第10話 ヒーローとヒロインのキスシーン
東京大学に着いた。
とりあえず門の前で集合写真を撮る。
正直東京大学は全く面白くなかった。
みんなは楽しそうに見てたが、国会議事堂の方が僕は楽しかった。
これぐらいのレベルなら僕は東京大学に入れる気がする。
その後学食を食べて、浅草に向かった。
浅草では平日にも関わらず人が多すぎて疲れた。
浅草で軽く時間を潰すと、東京スカイツリーに行った。
東京スカイツリーは地獄だった。
浅草よりも、地獄だった。
普通に東京スカイツリーのデッキに約200人が入ってそこそこ密集しててとても疲れた。
足が疲れて、頭がクラクラしてきた時に僕の目には、彼と彼女が見えた。
2人で話してる。
仲良さそうに。
楽しそうに。
そうだった。
忘れてた。
僕は負けたんだった。
土俵にも立てなかったんだ。
あの光景がフラッシュバックする。
夏休み、8月16日
彼女と彼が性行為してた日。
胸が苦しい。
痛みつけられてる感じがする。
彼女が、彼と幸せそうにしてるのを見ると胸が苦しめらる。
僕はその光景を見ることしか出来ない。
あの日も、今日も。
そんな光景を眺めてると彼と彼女らに人が集まってきてた。
胸がギュッと締められてる感じがする。
人集りが出来てきた。
彼と彼女を囲ってる。
そんな中、学校でおちゃらけてるやつが、
キッス、キッス、キッス、キッス
と手を叩いて要求してる。
するとみんなも手を叩き初めてキスを要求し出す。
彼と彼女は、顔を赤らめながら恥ずかしそうに見つめ合ってる。
もう、キスはしただろ。
何か、薄汚いものが、心のそこに落ちていく気がした、
もし、これがディズニーの世界ならハッピーエンドなのかもしれない。
もし、これが彼の物語ならハッピーエンドなのかもしれない。
けど、僕の物語なら、それはバットエンドだ。
やめろ!なんて言えない
キスも要求できない。
何も出来ない。
無力だ。
腰が抜けて地べたに座り込んでしまった。
誰も僕は気にされてない。
苦しい。
こんな所を見られても嫌だが、誰か気にして欲しい。
頼むから、彼の口が臭すぎてキス出来ないとか、そんな事が起きてくれ。
そんな事を願っていると、みんなが拍手しだした。
あぁ
負けたんだ。
僕。
もし、この手にナイフを持ってたら刺せたのに。
あの日と何も変わってない。
現実からまた目を逸らしてた。
何も持ててない。
モテない。
彼と彼女は持てる。
色んな人からモテる。
僕は持てない。
モテない。
早く終わってくれ。
こんな時間。
僕には願う事しか出来なかった。
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