この章は何度か読み返してしまいます。
特に三つの環境の変化については慧眼だとしか言いようがなく、モンスリー女史の変容のコアにそれがあるのは、初登場時の「あの戦争の時、あたしたちは子供だった」という彼女のセリフに象徴される、すべて奪われた者は周りに対して敵意を持つしかない、との対比になっているのでしょうね。
彼女も本来は奪われた子供だったことを考えると、本当に納得できる分析なのです。
作者からの返信
お読み下さりありがとうございます!
おっしゃる通り、モンスリーさんは子供のころに奪われたものが何であるか気づくことで、武器を捨てられたんだなあ、と思います。
「あの戦争の時、あたしたちは子供だった」のセリフに対して、オジイは説教しかできなかったですが、コナンは行動で彼女に回答したんでしょうね。
奪われたことによる深い傷付きの心理は、この作品の十年前の『太陽の王子ホルスの大冒険』のヒルダにも共通するのかと。
モンスリーはもしかして、宮崎監督の、ヒルダに対する補完キャラだったのかもしれませんね……
太陽の王子ホルスの大冒険は未視聴なのです。
宮崎駿監督も表現するのに妥協ナシの方ですね。
作者からの返信
『太陽の王子ホルスの大冒険』、いいですよ!
ぜひおススメです。
現在のジブリアニメや“ジブリ系”なアニメの本当の原点です。
今から53年も昔の作品なのに、生き生きと表現されていて、
CGの特殊効果がないかわり、場面場面が名画のように美しく、
背景と構図、色彩と音響を総合して緻密な心理描写を実現するなど、
現在の劇場アニメの水準をむしろ超えているのでは。
90分に満たない短い尺で、ストーリーが凝縮されているため、
説明不足な点は多々あるのですが、
そこを推理と想像で補うと、驚くべき伏線が浮かびあがる……
と、いまだに空前絶後な、物凄い逸品だと思います。