第15話 初めての強敵 幻虚獣(ホロウ)
そして早歩きで20分ほど。
「ここが目的地ね」
目的の東エリアに到達。とりあえず周囲を見回してみると──。
(随分と貧しい街だな)
不規則に並ぶ古びた家屋。街を歩く人々の服はどこかボロボロだったりみずほらしかったりしていて、貧しい人達が暮らしている。簡単に説明するとスラム街という印象だった。
そしてスラム街の入り口に入るとすぐにその巨体に気づく。
動物のグリズリーにそっくりだが、まず違うのは大きさと色。20メートルほどの巨体に、真黒な肉体。
「あれが
通常の兵器ではダメージを与えられない。魔法少女の攻撃のみが彼への有効打となる。
その種類は無数にあり、見つけた動物や人間を襲い続けるという習性をもっている。
彼らの特徴は一人一人が魔法少女10~100人分の強さを持っているということだ。
尋常ではない強さ、周囲から魔法少女たちの悲鳴が次々と上がる。
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
目の前にいるのは数10メートルともあるどす黒いオーラに包まれた巨体。そして最も特徴的なのが3つに分かれた首。
周囲を威嚇するような強い雄叫び、それだけで周囲の民間人や魔法少女たちを震え上がらせる威圧感を感じさせていた。
「あれが敵ということだな?」
「うん。けど最初は他のま──」
「別に、アイツを一人で倒してしまっても、構わないんだろ?」
自信満々に俺は叫ぶ。サナはあわあわと手を振り始めた。
「そうだけど、
なるほど、けど魔法少女達、苦戦してるようだ。彼女たちの顔に焦りと戸惑いが浮かんできてるぞ。
俺は隣にいる青髪の魔法少女にあいつがどんな
「あの
疲れ切った表情をしながらの言葉。確かゲームでもこういうタイプの敵はいたな。確か倒すには復活できないくらいのダメージで1撃必殺をするか、回復の隙を与えないくらいの連続攻撃で倒しきるかのどっちかだな。
とりあえず変身するか。
シャイニング・フレア・プリズムダスト・エンブレス
キャミソールに近く、灰色と白を基調としたフリフリの衣装。昨日も感じていたけど、やっぱり派手な衣装だなこれ。
そしてサナも変身をする。
エンシェント・エンライズ・ピーチハート・コーティング
サナの衣装は髪色と同じピンク色を基調としたかわいい系の衣装。ピンク色のメイド服に近く、肩が露出していて色気を出している。
ユピテル戦ではよく見てなかったけどかわいさがあふれる衣装だ。
「サナ、俺に作戦がある。ちょっと協力してほしい」
そして俺はサナに耳打ちしてその作戦を話す。引き受けてくれるといいな。
すると──。
「わかった。遠距離なら私得意だから、任せてよ」
とりあえず首を縦に振ってくれた。よかった。
そして俺は
3つの首が一斉に咆哮を上げる。
その姿に暗鬱な雰囲気だったこの場所のあちこちから悲鳴や恐怖の声が聞こえてくる。
「あれ、強いよ勝てるわけないよ」
「どうしよう」
そんな弱音を吐く魔法少女たちの前に俺は立つ。
「あとは俺たちに任せて、君たちは撤退して」
「そんな、たった1人で。無理ですよ」
「大丈夫。あとは俺たちがやるから」
そして俺が
そこに大量の魔力が渦を巻いているのがわかる。
(来る──!)
「みんな、逃げろ!」
その叫び声とともに、ほかの魔法少女はその口の先から全力で逃げ出す。
数秒後、
「まともに食らったら終わりだな」
そう俺は覚悟を決める。しかし、行かなければ倒すことはできない。行く以外に道はない。
俺は深呼吸して呼吸を整えると、
グォォォォォォォォォォォォォォォォォ!
俺はその光線を横に、上に、ギリギリでかわしながら大きく飛び跳ね、敵の首元で剣を振り下ろす。
ズバァァァァァァァァァァ!
俺は幻虚獣の足元に着地、これなら攻撃は来ない。至近距離ではなったら自分まで焼かれるからな。
攻撃は前方の建物に直撃、豪快な爆発音を上げ周囲は廃墟と化す。
「下がって!」
サナの叫ぶ声が聞こえる。俺はその言葉通り後方に大きくジャンプする。
その瞬間、俺の頭上を巨大な魔力が伴った攻撃が飛んでいくのがわかる。
攻撃は
「このスキ、一気に決める」
俺はその連続攻撃をかわしながら一気に接近。大きく飛ぶともう1つの首を切り落とした。これで首はあと1つ──。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます