第510話 人材大量確保
エリア2から下りて港に入ると、なにやら港が賑わっていた。
「それになんか港が広くなってんな?」
タケルの潜水艦が回れるくらいに広くした記憶はあるんだが、五十メートル級の船(魔道船)が二隻が余裕で停泊できるほど広くした覚えはねー。
それに、港の奥行きが遥か向こうに見えている。つーか、町になってね?
なんかいろいろ変わっていて、まるで違う港に来たような感じだった。
「ベー様」
浦島太郎のような気持ちで港を見ていたら、魔族の商人たるアダガさんが現れた。
「おう。久しぶり。来てたんだな」
前に香辛料を運んで来るとか言って帰っていったんだが、結構早く来たもんだ。近いのか、魔族の大陸って?
「はい。なかなか優秀な魔道船が手に入りましたもので」
その魔道船をもう一度見る。
「……魔族は造船技術に長けてんのかい?」
どう表現して言いかわからんが、海の上では会いたくねーフォルムだな……。
「魔族が、と言うわけではありません。まあ、魔族にも物好きや変わり者はいると言うことです」
「人も魔族も変わりはねーか」
まさに生命の神秘だな。ハイ、テキトーです。
「ふふ。ベー様らしい言葉ですね」
「そーかい? まあ、なんでもイイよ。ワリーが今からいくところがあるんでまたな」
「あ、ならご一緒してよろしいでしょうか? ちょっと相談したいことがあるので」
「構わんが、時間は取れんぞ?」
ただ頼み事を言いにいくだけだからよ。
「構いません。お願いします」
なんかよーわからんが、それでイイのならオレに否はねー。んじゃいこうや。
「そんで、なんだい頼みって?」
時間が惜しいので、さっそく尋ねた。
「実は、働き口の紹介と飛空船を譲っていただきたいのです」
働き口と飛空船?
「見たように魔族の者がここを聞いて移住して来たのですが、働き口がなく、蓄えを切り詰めて暮らしております。アバール殿とカイナ様にもお願いしてはいるのですが、移住する者の数が多くて追いついておりません。なにかいい案はございませんか?」
「……そいつらは、人に使われることをよしとする連中なのかい?」
ここ最近(歴史的時間で見れば、だけどよ)魔族との交流はねーし、魔族事情も知らねーが、そんな友好的な間柄じゃねーだろう?
「人の言葉に『背に腹はかえられない』とあるように魔族も人だなんだと語ってられません」
「つまり、もうそこまで追い込まれてるってことかい」
「はい」
そう重く答えるアガダさん。無駄に強いのも考えもんだな。
「働く意欲があるならオレが引き取るよ。ちょっと人手が欲しかったところだからよ。ただ、種族差別はしねーぞ」
人だろうが魔族だろうが働かねーヤツはすぐに切る。お荷物はいらねーからな。
「フフ。公平な方です」
「オレが気にするのはやる気があるかねーかだ。種族なんて二の次三の次だ」
文化や身体的違いはあるが、必要なときに必要なことができねー種族は滅びるしかねー。生きたきゃがんばって成長し、そーゆーふうに進化しろだ。
「はい。わたしもそう思います」
そんな革新的なアガダさんは、きっと別な生き物になれるだろうよ。
「それで、何人ほど引き受けてくださいますか?」
「働きたいヤツは何人でも連れてきな。やってもらいたいことは幾らでもあるからよ。何度も言うが、人に使われることをよしとする者。やる気のある者以外はいらねーからな」
「はい。わたしが責任を持って選別いたします」
収納鞄から金貨が詰まった袋を四つ、取り出してアダガさんに渡した。
「準備金だ。あんちゃんのところで生活に必要なものを揃えな。足りなきゃオレのツケにしてイイ。こちらの準備が整ったら連絡するよ」
「はい。そのように取りはかります」
「んで、飛空船ってのは?」
「わたしも移動手段を飛空船にしたいので、何隻か売っていただけませんでしょうか?」
「飛空船を? あんな立派な船があるのにか?」
フォルムは取り合えず横におくとして、結構性能よさげに見えるがな。ダメなのかい?
「我々魔族とは言え、さすがに自然には勝てません。ましてや海竜などの凶悪な生き物もいます。とてもじゃありませんが、そう何度も行き来はできません」
なんでもカイナの力で来ているから船にも人にも被害は出てないが、普通なら十隻出港して二隻も辿り着ければ成功らしいぜ。
「わかった。それもなんとかなると思う。ただ、オレも飛空船が必要なんで、博士ドクターに聞いてからになるがな」
「ドクター、ですか?」
「ん? 会ったことなかったっけ? まあ、今からいくから紹介するよ」
「わかりました。お願いいたします」
いつの間にか載ったエレベーターが研究階ってところに到着(なんか階が増えてたので、いそうな階を適当に押しました)した。
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