戦闘シーン寄せ集め
春嵐
night revolver 白シャツver.
走った。後ろから軽装がふたり。
「くそっ」
夜の闇で、相手の姿がよく見えない。
「なんだって、こんなっ」
よりによって、雨の夜を。
気分よく雨に打たれて外を歩いていただけなのに。
「目立っちゃうじゃん」
私は白のシャツなのに。下はスカートだぞ。ちょっとはこう、考えろよ。
とにかく走りながら、探した。
「意外とないのね」
人通りがなくて、カメラや灯りもないところ。実に治安が良いことで。
「あっ」
人通りではない。灯りはあるが、車が通っていなくてカメラもない。大きめの交差点。
「いいね。ここにしよう」
立ち止まって、振り返る。
「おっ、よく見える」
黒服。スーツ。ふたりとも女。
「なんだ、そっちもスカートじゃん」
どこぞの不良ではなさそうだ。雨に濡れている服が型崩れしていない。拳銃ぐらいは潜ませているかも。
足元。濡れているけど、見た目ほど滑らない。灯り。大丈夫。逆光も乱反射もない。
相手。喋らない。動かない。
こちらも、ゆっくりと待った。
焦れて拳銃でも出してくれれば、早く終わるのに。
左側のほう。焦れてきたらしい。拳を握って構えをとる。
ふたりでかかるんだから、普通最初は動きを止めるべきでしょ。なんでグーなの。一対多数で殴り合いが成立するのはアニメやドラマばりの熟達した人間同士だけなのに。
とりあえず、屈伸から始めた。走っているから身体はあったまっているけど、細かい腱とかはまだ伸ばしてない。
黒い影。ふたり同時に殴りかかってくる。
ひとりの腕を極めて折り、もうひとりに押しつける。スーツ。胸。手を突っ込む。
「おっ」
あった。拳銃。
取り出して、相手に向ける。
リボルバー。
「いや、フルオート持っとけよ」
柄で、ひとりの眉間を殴る。もうひとり。胸を探っている。
「あなたの拳銃だけど。これ」
眉間にエイムを合わせる。
「ばんっ」
倒れた。撃つ真似で気絶するのは、映画の観過ぎ。
さて。放っておくと轢かれて死ぬしな。
眉間に柄をぶつけたほうの腰を探る。
「あれ、ケータイない」
普通は腰とかポーチとかに。
「えっ、もしかして」
胸を探る。あった。携帯端末。
「おまえらのむねは四次元ポッケか」
もういちど身体を転がし、指紋認証を指で解く。
「あら、まぁ」
厚生労働系列の方々だった。
「じゃあ警察でいいや」
ダイヤル、110。
「役所間のやり取りで苦労しなさい」
電話が通じる。
「あっすいません。道端に人が転がってます。女の人がふたり。銃も持ってます。いやほんとに。リボルバー」
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