なぜ?どうして?こんな事になっているの?何か悪い事をしましたか?

一ノ瀬 彩音

第1話 公園

彼女は婚約相手の彼と都内某所にある公園へ来ているのですけれど、

公園の中はそれなりに人通りがあって活気がある公園です。


しかし、公園で彼女は彼と横並びで一緒に歩いているのですけれど、

彼女の指先が彼の手に触れると彼は手を引っ込めてしまうので

彼女は彼と手を繋ぐことは出来ません。


せっかくこうして会って一緒に歩いているのに手も繋ぐことも

出来ないなんて本当にやるせない気持ちでした。


もう一度、彼女の指先が彼の手に触れた時、彼は手を引っ込めてしまうので

手を繋ぐことを諦める彼女です。


手も繋げないとさすがにしょんぼりしている彼女は本当に

どうしていいのかもわからずにいるのです。


婚約相手である彼は急に立ち止まると彼女に言うのです。


「あのさぁ、悪いけどさ、婚約を破棄しようと思っているんだけどな、

いいよな?」


「なぜ? 婚約を破棄するの?」


「君の事が大嫌いだからだ」


「どうして大嫌いになったの?」


「今みたいに手を繋いでこようとしているからだ」


「悪い事はしてないですよね」


「そうだな」


「悪い事をしてないなら婚約を破棄する理由って

大嫌いなだけするのね」


「そういう事になるな」


「そっか、嫌われちゃいましたか」


「……………………」


彼女はその場で立ち尽くすと風の音と人との喋り声、

鳥の鳴く事が聞こえるくらいです。


婚約を破棄された事は余程ショックだったのか、

立ち直れるかは彼女次第であった。


「まぁ、頑張ってやってくれな」


彼は彼女の前から徒歩で移動してだんだんと離れていくと

彼の姿は見えなくなり彼女はまだ立ちつくしているのです。


婚約を破棄された事は現実なので夢でもないし、

受け入れないといけないのですけれど、受け入れるのに

時間がかかるかもしれません。


やっと彼女は歩き出すと目が虚ろで今にも死にそうな感じ

ですけれど、本当に大丈夫なのでしょうか。


彼女は公園から出ると何処へ向かっているのでしょうか。


そのまま彼女は歩き続けていると行く当てもなく歩いている

だけなのでどうしようもありません。


歩き続けていたら、いつの間にか、彼女は自宅へ辿り着いてて

扉を開けて中へ入るとそのまま玄関で靴を脱いで上がるのです。


彼女はご両親と共に暮らしているのですけれど、ご両親は

共働きをしてて基本的にはあんまり家には居ません。


彼女は階段を使って二階へ行くと自室に戻り、床にぺたんと

座り込んでしまって急に両目から大粒の涙を流して

泣いているのです。


彼女は心の中でどうしてこんな事になったのって思うのと、

なぜ、どうして、悪い事をしてないのに婚約を破棄されないと

いけないのかを考えているのですけれど、思い当たる事が

ないのです。


本当に大嫌いなだけで婚約を破棄されたと思うと

彼女は魅力のない女性だというのを知ってしまうのでした。


婚約を破棄されるというのは本当に切ないです。

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なぜ?どうして?こんな事になっているの?何か悪い事をしましたか? 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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