16話 手の届かない範囲

彼女が妊娠したと言う事実は学校全体に広がっていた。

もちろん下の1年や2年にも。


彼女は学校に来なくなったし、彼も最近は学校に来ていない。

大丈夫なよかなもうそろそろ受験のピークなのに...

なんて考えながら心の中で笑ってた。


12月末。

冬休みが始まった。


今年は受験勉強で、遊びに行く予定はない。

勉強尽くしだ。


冬休み1日目

早速だが、提出物のワークを学校に忘れた。

折角休みに入ったのに、また学校に行くのは非常にめんどくさいし、学校までは15分ぐらいかかるので、地味に遠い。


めんどくさかったが、ワークは全く手をつけてなかったので、ワークを取りに行く。


行きたくねぇ。


そんな愚痴をこぼしながら、学校へ向かう。

職員室に向かい、教室の鍵を貰う。

その後2弾飛びで、教室まで上がる。

地味に汗が出てきた。


教室を開けて、ワークをとる。


....そう言えば前もこんなことあったな。


あまり思い出したくない思い出が蘇る。


教室の鍵を閉め、彼と彼女の思い出の場所に向かった。


当たり前だが、ここには誰もいない。


半年前か、短かったな。


好き、嫌い、殺したい、愛したい、苦しい、悲しい、抱きしめたい、離れたい、逃げたい、近寄りたい、両想いが良かった、彼女なんかいなければ良かった、


色んな感情が混ざって、ぐちゃぐちゃになって、


まだあの時どうすれば良いのか分からなかったし、答えは出てない。


複雑すぎる気持ちになりながら、職員室に行って鍵を返す。


職員室を出て、玄関に向かう。


その時だった。


話し声が聞こえる。


かなり大きい声で、怒鳴り合い、罵声の浴びせ合い、


男の人の声から、女の人の声まで、


こう言うのは大好きだ。


気になったので、その声のする方へ行ってみる。


声のする教室は会議室だった。


ワクワクしながら教室を覗くと、


そこには彼と、彼女と、先生と、2人の親らしき人が、喧嘩してた。


彼と彼女は黙っている。












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