黒い影
ツヨシ
第1話
あれは夏の暑い夜のことでした。
遅くまで残業をして家に帰る途中で、事故現場に出くわしたのです。
郊外の脇道。
この時間はあまり車が通らない道です。
片側一車線の道の対向車線側がパトカーと救急車でふさがれていました。
そして警官の誘導でパトカーの横を徐行で通り過ぎようとしたとき、パトカーと救急車の間に事故車両の軽自動車を見ました。
何にぶつかったのかはわかりませんが、前方が完全に押しつぶされています。
運転席もこれ以上はないくらいにつぶれていました。
――あちゃーーっ。
あれでは運転席にいた人間はひとたまりもないでしょう。
とても生きているとは思えません。
私が見たときには運転席に人はいなかったので、もう引きずり出された後なのでしょう。
そして救急車の後ろにそれはいました。
黒い影。
そうとしか言いようのないものです。
警官でも救急隊員でもありません。
人型で全身真っ黒のぼんやりとしたものが、そこに立っていたのです。
――!!
それが私を見ているような気がしました。
顔にあたる部分は真っ黒で、目など見当たらなかったというのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます