101●その他:セレブリティ讃歌③ “背面聴き”のフシギと、殺人音楽の可能性。
101●その他:セレブリティ讃歌③ “背面聴き”のフシギと、殺人音楽の可能性。
セレブさんの本領はオーケストラ。
クラシックはなんでもござれですが、アニメや映画音楽のオーケストレーションやブラス演奏も、うれしいほど聴かせてくれます。
少し脱線して、セレブさんでよくかけるCDについて。
セレブさんにふさわしいと思うソフトです。
たとえば伊福部昭先生の交響作品。怪獣音楽にとどまらず、『日本狂詩曲』『土俗的三連画』など、大好きです。これもセレブさんの真骨頂、マリンバが手の届きそうなところで鳴りまくる!
『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発 オリジナルサントラ』もオツなもの。21世紀の音ですが、随所に伊福部スピリットが偲ばれて、怪獣の進撃が肌で感じられる秀作ですね。
『冬木透CONDUCTSウルトラセブン』(東京交響楽団)とか、
『新海底軍艦…鋼鉄の鼓動MUSIC EDITION…』(ワルシャワ・フィル)はピカイチ、ズンズン来ます。
『サブマリン707R オリジナルサントラ』はド派手なオケとピアノが絶妙。セレブさんの得意技が冴えわたり、あまりの心地よさに、聴き始めると最終曲まで行ってしまいます。『タクティカルロア』や『終末のイゼッタ』、『荒野のコトブキ飛行隊』のサントラも良いですし、『シムーン オリジナルサントラ①②』はしんみりと心洗われる特別な逸品。そのほか……
『アヴァロン オリジナルサントラ』(ワルシャワ・フィル)
『交響聖譚曲サイレントメビウス』(モスクワ・フィル)
『ゴジラ×メカゴジラ』(モスクワインターナショナル・シンフォニック)『STUDIO GHIBLI 交響曲集』(チェコ・フィル)
『蒼穹のファフナー BGM&ドラマ①②』と、
『同・EXODUS サントラ①②』(ワルシャワ・フィル)
『涼宮ハルヒの弦奏』(東京フィル)
『ガールズ&パンツァー』(東京フィル)
『交響曲ガールズ&パンツァー』(チェコ・フィル)などなど。
ジャズもイケます。私にとってジャズといえば、コール・ポーター! 好きなSF小説『ベティアンよ帰れ』のベティアン嬢が愛聴していて、私もファンになりました。レトロにして
なお映画ですが『雨あがりの天使』(1968仏)のサントラもジャズっぽい味付けが素晴らしいです。ピアノが、サックスが、弦楽が切なくも天国の調べ。
戦争映画では『空軍大戦略』『遠すぎた橋』『大列車作戦』のサントラ、そして『ファイナル・カウントダウン』『スカイ・バンディッツ(邦題:ガンバス)』『スペースボール(メル・ブルックス監督作品)』のサントラも、音響世界が宇宙的に広がります。
メル・ブルックス監督作品は『メル・ブルックスの大脱走』(1983)のDVDでトリコになりました。昔の作品のリメイク物なんですが、リメイクして大成功! という珍しい例です。
で、『スペースボール』(1987)はメ監督の手になる、“スター・ウォーズ公式パロディ作品”。でも私は、ルーカスさんには悪いけれど、『スペースボール』の方が楽しい。詳しくはまた別稿で。
ともあれ『スペースボール』のサントラは、見つけたら即買いして正解(個人の感想です)の傑作。落ち込んでいてもこの一枚で結構立ち直れますよ。ただの馬鹿笑いじゃなくて、メ監督のお話には捻りの効いた人生観があって、そのウィットが伝わってくるのです。
*
『新海誠作品イメージアルバム PROMISE』を居間で聴いていたときですが……
食事するため、たまたま椅子を後ろ向きにして座ったんですね。
私の真後ろで、セレブリティが鳴っている。
で、気付きました。
正面から聴くのと、真後ろから聴くのとは、全然違う……
思えば私たち、音楽は原則的に、正面から聴く機会が大半ですよね。
そういうものだと思っていませんか?
ヘッドホンで聴くのは別として。
コンサートホールはまず例外なく、音は身体の正面方向から発生し、私たちは身体の前面で受け止めるかのように聴きますね。
実際に音が身体に入って来るゲートウェイは、例外もありますが、だいたい両耳とされています。なにか気になる音があると、そちらに振り返って頭部の正面を向け、ステレオ方式で音の発振源を探しますね。戦艦大和の檣頂の
警戒したり、狙いをつけたり、狩猟的な感覚で聴いているのでは。正面からだと。
これを反対にして、背面から聴くと……
背中から音に抱かれる感じ……と思っていたのですが、ちょっと違う。
耳でなく、脳幹で聴いている感じ。
同じ曲でも、なんだかスピリチュアルに聞こえるのです。
正面から聴くと、受け止める感じ。
背面から聴くと、
それも、音は両耳から入ってくるはずのところ、なんだか、頭蓋骨で、というか脳の中心、脳幹部分に、直接に響いてくる感じがします。
ちょっと、弱みをコンコンと叩かれているような聴こえ方。
戦国の城なら、不意に
まあ、私の主観的感想にすぎませんが。
音源はやはり、セレブさん程度以上の性能の機械である必要があるでしょう。
1~3メートルの至近距離が効果的かと思います。
椅子に掛けても、立ったままでも、目を閉じて、雑念を払って聴くこと。
ただ、おススメはしません。
人によっては不快かもしれませんから。
しかし、なんだか不思議な気分になれるかと思います。
これもオーディオの楽しみのひとつかと。
*
これとは別に、例えばヘッドホンで聞いているとき、両耳から入った音が頭蓋骨に反響して、頭の中にコンサートホールができたかのように感じたり、しませんか?
このとき頭蓋骨の固有振動数に一致する音が送り込まれて共振現象を起こさせたら、頭蓋骨を割る、もしくは脳味噌をぐちゃぐちゃの蟹味噌状態にしてしまう……という、殺人音楽が成立するかもしれませんね。マーダーミュージック。
原理は異なりますが、英国のTVドラマ『マックス・ヘッドルーム(Max Headroom)』(1984)の『死を呼ぶ電波催眠』の回では、映像に仕込まれた特殊なサブリミナル効果で、脳が過熱するという架空現象を扱っていましたっけ。おぼろげな記憶ですが。
あるいは、聴いているうちに昇天する気分になって、本当に昇天してしまう神曲とか、AIを使って作曲できるようになるかも……。
【次章に続きます】
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