声を出し方

 小説は書いてはいるのだが、音楽に熱中することが多いというか、せざるをおえない。なぜなら、十数年もやらずにいたのだから、昔を取り戻すのではなく、前にしっかり進まなくては、だ。


 今日は声の出し方。普通は、地声――普段話している声で歌う人が多いと思う。あとは、たまに裏声とかだろう。しかし、私は裏声は使っても地声は使わない。地を這うくらい低いのだ、若い時から。ツヤもなければ華やかさもないボソボソの声色で、昔から好きではなかった。


 では、私はどうやって歌っているのかというと、ミックスボイスというのを使っている。これは、地声と裏声を両方混ぜたものだ。女性がよそ行きの声を出す時に似ている。あれをもっと、芯を強く太くした感じである。


 裏声を混ぜている分、低い音程が出づらく、若い頃はずいぶん苦労したものだし、限界を感じた。しかし、生きていればいいことはあるのである。あれから、二十数年、低い音が大きく出るようになったのである。なぜか、それは、人間年齢を重ねると声が低くなるからだ。


 ミックスボイスを使っているので、高い音程はそのまま出ている。大幅に音域が増えた。ラッキーである!


 チャレンジの日々だが、やはり限界はある。若い頃は先生がついていて、事細かく注意をしてくれたものだが、今はいない。どうすればできるのか。


 低い音は不安定になる。一生懸命やってもできないのであるが、ある日、とうとう方法を見つけた。やはり年齢を重ねないとこの発想は生まれないのかもと思った。力を抜いて、裏声の割合を増やすのである。高い音しか出ないはずの裏声でも低いところは悠々歌えるようになったのだ。


 押してもダメなら、引いてみな――の発想である。

 日々精進するぞ。


 2020年9月19日、土曜日

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