第3話 俺と幽霊娘たち
数十分後、コブラツイストで女幽霊を屈服させた俺は彼女を正座させていた。
もちろんAVを見るためではない。コイツから話を聞く為である。
俺は目の前の女幽霊に目を向ける。
真っ白なワンピース着ており、年齢は……20代前半くらいか?
少しツリ目な長い黒髪の女性でかなり美形である。幽霊じゃなかったら口説くんだけどなぁ、勿体ない。そんな事を考えながら、俺は質問する。
「で? 何で襲ってきたんだ?」
「ごめんなさい。人違いでした……」
「……もういいよ、許すから。人違いってわかったろ? さっさと出てってくれよ、AV見れないじゃん」
俺は幽霊に向かって手を振って退室を促す。
コイツがいるとAVが見れないじゃないか。さすがの俺も女の前でAV見るほど変態じゃない。それにコイツの力なら人を驚かすことは出来ても呪殺なんて到底無理だ。
さっき殺されたって言ってたっけ?
一応コイツも被害者だし、放置してもいいだろう。
心優しい俺は見逃そうとするが、この幽霊はちょっとムッとした顔を浮かべやがった。
「あのぅ……私の部屋でAV見ないでくれます?」
「今は俺の部屋だっての。ちょっと自家発電したいからベランダいってよ」
「女の子になんてこと言うんですか!? つか、イカ臭くなる事やめてくださいよ」
「幽霊って匂い分からないんじゃん」
「そういう問題じゃないです! もう最悪……!」
「ああん? これ以上AV見るの邪魔すんだってんならまたコブラツイストいっとくか……?」
「ひぃっ!?」
さっきのコブラツイストで恐怖が刻み込まれていたのか、女は涙目になり、怯えた表情で縮こまってしまった。
ふむ、脅しすぎたかな? 俺は少し反省すると再び彼女に向き直る。
彼女は相変わらずオドオドしているが、口をモゴモゴと動かし、何か言いたい事でもあるようだ。
仕方なく俺は黙ったまま彼女の言葉を待つことにした。
そして数秒の沈黙の後、意を決したように彼女が口を開く。
『今だよ、佳代ちゃん!!』
「なにっ!?」
────次の瞬間、信じられないことが起きた。
突然、部屋の中が黒い何かに包まれたかと思うと、気付けば俺の目の前には女の顔があった。
それなりに整った顔をしているが、妙に陰気なオーラを纏い、凄絶な笑みを浮かべているせいで色々と台無しになっている女だ。
彼女――佳代と呼ばれた女の髪の毛が部屋中に伸び、俺の体を雁字搦めに巻き取っているせいで身動きが取れない。
『貞代ちゃん……私、やったよ……』
『ナイスです、佳代ちゃん。さぁそのまま絞め落としましょう!』
その瞬間、締め付けが一段と激しくなる。どうやら俺を気絶させるつもりらしい。
確かにこのままではヤバそうだ。俺は咄嵯に丹田に力を溜め、一気に霊力を放出する。
「神社生まれを舐めるなッ!!」
俺の霊力で佳代の髪の毛は弾け飛ぶ。そして俺は予想外のことに呆然とする貞代と佳代に渾身の力でアイアンクローを決めてやった。
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