妖狐さんと陰陽師少女のドタバタ翻弄記
宮北サブロー
第1話 壺の中から割れて飛び出て登場
春 それは出会いの季節であり、別れの季節でもある。
私こと、東雲 朱里(しののめ あかり) 15歳は田舎から都会に引っ越してきた美少女JK
「ふぅ…とりあえずはここに置きますか」
現在、私は荷物を部屋に置いて一段落している所である。
「明日は入学式だし、制服だけ出して後は学校から帰ってきてからでいいか、それにしても多いな…印でも付ければ良かった」
などとグチグチ言いながら制服が入っている荷物を探している最中だ
「あったあった…って何だこの壺?」
制服と一緒に出てきた壺、よく見ると封印の御札が貼ってあるじゃねぇか!?誰だよこんなの入れたやつ
「いくら大陰陽師の家系だからって封印解いて化け物が出てきも対処出来ないやこれは」
私の家系 東雲家は平安時代から続く由緒正しき陰陽師の家系である。っといっても今は血が薄くなっているためか私の家族、母と祖母は式神を使役して悪霊退治が関の山だ。
「私はその式神すら使役出来てないけどね。今どき悪霊があーだこーだって言ってると変な人扱いされて青春謳歌出来ないや、都会に住んでる間は陰陽師のことは忘れよう!都会最高!待ってろ!私の青春ライフ!」
掛け声とともに軽くジャンプして着地した瞬間、バランスを崩して、そのまま私はドンガラガッシャーンっという激しい音とともに崩れ落ちた。
「痛てて…怪我の方は大丈夫そうだけど、ガッシャーンって音はまさか…」
恐る恐る手元を確認すると壺は無く、粉々になったであろう壺が割れた光景が目に入った。
「嘘でしょ…「どっわはは!!人間、よくぞ妾を封印から解いてくれた!!」
目の前には裸で狐耳、顔には独特なペイントが入っている私と年齢が変わらない女の子が立っていた。
「んんん?人間どうした?まさか妾の神々しい姿に驚いたか?」
「ふ…」
「本来は人の身でありながら妾の姿を見ることは許されないのだが、お前は特別「不審者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「のじゃぁぁぁぁ!!」
「うええええん!!!こいつ不遜の極みじゃ!!!いきなり殴られたのじゃ」
「ごめんなさい、いきなり目の前に全裸の女が立っていたら誰だって殴るわよ」
「酷いのじゃ!酷いのじゃ!あんまりなのじゃ!」
「とりあえず服着なさいよ、同じ女同士でも目のやり場に困るわ」
荷物から出した適当なパーカーとズボンを狐の女の子目掛けて放り投げた。それにしても出てきたってことはこいつが壺に封印されていたってことになるのよね???
「そうじゃよ」
あ、やっぱり?いきなりどこかの風呂屋からワープしてきたとかじゃないのね
「妾をなんだと思っているのじゃ!?」
「ってかさっきから私の心読んでる?」
「お、気づくのが早いのう、そうじゃよ、妾は妖狐だから人の心が読めるのじゃ」
「妖狐……」
式神を使役出来ないポンコツ陰陽師でもわかる。妖狐とは強い妖力を持つ狐の妖怪、その歴史は古く中国やインド、ここ日本でも傍若無人の限りを尽くした生粋の悪者であることを。
「安心するのじゃ、長い間封印されていたせいで妾の力は無に等しい」
「えっ?まじっすか?」
「先程の攻撃受けていたじゃろ?力があったらあんな攻撃喰らわんわ」
あぁそういえば食らっていましたね
「ふむ、さてどうしたものか、くそぉ!!忌まわしき東雲の者たちめ!!妾はにく…ちょっと待ってよ」
そんな目で私を見るな、私は悪くねぇ、文句は天国にいるご先祖さまに言え
「くっ…!なら妾は決めたぞ!力が戻るまでお前に付き纏って人生台無しにしてやる!」
「ちょっ!?私は関係ないでしょ!!」
「うるさいのじゃ!うるさいのじゃ!妾はこれと決めたらぜっっっっっったい台無し似してやるのじゃ!」
「はぁ!?わけわからない!!」
「覚悟しとけよ小娘!!」
そういうと妖狐は部屋の中から消えた。
「なんなんだ…あの馬鹿妖狐」
残るのは静けさだけである
「はぁ…初日から変な奴に絡まれたな…」
そう思いながら私は部屋の片付けをするのであった。
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