第46話 スクールデイズ 

 ルキ魔法学校で学べる学問は以下の通りだ。


『魔法属性学』

『ディオ王国歴史学』

『魔法機械学』

『魔法薬学』

『魔法武器学』


「この落ちこぼれ共! 私の授業にしっかりついて来るのよ!」


 教室中にジェニ姫の檄が飛ぶ。

 入学したばかりの生徒たち10名は、その声にビックリして肩をビクつかせた。


「まずは、『魔法属性学』からよ。この世界の攻撃魔法は火、水、土、風の4つの属性で構成されているわ。魔法使いとしてどの属性を伸ばすかは自分で決めずに先輩魔法使いのアドバイスを聞いて決めること。いいわね」

「はい!」


 元気な返事だ。

 生徒からの質問が飛ぶ。

 それを受けたジェニ姫が厳しく応えている。

 校長の僕はその熱いやり取りを見て満足した。


「次は『ディオ王国歴史学』。この大陸は、今はグラン王国って呼ばれてるけど、ついこの前までは私の父、ディオ・アフォン・エスタークが統治してたの。ここはテストに出るわよ!」


 生徒たちが一斉にノートをとっている。


「エスターク一族は、500年前にこの大陸を見つけ切り拓いたの。奢り高ぶった狂った王グランやあなた達は、エスターク一族のお陰で今、ここにいるのよ」


 ジェニ姫は自分の胸を張り、その胸に親指を押し当てた。

 誇り高くこう続ける。


「エスターク一族は、100年に一度、流星が落ちる度に起こる厄災にも負けずこの大陸を発展させて来たの」


 僕は子供の頃、マリナに教えてもらった伝説を思い出した。


~~~~~~~~~

黒い流れ星が落ちる時、魔王がこの大陸に降り立つだろう。

同時に救世主も誕生する。

救世主は6人の使徒を引き連れ、魔王を倒すだろう。

~~~~~~~~~


 魔王討伐は勇者グランを中心としたパーティによって達成された。

 救世主がグランだとするなら、あとの6人、戦士のタケル、魔法使いのルビー、僧侶のコブチャ、武闘家のソウニン、賢者のマリク、そして雑用係の僕はその使徒ということか。

 そうか。

 ディオ王は伝説に従い、グラン達を集めたんだ。

 だが、悲しいことにグランは救世主では無かったということか。


「グランは私達エスターク一族の恩を忘れて暴虐の限りを尽くしているわ! 今こそ倒しに行くのよ!」


 ジェニ姫が生徒達を煽り、教室に連れ出そうとする。


「ちょっ、ちょっと待ってください! ジェニ姫。急ぎすぎです!」


 その日の夜。


「参ったわね。素質のありそうな子がいないわ」


 教室で僕とジェニ姫は途方に暮れていた。

 一通り授業を終えた後、生徒達の素質を評価しようとあるテストを行った。


 その日の夕方に時は遡る。


「皆、一列に並べ!」


 夕日でオレンジ色に染まった校庭。

 ジェニ姫は整列した生徒達一人ひとりの顔を覗き込む。


「今から皆さんをクラス分けします」


 生徒達の顔が強張る。


「クラスって?」


 一人の生徒が問い掛ける。


「能力ごとに分けます」


 生徒たちがざわつく。


「黙れい!」


 ジェニ姫が一喝すると、皆黙った。


「今から一人ずつ、この魔法陣に向かって召喚魔法を唱えてもらう! 召喚獣のレベルが高い者ほど良いクラスに配属する!」


つづく

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