならオレの名前を出しておけ。ただ、戦車とか戦闘機とかは止めてくれよ。さすがにそんな金はねーから」
「サプル様じゃないんだから戦車や戦闘機を買っても置き場がありませんよ」
そりゃそうか。なんかもうサプルに毒されてんな。
「どちらかと言えば、サプル様がべー様に毒されてるのでは?」
そ、そんなことはないもん! サプルは昔からああだったもん! オレが悪いんじゃないもん!
「ねぇ。マーガレットはそのままでいいの?」
「カバに合うウェットスーツもねーしな、オレの結界を纏わせるだけでイイよ」
その分厚い皮下脂肪があればなくてもイイかもしんねーけどな。
「お前を見ているとクズなプリグローグを思い出すわ」
「まあ、目くそ鼻くそな二人ですからね」
言い方! てか、ご主人様相手に毒づくね、あなた!
「オレは先生ほどマッドじゃねーよ」
「まあまあ、べーもあれで根は優しいのよ。マーガレットを連れ出されたからリンベルクと会えたんじゃない」
「それは結果論よ」
「まあ、確かにべーの行動はアレだけど、すべての出来事はいい結果を生み出しているわ。あと片付けは他に丸投げだけど」
褒めてんのか貶してんのかどっちだよ?
「褒め二に貶し八では?」
それはもう貶してんだよ! それなら貶しに全振りしろや。そのほうが清々しいわ。
「ったく。オレが関わるのが嫌なら帰るぞ」
そもそもこれはバイブラストの問題であり、人魚たちの存続危機だ。オレが責任を負うことじゃねー。嫌なら帰るだけだ。
「ご、ごめんなさい! 迷惑に聞こえたら謝るわ! べーに助けられてて酷い言い方だったわ」
「まあ、イイよ。オレはオレのために行動してるだけだからな。感謝しようが罵ろうが好きにしろだ」
なんだかんだと言って、オレはオレの意思で行動している。他人の評価などクソほども求めちゃいねー。まあ、罵られて喜ぶ性癖はねーから言われたら気分はワリーがな。
「用意ができたらいくぞ」
「ウェットスーツに着替えただけだが、なにか持っていく必要はないのか?」
「いらねーよ」
大体のものは無限鞄に入ってるし、すぐに帰っても来れる。手ぶらで構わねーよ。
館の外に出て、土魔法で湖の底に向かって階段を築いた。
「皆には結界を纏わせた。もちろん、ウェットスーツにもだ。したくなったら垂れ流しで構わねー。ちゃんと処理できるようになってからよ」
「もっと上品に言いやがれ」
だったらもっと上品に言い返せや。
「村人に品なんて求めんな。聞き苦しいなら上品同士でつるんでろ」
まあ、村人なりに品は守っているが、貴族の品を求められても困る。嫌なら村人とつるむな、だ。
「んじゃ、いくぞ」
まずはオレが先頭切って湖に入っていった。
さて。人魚の住み処はどうなっていることやら……。
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