第841話 金のプレミト銀のプレミト
カイナーズホームにいるドレミ──いや、レモンか? まあ、分離体から商品が揃ったとのことで、サクッと行ってお買い上げ。合計金額二十五万円に眉をしかめたものの、安くてラッキーで納得。バビュンと戻って来た。
「お待たせ。これ、ナイスガイに渡したいんだが、レヴィウブの誰かに頼めるかい?」
待っていてくれた公爵どのに尋ねる。
「できるが、すぐに会えるぞ。車を置けるところができたら招待するからな」
「呼んで大丈夫なのか? 欲しがるだろう」
冒険クラブに入ってるなら車には興味を引かれんじゃねーの?
「さすがに車は広められんからな、友達価格で乗せてやるよ」
悪い顔してますよ、公爵さま。
「まっ、公爵どのの好きにしたらイイさ」
オレの管轄じゃねーしな。
「そんで、このままシュンパネでいくのかい?」
「ああ。でも、レヴィウブを出てからだ。マダムシャーリーに失礼だからよ」
確かにそうだな。次回もこれるように礼儀正しくさよならしたいしよ。
冒険クラブの部屋を出て出入口に向けて歩いていると、あの小部屋にいた執事風の男が横からすぅーと現れた。びっくりしたー!
「気配出せや。心臓止まるわ!」
こいつも人外とわかるが、気配なさ過ぎ! レイコさんよりタチがワリーわ!
「申し訳ありません」
そう謝るものの、満面の笑みは崩さない。クソ。止める気はねーようだ。ほんと、タチワリーな!
「で、なによ? 見送りか?」
「はい。マダムより仰せつかりました。それと、これをヴィベルファクフィニー様へ」
と、銀の盆にビロードを敷いたものを忽然と出現させた。
「……人外ってどこからともなく出すの好きだよな……」
「うん。お前もな」
なにか公爵どのから突っ込みを受けた。ごめん。意味がよくわからんのですが?
まあ、この流れを止めるのもヤボなのでこのまま流させてもらいますけどね。
で、ビロードの上には金色のカードと銀色のカードが載っていた。
……金の斧、銀の斧的なものか? いや、オレのでもなければ沼(あれ? 池だっけ?)にも落としてねーけどさ……。
「玉様とマダムより預かって参りました」
二人(と言っておこう)から?
「金のプレミトは玉様からです。いつでもレヴィウブへお越しくださいませ」
つまり、フリーパスってことか?
「銀のプレミトはマダムからです。レヴィウブ内に場所を作りましたのでご使用ください」
……それは、もしかして、出店OKってことか……?
「外国の、それも村人なんかが使ってもイイのかい?」
その問いに執事風の男の笑みが微かに揺れた……ような気がした オレの気のせいか?
「玉様があなたを認め、マダムが了承しました。それがすべてでございます」
なら、断るのも失礼か。
「オレの代わりを寄越しても構わないかい? いろいろやることが多いからよ」
ダメなら諦めるが。
「六人までなら大丈夫です」
と、ビロードの上に銀のカードが六枚追加された。身分証明書的な役割もあるのか?
「随分と破格な扱いだな」
「ヴィベルファクフィニー様とは仲良くしたいとのことですから」
「なら、オレも仲良くできるなにかを返した方がイイかな?」
お玉さんやマダムシャーリーって、なんか欲しいのあったりする? あったら教えて欲しいんだけど。
「玉様は来ていただければそれでお喜びになります。マダムは宝石がお好きなので珍しい宝石でも差し上げてください」
お玉さんはともかく、マダムシャーリーは俗なもんが好きなんだな。まあ、贈る方としては楽だからイイけどよ。
「わかった。次回、来たときに友好の印として贈らせてもらうよ」
次回がいつになるかわからんけど、太陽の石や珊瑚の宝石を持ってくるよ。あと、珍しいピンク色の真珠もな。
金のカードと銀のカードを無限鞄へと仕舞った。
「お玉さんとマダムシャーリーによろしくな」
「はい。またのお越しを心待ちにしております」
手を挙げて答え、ゼロワン改+キャンピングカーがある地下へと向かい、レヴィウブをあとにした。
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