第25話 バキバキ! 攻撃力比べ!

 カズシの計画はイケてると思う。

 だけど、一つだけ穴がある。

 それは、カズシよりもタケルの方が絶対的に強いということだ。


 二人のステータスを比較してみる。


 カズシのステータス(サチエの自家製能力測定器で測定)


  Lv.535

  スキル :魔法剣技(中級)

  攻撃力 : 1890

  防御力 : 950

  HP : 650

  MP : 1030

  素早さ :452

  知力 : 1216

  運 : 315


 タケルのステータス(マリクの能力監視キャパシティーモニターで測定)


  Lv.1000

  スキル :闘魂のバトルアクス

  攻撃力 : 9000

  防御力 : 1500

  HP : 2650

  MP : 0

  素早さ :252

  知力 :203

  運 : 115


 カズシはスライム狩りでかなりレベルを上げた。

 だけど、タケルには劣る。

 特に攻撃力においては戦士であるタケルに軍配が上がる。


 タケルは魔王討伐パーティの中で一番の攻撃力を誇っていた。(今は、グランの攻撃力9999の方が上だけどね)

 戦いの時はまるで血に飢えた虎の様に、得意の斧さばきで暴れ回っていたよ。

 戦意喪失して逃げ惑うモンスターを、どこまでも追い掛けて八つ裂きにしていた。


 カズシの気持ちは嬉しい。

 彼には『魔法剣技』というスキルがあるけど、圧倒的な攻撃力の前に勝つことは難しいだろう。


「カズシ、よろしく頼むよ」


 それでも僕はカズシに頭を下げた。

 彼のプライドを尊重するために。

 そして、一方では別のことも気にしていた。

 いや、取り越し苦労だったらいいんだけどね。

 僕は皆を信用してるから。


 一週間後。


 『ルキ食堂』の地下室から、タケルの城の城内に通じるトンネルが開通した。

 トンネル掘りには、サチエのギルドから『採掘』スキルを持つ人を雇ったから思いのほか順調だった。


「明日、決行する」


 地下室で、皆に囲まれたカズシはそう宣言した。

 正面から城に向かうAチーム1000人。

 トンネルを通って城内から攻め込むBチーム500人。

 東の国の国民は10万いる。

 命を優先したい者は不参加となった。

 仕方ない。

 皆、家族がいるからね。

 集まったのは死を覚悟した者ばかりだ。


「いくぞ、ケンタ」

「うん」


 カズシに声を掛けられ、僕はトンネルの中を進んだ。


「ん? 見ない顔だな?」


 カズシは僕の隣にいる男に目をやった。


「ああ、彼の名はグルポ。ギルドで雇った戦士さ」

「ふうん。ま、人数は多い方がいいか」


 カズシは特にグルポのことを気にしていないようだ。

 グルポは細マッチョの角刈り、タケルと同じく斧を使う。

 僕と同い年らしい。

 先日、サチエのギルドで雇ったばかりだから、彼のことはまだ良く知らない。

 一つだけ知っているのは、彼の攻撃力が9999でカンストしているということだけだ。


つづく

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