282●『ゴジラ-1.0』の続編を推理してみる。⑥『ゴジラ0』(仮称)は、こんな結末になるのかな?
282●『ゴジラ-1.0』の続編を推理してみる。⑥『ゴジラ0』(仮称)は、こんな結末になるのかな?
伊400型潜水艦の最終艦であるイ404は工程95%まで進んでいたが、1945年7月28日の呉軍港空襲により大破、日本軍の手で自沈処分されたというのが史実。
お話では、空襲を免れたけれど被害を受けたことにして、自沈したふりして潜航逃亡、日本海側の秘密民間造船所へ疎開、帳簿上は鉄屑ということにして、そこで戦後にこっそりと完成させたもの。
桜に錨……ではなく髑髏に錨のエンブレムをつけた軍帽を被った堤艦長は語る。
「神風だ回天だと、特攻しか能の無いバカどもの軍を脱走して、おれたちは海賊になった。お国のために死ね死ねと抜かして、部下を特攻に送り出した偉いさんはのうのうと生き延びてやがる。戦後は軍の隠匿物資で大儲けさ、あほらしい。だから俺たちは自力で生きてやる。ソ連や中国、朝鮮の軍、ほてから米軍さんから武器の横流しと密輸さ。トカレフやスチェッキン、そいからデグチャレフに、ピッカピカ最新鋭のカラシニコフよ。しかも朝鮮戦争で武器の値段はバカ上がりで商売繁盛ってものさね。戦争ウェルカム、人殺しドンマイよ!」
事実、朝鮮戦争勃発で米軍特需が発生し、不景気に沈んでいた日本経済は息を吹き返していく。戦争で衰退したニッポンは、戦争で復活していくのだ。隣国の数百万の犠牲者の命と引き換えに……
「戦争の道具に使われるゴジラを止めたい、協力してほしい」と訴える敷島たちだが、そもそもゴジラの存在を知らない堤艦長は取り合わない。「ごじらって食えるのか?」
「いやいや米軍の遠隔操作超兵器です、輸送艦九号にコントローラーがあるんです。奪ったらソ連が万金を積んで買いますよ!」と説得する野田たち。本心ではないが、ここはなんとしても堤艦長を巻き込みたい。
カネになる高価な兵器と聞いて、堤艦長は関心を示す。
「よし、行ってみよう、野郎ども、ガバチョと稼ぐぞ!」
野田たちは人質に取られ、敷島青年はジェット戦闘機・橘花で偵察に行かされる。
ソ連か北朝鮮の(タテマエ上、無国籍)の軍艦や戦闘機に攻撃されて追われる輸送艦九号を発見、海賊潜水艦イ404は接近するが……
海面を泳ぐゴジラは、ゴジタマを載せている輸送艦九号を守るように背中を向けると、放射熱線で席巻。ソ連か北朝鮮の艦船も航空機もたちまち殲滅してしまう。
「おおっ、これだこれだ、すげー超兵器じゃんか。コントローラーを頂戴するぜ!」と歓喜する堤艦長。
敵機の銃撃でボロボロ状態、沈みかけの輸送艦九号にイ404を横付けすると、救助するふりをしてたちまち武力制圧する。
「コントローラーって、このドデカタマゴか!?」と目を白黒させる堤艦長。
ともあれ放っておくと輸送艦は沈んでしまう。
イ404はクレーンを出し、
しかしその様子は、米軍の潜水艦もしくは航空機に監視されていた。
おとなしく泳いでついてくるゴジラを見ながら「えらいもんを拾っちまったな」と今後を案じる堤艦長。どうしていいかわからない。
思案しているうちに今度は米軍のB29に島を爆撃され、巡洋艦の砲撃を受ける。
イ404の
島をボコボコにする米軍、またもゴジラは怒り、放射熱線でB29と巡洋艦と、ついでに島も焼き払ってしまった。
この様子を監視していたのがソ連潜水艦。
「ハラショーな兵器だな、高値で買うぞ」とソ連軍部から堤艦長へ入電する。
いまや朝鮮戦争の勝敗を左右する超兵器として評価されたゴジラ。
敵味方の双方が綱引きで欲しがる。
まだソ連は昨年に原爆実験に成功したばかりで、核爆弾が兵器として量産化できていない。ここでゴジラを手に入れて米国艦隊にぶつければ、この戦争に楽々と勝利できるのだ。
よし、売った! とばかりに北へ向かおうとする堤艦長。
しかし、ゴジラは動かず、イ404を通せんぼする。
南へ行きたいのだ。
やっぱりゴジラは怖い、堤艦長はしぶしぶ、イ404の司令塔から命じる。
「南南東へ進路を取れ!」
沖縄を回り込んでグアム方面へと……
そこでマッカーサー元帥は決意する。
「ゴジラを原爆で排除せよ」
沖縄の東方の某島(大戸島としてもよい)の基地から原爆搭載のB29がイ404を狙う……つもりだったが、飛び立ったところをゴジラの放射熱線で撃墜される。
立ち上るキノコ雲。島に降り注ぐ放射性降下物。
日本人の住民は我先に、島から脱出を図る。
一方、米軍駆逐艦はヘッジホッグの投射でイ404に損害を与える。
浮上するイ404。しかし浸水し、沈没は必至だ。
襲い来る米軍機。
しかし米軍機も駆逐艦も、ゴジラの放射熱線で薙ぎ払われる。
累々たる犠牲者。
「もういい、頼むから、もうやめてくれ!」とゴジラと米軍の双方に叫び続ける敷島と野田たち。
そしてゴジラの次なる標的は……
さきほどの島から脱出してきた、避難民を乗せた貨客船「栄光丸」(日本の戦時標準船の一隻であるポンコツ民間船)だった。
イ404のカタパルトから発進した敷島青年の橘花は、ゴジラの気を逸らせる一方で、放射熱線の攻撃を自ら盾となって受けようと、ゴジラの開いた口に突進する。
今度は射出座席の脱出装置がなかった。本物の自殺攻撃。
しかし、ゴジラは口を閉じ、首を振って橘花をかわした。
旋回する橘花から、敷島はゴジラと視線を交錯させる。
ゴジラは、ただ家族である卵を守りたいだけなのだ。
それを邪魔する人類に反撃しただけなのだ。
敷島は悟る。ゴジラも俺達と同じだ、家族を守るために、死を覚悟して戦う。
しかしもう、手段はほかに残されていなかった。
イ404の艦首発射管には、二式大艇から分捕った二本のゴジラワクチン魚雷が装填されていた。
冷酷で計算高い堤艦長も、避難民の貨客船を前にして、翻意する。
死にさらされる無辜の人々に対して、悔い改めたのだ。
「おれはゴジラを売ることで、本物の悪魔になろうとしているのかもしれない」と。
黙って、野田にうなずく。
「許せ、ゴジラ、こうするしかないんだ!」
野田の手によって、魚雷発射。
ゴジラは、卵を載せたイ404に背を向けて、卵を守っていた。
無防備の背中に、ワクチン魚雷が命中する。
細胞が破壊され、ボロボロと崩れて、滅びゆくゴジラ。
イ404も沈没し、
敷島は不時着水。もしくはパラシュート降下。
堤艦長や野田たちも一緒に、駆けつけてきた駆逐艦雪風に救助される。
ばらばらになって海の藻屑と消えてゆくゴジラに、総員が敬礼。
「これで、よかったのか……でも、こうするしかなかった」と
「いずれまた、ゴジラは帰ってきますよ。きっと……」と野田も呟く。
無事に去り行く避難船「栄光丸」。
夕日に染まる太平洋。
エンドマーク。
スタッフロールに並行して、朝鮮戦争の戦場が映る。
成功する仁川上陸作戦。
勝ち誇るマッカーサー元帥。
テロップ。
「翌1951年、サンフランシスコ講和条約の締結により、日本は独立を取り戻した。
そして1953年7月、朝鮮戦争は停戦する」
「1954年 正月」のテロップ。
研究用の白衣姿で雪道を歩き、奇妙な洋館の門をくぐる、隻眼の科学者。
若い女性を連れている。
建物の表札は……
「芹澤科學研究所」
暗転。
*
さて、『ゴジラ-1.0』の続編、どうなることでしょうか。
当たるも八卦、当たらぬも八卦。あれこれと妄想しながら、楽しみに映画の完成をお待ちしています……
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