第34話 ラミスの力
二人は互いに睨みつけながら兵器を取り合い相対する。そして──
「行くぞ!!」
「来い!! お前も俺様の養分にしてやる!!」
両者の決戦が始まる。戦いが始めるや否や幸一が自身の剣を振るい始める。
十数個にも及ぶ炎が銃弾のようにラミスをめがけて突進していく。
「なんだぁ? そのおもちゃは!!」
十数個の炎の弾を容易く薙ぎ払う。しかし幸一はそれをおとりと考えており一気に間合いを詰める。
そして一気に急接近すると 下段から切り上げる。
「甘いぜ!!」
ラミスがその一撃を自身の斧 で受け止めると兵器同士が激しくぶつかり合い火花が舞い散る。
幸一はそれに対応するためすぐに剣を回転させ一気に振り下ろす。
ラミスはそれを自身の兵器で弾く、そしてカウンターの攻撃を薙ぎ払おうとする、しかし幸一はそれよりも素早く切り下ろす。
ラミスがすぐに身を後方に翻し何とかかわす。幸一がさらに身を詰め寄る、しかしすぐにラミスが立ち上がり対応する。
その後も幸一が切り下ろし、突き、薙ぎ払いを繰り返し彼女に攻撃を繰り返し圧倒する。
ラミスは防御に専念し防戦一方ながらも有効打を許さない。
両者の兵器が衝突するたびに火花が舞うような激しい戦いを二人は続けていた。
「やるねぇお前、この俺様をここまで圧倒するとはねぇーー」
(ちょっと作戦を変えるか──)
邪剣な笑みを浮かべながらナイトメア・バロールを振り上げる。
ナイトメア・バロールが震え出しながら灰色に光る、そしてその光が地面を伝い幸一の所へ向かっていく。するとマグブライドが叫び始める。
「幸一君、気をつけるんだ。そうやって君は敵は君を弱体化させてくる。私の時もそうだった!!」
この声に幸一が耳を傾けるとラミスは振り向いて逆上し始める。
「黙ってろ負け犬がぁ!!」
ナイトメア・バロールを宙にあげるとその周りが灰色に光り始める。
今度はサラがその圧力に負けずに幸一に向かって叫ぶ。
「ラミスさんの力なんです、特殊な磁場を発生させああああああああああああああああっ」
「余計な事しゃべるな、黙ってろ!!」
ラミスはその言葉を言わせまいと再び二人の力を吸収。
その力に苦しみ悶えるサラ、しかしサラはそれにも負けずに幸一に向かって叫び続ける。
「マグブライドさんが戦った時もそうだったんです、その力が発動して急にマグブライドさんの動きが乱れ初めて負けてしまったんです」
その通りだった。幸一がここに来るまでのラミスとマグブライドの戦い、初めは激しく互角に戦っていたがラミスがこの特殊な磁場を発生させた途端急に彼女の力が弱まり形勢が傾き敗北してしまったのだった。
幸一はとっさにその場から身を翻し左に身体を回避。しかし──
(いい勘をしているねぇ──。だがその程度で防げたと思うなよ!!)
ラミスが再びナイトメア・バロールに力を込める。
「え──?」
またしても灰色の光が地面を走る、そして五メートルほど走ると一気に拡散し始める。その広さはさっきよりはるかに広い範囲になっていた。さっきのは囮だったのだ。
幸一は気づいていたものの跳んでよけられる広さではなかったのでどうすることもできず──。
身体にしびれを感じる幸一。見る見る動きが弱まってしまい、ついに膝を屈してしまう。
それを見ると彼女の瞳は凶暴に輝かせ、口元に牙を覗かせながら笑みを見せる。
「これでおしまいだぁ!!」
そしてラミスの眼前に巨大な砲弾のような球体の物体が出現する。
そしてそれを幸一に向かって放ちそのまま直撃して爆発、そのまま身体がピンポン玉のように身体を吹き飛ばし壁に激突する。
ラミスは勝負を決めるため一気に間合いを詰める。だが幸一も負けてはいられない。
「負けるかよ、こんな人の気持ちを踏みにじる奴なんかに!!」
幸一は強いしびれを振り切って強引に立ち上がる。
するとラミスがふいに膝を折る。
「流石に魔力の維持がきつそうだ、もう底を尽きそうになるとはな──」
ラミスが苦痛の表情をゆがめながら囁く。
「二人の拘束と能力の発動、そして遠距離攻撃までやるとなると魔力が足らなくなるな……」
しかし力を振り絞って何とか魔力を維持させる。
「まあいい、これで勝負を決めてやるぜ!!」
その攻撃が大きく爆発し幸一の体が吹き飛ばされる。
数回転地面を転がった幸一は素早く態勢を立て直す。
ラミスは魔力が尽き、悔しい表情をしながら一端後方に下がり魔力を補てんする。
彼女の能力が弱まっている今がチャンスと考える幸一。
(ここだ、行かない手は無い──)
涅槃なる力、今世界を轟かせる光となり降臨せよ!!スピリッド・シェイブ・ハルバード
まだ防御術を持たない幸一はラミスの攻撃をスピリッド・シェイブ・ハルバードで相打ちにして何とか防いだ。
「使っちまったなァ!! その術式、強力だが無駄撃ちは出来ないはずなのになァ」
「くっ!!」
煽るような口調で叫ぶラミスに歯ぎしりをする幸一。
確かに次この術式を使ったらもうこの術式は使えない。
強力な半面何度も使用できないという弱点もあった、イレーナがいる時に試したところ、二回撃ったところでフラフラになりほとんど魔力が使えないくらい消費が激しかった。
そして詠唱なしで炎の球を出すと威力が弱くて相手を撃ちとることは困難だろう。
(次にやつによけられない術式を使われたら、俺は強い技を出すことができなくなり俺の勝ちは困難になる)
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