夜の公園③

もうさすがに今度こそ大丈夫だろうと思いまして。

ダイエットのために走りに行ったんス。

恐怖より健康だなと思って。



ひと月くらいしてから、また夜の10時くらいに走りに行きました。

恐怖よりメンツだなと思って。

それに、チェックポイントは理解しましたから。


1.公園に入る前に風切り音がしてないかどうか。


2.グラウンド奥の街灯の下に誰もいないか。


1.は注意すれば公園に入る前に気づけることだし、2.は坂をゆっくり上がれば向こうに気づかれる前に退散できるので。

この二つを注意すれば、健全なダイエットライフが送れると思い、週末に走りに行きました。


公園入り口が見えてきたので歩きに切り替えて、耳を澄ませました。


何も聞こえません。


次に、入り口の坂をゆっくりと登りました。


少しずつ公園の地面が見えてきます。


街灯の周りには誰もいません。


オッケー!

オールクリア!


息を整えながらストレッチをし始めました。


念入りに身体中をほぐしていると、遠くでおじさんの声がしました。

犬の鳴き声や息遣いも聞こえてきます。

だれかが散歩してるんだろう。

そんなことを思っていると、ザザザと犬が走って来る音がして、ドサッっと背中にのしかかられました。

耳元でハッハッハッっと息遣いがする。

生暖かい息が右耳に当たってます。


びっくりしたぁ、と思いましたけど、すぐに後ろの方から「こらこらこら、ごめんねぇ」というおじさんの声がしました。

犬を背負ったままゆっくりと後ろを見ると、青いキャップをかぶったおじさんがリードをもって小走りになる様子が見えました。

おじさんの「ラブ!」という声かけに、背中にのしかかっていた犬、たぶんレトリバーくらいの大型犬でしょうけど、背中から離れておじさんの元へ走り寄りました。



めっちゃびっくりしました。



子犬なんです。



意味、分かります?



めっちゃでかい、子犬なんです。



ちょうど「銀魂」の定春、みたいな感じです。



フォルムは柴犬みたいな小型犬なのに、サイズが大型犬よりひとまわりでかい。



お座り、ってさせられている小型大型犬「ラブ」は、おじさんくらいの大きさがありました。



「びっくりさせたねぇ。誰もいないと思ってリード外してたんだよ。お兄さんに遊んで欲しかったんだね」




と、言いながらおじさんと大型小型犬「ラブ」が、公園から出ていったのを見送って、ダッシュで帰りました。




もう、二度とその公園には行かなかったですね。






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