第5話 俺と幽霊娘たち3
『ふふっ、恐怖して待つがいいの。でも奈々の手下になるなら許してやってもいいの』
こいつ、完全に余裕ぶってやがる。どうする、従うか? いや、こいつはかなりの気分屋と見た。約束を反故にされる可能性もある。
そこまで考えてふと気づいた。こいつの霊圧から考えて、霊現象を起こせる範囲はかなり狭いはず。
ならばすぐそばにいるのでは? そう考えた俺は一計を案じる。
「なぁ、奈々っていったか? ちょっとビデオ通話にしないか? 俺は大事な話をする時って相手の顔を見て話すって決めてんだ」
『ふぅん……何を企んでるか分からないけど奈々が説得できると思わない方がいいの。まぁ奈々の可愛い顔を見ることぐらいは許してやるの』
そう言って通話がビデオ通話に切り替わり、奈々の顔が露わとなる。
「……へぇ、なかなか可愛いじゃないか」
俺は素直な感想を口にする。
年の頃は十歳前後といったところだろうか? 髪は長く、前髪を左右に分けておでこを出す髪型をしており、幼さが引き立っていた。
大きな瞳には強い意志の光が見える。おそらくは負けず嫌いな性格なのだろう。
だが何よりも目を引くのはその容姿だ。将来美人になること間違いなしの美少女で、その可愛らしさは芸能人にも引けを取らないレベルである。
こんな無垢な少女に今から下衆なことをするなんて少し心が痛む。
……いや、痛まないか。こいつが今からやろうとしていることは立派な犯罪だし。
俺はビデオ通話になった事を確認すると、素早くズボンを脱ぐ。もちろんパンツごとだ。
『ひっ!?』
『変態……!』
俺の奇行に貞代と佳代がビビって悲鳴を漏らすが、無視してスマホをあるモノの前にもってくる。それと同時に俺は霊能力で感覚を強化した。
これで準備はオーケーだ。
『えっ……なんなのこれ……? え……っ!? いやぁぁぁっ!!』
最初は何を見せられていたのか分からなかった奈々だが、さっきまでの強気な態度が嘘のように悲鳴をあげる。
それも当然だ。なぜなら彼女の目の前にあるモノはマイサン。すなわち俺の下半身にそびえ立つバベルの塔だからな。
奈々が悲鳴をあげた瞬間、動揺して大きくなった彼女の気配を探る。霊圧から考えて奈々の霊現象の範囲は狭い。つまりこの部屋の近くに潜んでいるということだ。
――見つけた!!
奈々の気配は窓の外、俺の部屋のベランダだ。俺は下半身丸出しでドアに飛びついて窓を開けると、そこには室外機に座った奈々が驚愕の表情を浮かべていた。
「捕まえたぁっ!!」
「ひぎぃっ!?」
俺はアイアンクローで奈々の顔面を鷲掴みにして、部屋の中に引き吊り込んだ。
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