第1318話 補佐長さん

「ベー様。魔女と協力し合うなら代表者を決めねばなりませんが、誰か推薦してください。あ、わたしは外してください。そう言う面倒事はしたくありませんので」


「じゃあ、魔女さんたちから出してもらうか」


 そう言うの得意そうだしな。


「カイナーズには対策チームみたいのはあるのかい?」


「対策と言うか対応チームはありますね。空挺部隊とシーカイナーズが当たってます」


「博士以外はいねーのかい?」


 解剖のときも博士一人だけだったが。


「わたしのような物好きは少数。カイナーズに拾ってもらわなければ死んでましたよ」


 そりゃそうか。運がよかったんだな、博士は。


「これから博士のようなヤツが必要だってのに、なんとも泣けて来る話だな」


 今すぐ必要じゃないとは言え、これから育つのを考えたらため息しか出ねーよ。


「──いや、そうでもねーな。いたな、こう言うの得意なの」


「いるので?」


「ああ。小人族にな」


 竜機や水竜機など生体兵器を扱っている。技術だけなら何百年も先をいっている種族である。


「小人族ですか。わたしは会ったことがないですが、セーサランに興味を持ちますか?」


「それはわからん。だが、話をしてみるのもイイかもな」


 ダメならダメで違う方法を考えたらイイ。成るように成るさ。


「ドレミ。殿様のところに連絡入れられるか?」


 主要なところには分離体がいるはずだ。


「はい。できます」


「なら、生体学に詳しい者を貸してくれと伝えてくれ」


「わかりました」


 ドレミに任せて結界から出ると、魔女さん──前に会ったな、この人。


「魔法庁所属調査部補佐長イガリ・ロンガルです」


 あ、あー、そんな感じの魔女さんだったな。


「あんたが窓口かい?」


「はい。館長より命じられました」


「前も思いましたが、なんだか幸薄そうな方ですよね」


 なんかわかる。星の巡り合わせが悪く、貧乏クジ引きそうな感じだ。


「そうかい。これから小人族と会うから付き合ってくれや」


 あと、影が薄くなっている委員長さんもだぞ。


「あ、ベー様。この近くに研究所を造ってください。住む場所も」


「まったく、やることいっぱいだな」


「自業自得ですよ」


 オレが原因じゃねーのに、自業自得とか理不尽である。


「まあイイ。まずはカイナーズホームにいくか」


 木材を買って家を建てちゃるか。


「補佐長さん、委員長さん、いくぞ」


 と言うことで、二人を連れてカイナーズホームへ転移。カイナーズホームのドロティアの港入口へと出現する。


「そう言や、ここに来るのも久しぶりだな」


 タケルの潜水艦、ここに戻したんだ。


「タケル、ちゃんとやってるかね?」


 この世界が現実だとタケルだけが知らない作戦──だったっけ? まあ、なんでもイイか。タケルを鍛える作戦なんだから。


「あ、あの、これは?」


「海の中を進む乗り物だな」


 今度、様子見にいってみるか。まあ、いつになるかわからんけどよ。


「こっちだ」


 こちらから入る者はいないのか、店の中に入っても店員の姿は見て取れなかった。


「──あ、いらっしゃいませ~!」


 と、シープリット族の……女? が現れた。カイナーズホームでも働いてんだ。


「邪魔するよ」


「はい。ごゆっくりどうぞ。コンシェルジュ、お呼びしますか?」


 カイナーズホームで働くと言動が軽くなるのかな?


「ああ、頼むよ」


 女の買い物もあるだろうからコンシェルジュをつけたほうがイイだろう。


 しばらくして赤鬼のコンシェルジュさんがやって来た。あの……なんだっけ? 白いコンシェルジュさん?


「コンシェルジュのカノアと申します」


「この二人についてくれ。金はオレから引いてくれや」


「わかりました。ベー様はコンシェルジュ、よろしいので?」


「もう慣れたよ」


 さすがに何度も来てるんだから迷子にもならんし、大体のものはどこにあるかわかるよ。


「わかりました」


「委員長さん、必要なものを必要なだけ買っていいから。補佐長さんと相談しな」


「あ、あの、まずは説明をお願いしたいのですが?」


「それはコンシェルジュさんに訊いてくれ。ここがなんなのかオレには説明できんからよ」


 ここで働いているヤツからの説明が一番わかんだろう。


「コンシェルジュさん。五時間後にここに連れて来てくれや」


 五時間もあれば大体のものは買えんだろう。


「じゃあ、五時間後にな」


 この際だから一通り揃えておくか。あと、ココノ屋にも寄るか。カイナーズホームに来て駄菓子買っていかないとミタさんが不貞腐れるからな。


 まずは工作コーナーへと向かった。

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