第1001話 二人は友達
ま、まあ、ボブラ村にオレありは一旦中止ってことで、姉御の望みを叶えましょう。
「ベー! どこにいってたのよ! 捜したじゃない!」
メルヘンが拳を突き出しながら来襲。それをサラリと回避。そして、近くにあった木が真っ二つ。うん、オレグッジョブ!
「なんで避けるのよ!」
「避けるわ! 普通に死ぬわ!」
つーか、オレの能力マジヤベー。自分の能力で死ぬとか笑い話にもならんわ。
「ベーもベーだけど、プリッシュもプリッシュよね」
え、なに、その世を儚んだような感想は? オレはメルヘンよりまっとうだよ。こんな非常識と一括りにしないで!
「あ、ネラフィラだ~」
と、メルヘン飛び(どんなかは勝手に想像して)で姉御へとダイブするプリッつあん。え、知り合いなの?
「久しぶりね。元気にしてた?」
なにか可愛いものを扱うようにメルヘンを手のひらに乗せる姉御。え、なに、この乙女空間は? 田舎にはないピンクな色が咲き乱れてんですけど!?
「元気だよ~! ベーはバカだけど」
いや、後半必要?! つーか、なにサラッと宿主を貶めてんだよ。バカって言うヤツがバカなんですぅ~!
と、心の中で言っておく。言ったら三倍になって返って来そうだからよ……。
「ってか、なんでこの二人、こんなに仲イイのよ?」
今さらプリッつあんの交遊関係に突っ込みはいれないが、姉御がこれほど慕うなんて珍しいことだよ。妹と言い張るオカンにさえこんな態度取らないのにさ……。
「お友達だから、みたいですよ」
なにか事情をお知りで?
「わたしも詳しくは知らないのですが、よく相談し合ってたら仲良くなったみたいです」
どっちがどっちに? なにを相談してんの? とか訊くのが怖いので、これもサラッと流しておきましょう。
後ろから流れて来る女子トーク(?)をバッタバッタと薙ぎ倒しながら我が家に到着した。
ドレミ馬車を転移結界門の前に横づけする。
「聞いてはいたけど、本当に家から出たのね」
「ああ。館にオレの居場所がねーからな」
いや、あるにはあるが、ほとんどいないのだからないのと同じだ。それに、あの家はもう親父殿とオカンの家だ。小舅に構わず新しい家族を築いたらイイさ。
「姉御の喫茶店もこっちな」
御者台から飛び降り、転移結界門を開けた。
「「お帰りなさいませ」」
うおっ! びっくりした! なんだよいったい!?
メイドさんが二人、門の前に立っていた。
「ネラフィラ様の案内に用意しました。ネラフィラ様が場所を選んでいる間にカイナーズホームに行かれてはどうです?」
ミタさんが後ろからそんなことを提案して来た。
「え、ああ、そうだな。そのほうが早いか」
確かにミタさんの提案がよさそうだ。うん、そうしましょう。
「プリッつあん、姉御を頼むな」
「いったいなんなの? なんだって言うのよ? 説明してよ」
「姉御がブルーヴィに住む。喫茶店をやりたいって言うから姉御が気に入る場所を見つけてくれ。オレはその間に建物と必要なものを買って来るからよ」
「ベーが選ぶの?」
「オレにお洒落センスはねー。カイナーズホームのヤツに頼むよ」
山の中の茶屋ならイイ感じに用意できるが、女が好みそうなものなんて知らんわ。
「なら、わたしが選ぶわ」
と、姉御の手のひらからオレの頭の上へとパイ○ダーオンした。
「ネラフィラ、わたしが可愛いのを選んで来るからね」
「ええ、お願い。任せるわ」
姉御がイイと言うならオレに反論はない。好きにしてちょうだいな。
「ミタさんはどうする?」
「お供します。あと、ココノ屋はいかれますか?」
ココノ屋? あ、まあ、選んでいる間にいくのもイイかもな。どうせオレに口出す権利はねーんだからよ。
「減ったから仕入れておくよ」
今度いついけるかわからんし、買えるときに買っておくか。
「お供します!」
うん、まあ、好きにしたらイイさ……。
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