7歩
ぷんぷんと効果音がつきそうな様子で怒る俺にジャグは「よろしいですか?」と真面目な顔して俺と目を合わせてきた。
なにさ。そんな真面目な顔したってさっきの言葉は取り消せないんだからね!
「フェリチタ様の顔は、お美しいです。ああ、そんな眉を寄せたって可愛らしいだけですからね?ええ、ええ、分かっていますとも。ご自分のお美しさを受け入れられないのですね?ああ、なんといじらしい…。そんなフェリチタ様だからこそ私共も一層気を引き締めねば…。この綺麗な色をした髪と真白な雪のような肌と相まってまるで、そう天使のような……ごほん、とにかくですね?フェリチタ様はどこをとってもお美しいのです」
「…………………………あ、そうだ。ぼく、これ読みたいんだった」
別にジャグを無視した訳じゃないからね?本の存在を思い出しちゃったからね、仕方ないよね。うんうん。
フェリチタ様ぁ…と声が聞こえるけど無視無視。あ、無視って言っちゃった。
まぁどうせジャグは側にずっといるし、今更無視したってすごすごと去って行くような人物ではない。
しゅん、としている姿はまるで主人に怒られた犬のようだ。あながち間違いでもないけれど。
…ふぅ、仕方ないなぁ。
「…ジャグ、こっちきて。すわって」
「!!はいっ!!」
俺が声をかければパァッと顔を輝かせてぶんぶんと尻尾を振って駆け寄ってきた。
…うーん。犬のようだ。
椅子に座ったジャグの上によいしょ、とのぼってぽすんと座れば「ふぇふぇふぇフェリチタ様ぁっ!?」と今まで聞いた事のないような声と動揺具合に思わずふふふと声が漏れた。
「なぁに?」
「な、なぜ、このっこのような…!?」
「んぅ?だめぇ?」
「いえっだ、だめというか…!」
「じゃあいいでしょ?ぼく、これおちつくー!」
向かい合ってぐりぐりとジャグの胸に頭を押し付ければガチンッとジャグは固まってしまった。あらら。
…静かになったし、読もうっと。
しばらく本を読んでいたけど、その後復活したジャグに「こういった事をする時は周りに誰もいない事を確認してからにして下さると…」と言われたので取り敢えず頷いといた。
流石に俺もみんなの前ではやらないけど、心配性だなぁ。
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