焉貴の無機質

 焉貴これたかは四番目に結婚した夫である。彼を一言で表すと無機質。感動したりするにはするが、感情を表現することがない。というより、感情を持っていないと言った方が正しい。


 結婚して、しばらくすると、空気みたいな存在とはよく言ったもので、風のように素通りする。近くに寄ってもこない。


 だがしかし、それは彼が愛に冷めたとかではなくて、そういう性格なのだ。二人で話をするにしたって、話しかけても、


「そう」


 と、無感情にうなずくだけで、余分な言葉がない。でも、それでいいのだ。諦めているのではなく、それが彼との自然な関係なのだ。


 一喜一憂する私とは対照的な焉貴。最初の奥さん――莎理ざんりに、プレゼントを渡した時、彼女は泣いていたと言う。無感情に日々を過ごしてきたのだろう。たまには、サービスもいいもんだ。


 彼との間に、先日子供が五人生まれたが、名付けをしないまま二週間以上が経過してしまった。彼は三百億年以上生きていて、価値観がかなり違っている。届出の猶予は一ヶ月ある。だから、焦らないのだ。


 私など、早く決めないとと、フライング気味の毎日だというのに、彼は落ち着いていると言うよりも、冷静である。ブレない性格だ。


 私の中では、面白い旦那である。


 2020年10月11日、日曜日

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