1歩

ふ、と意識が戻って目を開けたら、そこには煌びやかな世界があった。

…ん?なに、天国って結構…。いや、眩しすぎないか…?

……てか、体が動かない…!?なに!?怖いんだけど!?


はくはく、と口を動かしても声も出ない。…もしかして金縛り…!?

天国でそれってあり?幽霊しかいないからって、俺も幽霊なのにそれってあり?ねぇ?

どんだけ意地悪なんだよ…!幽霊って自由に動けたりするんじゃないのか…!?


起きた時から体の自由もきかず、パニックになる俺。

ぐるぐると考えて、思いっきり叫べばいいのか…!という考えにいきついてすぅーと息を吸う。

よっしゃ!いけるぞ!



「、ふぎゃぁああ!!!」



はぁ!?!?!?!?

なに!?赤ん坊の声が聞こえたぞ!?なんだ、赤ちゃんもいるのか!?

赤ちゃんももしかして動けないのか…?そんな…!

俺が今すぐ声を出して…。



「ふぎゃ、ふぎゃ…!」



…待て。待て待て待て。

……勘違いでなければ、俺の口から出なかったか?

…。



「ふぇぇ…」



はい、俺の口から出ましたー。紛れもなく俺の口から出ましたー。


…なんっっっっだと!?!?

天国すっ飛ばして俺もう生まれ変わっちゃったの!?まじで?

えー嫌だ…。どうせ生まれ変わるならあの人たちのところで…。

…は!まさか、そんな奇跡が!?


泣き叫びながらも中身は俺なので、心はキラキラと輝いていた。

そんな奇跡、あるのかという期待で。

わくわくと期待している俺の体が不意に浮かんで、優しい声が聞こえてきた。



「あらあら、どうしたの?」

「ふぁぁん…!」



だ、誰だこの女性はー!!



「お腹が空いたのかしら?」



ちがーう!



「元気いっぱいだねぇ…ほらほら、ママを困らせてはいけないよ」



また知らん男性がこれまた優しい声で俺に話しかけてきた。

うう、あの人たちのところじゃないのかよー!


っていうかこの人たち美男美女だな!?


ひぐっひぐっと泣きつつ2人を観察してみれば、本来人間にはないはずのものが生えている事に気がついた。

……ツノ?






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