第189話 さてと、変なものが沢山集まりました。

前回のあらすじ:2人は流石に歴戦の強者であった。



 大量のお肉を手に入れたので、領内に戻って2人の紹介を兼ねて、ボアの肉で夕食会を開いた。また、そのときに領内を案内しつつ、2人を紹介して回ったのだけど、予想以上に大歓迎を受けて当人達もそうだけど、私自身も非常に驚いた。


 ウラーさんは光魔法としてかなりの能力があったらしく、武術大会が終わってから光魔法の指導を担当することになるそうで、ウラーさんも承知してくれた。そのウラーさんだけど、フロスト領にあるアマデウス教会を見た途端、涙を流して感動していた。一応、ここの領内のルールとして、神殿には専属の神官は置かないことを伝えると、それについても了解してくれ、むしろ、指導員としての仕事を与えられたことに対して感謝していた。何より、ここにはモノホンのアマさんの気配がすると、むしろ恐縮していた。このじいさん、やるな。


 フライドさんについても、我が領では珍しい剣術使いということで、教官役のマーシィさんを始め、エーリッヒさん達ゴブリンの3隊長もこれで本格的な剣術が、とか言って喜んでいた。・・・普通は剣術使いが一番多いはずなんだけど、ここって不思議と剣術の専門家っていなかったんだよね、、、。マーシィさんって、普段は大剣を使っているけど、本業は体術なんだよね、、、。これ知ってるの、私以外だとマーブルくらいじゃないかな? ジェミニとライムは知らないかも。別に隠しているわけではなく、知らなくても問題ないレベルの内容だからねぇ、、、。


 で、そのフライドさんなんだけど、もちろん2つ返事で了承してくれた。ただ、「彼らって俺らより強いんだから、俺らの指導必要?」とか言ってたけど、やはり本格的な技術は必要である。技術が充実してくれば充実した分領内のみんなが強くなるのは間違いないのだ。自分で習得することはもちろんだけど、それ以上に対応ができるようになるというのは大きい。そういうことで、明日からバリバリ鍛えてもらいましょうか。


 さて、私は私でしなきゃならないこともあるからそっちをやりましょうかね。大量に材料はあるけど、消費もかなりのものだからね、さっさと準備してしまいましょうか。ボアといえばイノシシだけど、どちらかといえばボア肉というよりも瓜坊の肉なんだよね。瓜坊の肉は軟らかくて臭みがないので調理しやすいし、何よりも肉の塊で手に入れられたからこのまま調理できるのはありがたい。いくら調理しやすいとはいえ、丸々一頭であれば、血抜きやら解体やらで何だかんだ言っても手間がかかる。


 そういえば、誰にも言っていないのに何故か領民達は肉祭りを行うことを知っている。何故か。まあ、連絡する手間が省けたと考えれば良いか。そんなことを考えるよりも、早急に調理することの方が重要である。何故なら、私の可愛い猫(こ)達が今や遅しと待ち侘びているのだ。ということで調理開始!


 大量の瓜坊の肉とボスドロップのヒュージボアの肉を収納から取りだして、加工台に置く。マーブルが風魔法で適当な大きさの塊に切り分ける。ジェミニはその間に竈に鉄板を置いていく。ライムが鉄板に油を引いてマーブルが今度は火魔法で鉄板を空焼きする。それをアンジェリカさん達が吹き上げて鉄板の準備を完了させていく。私はその間に肉達に対して水術を使って火を通していく。いわゆる低温調理というやつである。しばらくその状態にしておいてじっくりと中まで火を通していく。火が通ったら、鉄板に全方位を焼き上げてお肉の準備が完了する。


 低温調理をしている間、マーブルは火の管理を行っており、ジェミニ達は皿などを用意していく。領民達は領民達で、副菜となるものを調理したりしていった。また、皿に関しても自分たちで食べる用の分は各自でしっかり用意してくれている。流石に私も領民達+王都から来た人達の分の皿など持ってはいないからね。


 そんなこんなで料理は完成した。そう、焼き豚である。メンバーが全員席に着いたところで、これまた何故か皇帝陛下を差し置いて私が挨拶をして、夕食会の開催である。


 焼き豚パーティは大盛況のうちに終わってくれてホッとしている。マーブル達もそうだけど、リクエストしたアンジェリカさん達の表情も大満足であり何よりだ。


 次の日からしばらくは元フライドさんの家を中心に魔物を狩っていった。メンバーはわたし達いつもの8人とウラーさん、フライドさんの2人+我が領のペット達という編成であったのだけど、そのペット達で少し問題が発生していた、というか、何で君達まで来てんの? というのが正直な感想だった。当初では、豆柴達とウサギ族達で編成するということだったのだけど、何故か知らないけど、コカトリス達はもちろん、エーリッヒさん達まで入っていた。いや、あんた達ペットじゃなくて普通に領民なんですが、それは?


 解せぬと思いつつも、この辺りの魔物を倒していく我々であった。この近辺では、城と村を繋ぐ街道とは違って、魔物の種類も数も豊富であり、すでに1週間くらい続けたいたけど、初見の魔物達もかなり多かったのは驚いた。もちろん、何度か戦う魔物もいたけど、1回倒してからは再び出会わない魔物もかなりの種類存在していた。


 で、魔物の種類が多い、ということは、別の見方をすると、ドロップ品もかなりの種類に及ぶということに他ならない。その中でも肉や苗や種などの、フロスト領に恵みをもたらすドロップ品は非常に有り難く、フロスト領では質が劣るためあまり使われない毛皮などのドロップ品は、村での物々交換に大いに役立つことになったのは言うまでも無かった。・・・もちろん、ネタ装備、というか、使いどころの難しいドロップ品もちらほら出てきたこともここに付け加えておく。・・・鑑定結果が怖いけど、取り敢えずアマさん、お願いしますね。


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【どんがらの桃リボン HRK-83】・・・可愛さが上がるようじゃ。ただ、すぐに転びやすくなるぞい。

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 どんがらって、、、。まさか、擬音のアレ!? 転びやすいって間違いないだろ!


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【閣下の黒リボン HRK-83】・・・魅了のスキルが付くのう、ただ、アレ魅了か?

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 閣下で、黒リボンですか、はい、閣下ですね閣下。


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【DTPNの胸当て AZSー91】・・・通常の胸当てのようじゃのぅ。いや、何か効果があるみたいじゃが、ワシにはわからんのぅ。あ、これを着た状態で移動すると、勝手にどこかに飛ばされるみたいじゃぞ。

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 ・・・勝手に転移するって、、、。しかもDTPNの91だろ!? もう、あれしかないじゃん、、、。


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【真菊のスーツ MKT-73】・・・これ男専用装備に思われがちじゃが、残念ながら女専用じゃな。これを身につけると男に見られてしまうのぅ。変装にはうってつけじゃの。

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 おっ、珍しく役に立ちそうなモノだね。戦姫に身につけてもらうのもアリかもしれないね。後で3人に着てもらって感想を聞きましょうか。これは何着か欲しいけど、恐らく一点ものだろうなぁ、、、。菊で真ということは、恐らくそういうことなのだろう。


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【テンウィンズ AM・MI-74】・・・これは髪飾りじゃな。髪をまとめるように使うみたいじゃな。これを身につけると、斥候スキルが上がるようじゃな。何故か2つセットになっておるところは気になるところじゃが、、、。

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 テンウィンズって、、、。テンが10で、ウィンズって某場外馬券売り場ではなく、ウィンの複数形だろうか、前にテンってあるように、つまり十勝ということか、、、。普通に「とかち」でいいんじゃないのか? 地名なんだし、、、。詳しいことはわからないけどさ。何か使えそうだけど、恐らくこれ何かあるな。まこt

じゃなかった、真菊のスーツみたいに気軽に装備させるとまずいやつだな、封印決定。


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【ウッウーのがまぐち YYI-72】・・・ほう、これは可愛らしい財布じゃな。しかもお金関係に限って容量無制限の付与がかかっておるのぅ。それ以上にこれを身につけるとテンションが常に高い状態に保たれるようじゃな。あのウッウーというのはどこから付いたのかわからんが、、、。他には、何かの呪いが無効になるようじゃが、その呪いが何であるのかはワシにもわからんわぃ。

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 おい、ちょっと待て! 直球過ぎだろ!? 何だよ、ウッウーって!! ・・・とまあ、ツッコミはこの辺までにしておいて、と。お金関係のみとはいえ、容量無制限は凄いな。それと、呪いが無効になるとあったけど、多分、それ呪いじゃなくて制限が解除されるものと見た。とはいえ、やはり悪用されると怖いから、アレは封印継続決定だけどね。


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【ミ○プルーンの苗 MK-84】・・・ふむ。これ苗に見えるが装備品じゃ。これを頭に付けるとどこでも寝られるようになるぞい。また、極まれにもの凄く頭がさえるようになるらしいが、その極まれがいつ来るのかは正直わからんぞい。

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 おい、どうみても苗には見えないぞ! どう見ても、これアホ毛じゃねぇかよ!! ゆとりの元ってかい。あと、どこでも寝られるようになる、じゃなくて、いつ眠くなるかわからねぇ、の間違いじゃねぇのか!?


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【家族の店の制服 RTK-85】・・・ほう、これは何か作業しやすい服装じゃのう。青と白のしましま模様が特徴的じゃな。お主のいた国ではこういった服装をして働いている者が多かったのじゃろう? とても懐かしく感じたじゃろ? それよりも、これを身につけると、とある国の要職に就いている者にとても気に入られるっぽいの。

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 ・・・これ、どう見てもファ○マの制服ですよね? 本当にありがとうございました。ってか、とある国の要職って、パスタで有名な国のことだろ!? それ思いっきり某動画のネタじゃねぇかよ!! 記憶だと凄く面白かった記憶しかないけど。それよりも、制服なんだから、こういった一点ものじゃなくて、量産型にしておけよ、、、。制服なんだからさ、、、。


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【九牛のカチューシャ IOR-77】・・・ふむ、これも髪飾りの一種じゃな。前髪が下りてこないように着けるみたいじゃぞ。ん? これを身につけると罵倒スキル? みたいなものが付くようじゃぞ。しかし、これ魅了も含まれておるから罵倒といえるのじゃろうか、、、。

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 品番の方でわかります。これ、おでこが光り輝くアレですね、言わなくてもわかりますよ。しかし何で牛なのか、しかも九? ん? これ、「きゅう」じゃなくて「く」か? で、牛は「うし」じゃなくて「ぎゅう」なのだろうか、、、。なるほど、そういうことか。当て字だったのね、、、。


 いや、それぞれ変なものとは思っていたけど、シリーズものだったのね、、、。いや、シリーズものはいいんだけど、これだけ使い勝手のよさそうもないものが揃っても嬉しくない、、、。ってか、私以前いた世界でもこれらの関連しているゲームってやったことないんですけど!? この国の数代前の統治者がまさかPだったとか!? 当人達を呼ぶことができなかったからせめてグッズだけでもとか!? いや、グッズでも、これらはあり得ないでしょう、、、。


 やはり変なものは変なものとして封印するしかないかな。使い途難しいし、動画で見たことがあるから知っているだけで、筋金入りじゃなかったしな、、、。


 そんなことを考えつつも気落ちしているのを感じたのか、マーブル達がスリスリ攻撃をしてくれたので、何て可愛い猫(こ)達だ、と思いつつフロスト領へと戻ったのだった。


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ルカ「・・・アイスさん、何だか遠い目をしている、、、。」

セイラ「みたいだね。でも、懐かしそうには全く見えないんだけど。」

ルカ「アレは何だか呆れた表情?」

アンジェリカ「みたいですわね。何か、古傷をえぐられたような!?」

セイラ「アイスさんも、ああいった表情をするときがあるんですね、、、。」

アンジェリカ「ええ、あれはあれで珍しいですわね、、、。」


・・・マーブル達のスリスリ攻撃がある前の一会話でした。

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