第4章 文化祭編

第63話 楽しい文化祭の始まり。

 雲雀さんの学校に到着。規模的に俺の通っている学校と同じだな。


 登校中は学校に向かう在校生からガッツリと見られた。雲雀さんは気にしていないようだったけど、俺は視線が痛かった。


 今も周りから見られている。無事にこの学校を出られるのか心配になってきた。殺意染みた視線を多数感じる。


 下駄箱に行くと雲雀さんは俺に為にスリッパを用意してくれていた。優しい。


「おいそこのイケメン」


 聞き覚えのある声がする。イケメンって誰だろうね。


「雲雀さん、どこに行きますか?」


 俺は雲雀さんに尋ねた。


「おい徳川和希。聞こえてるんだろう。返事をしろ」


 徳川和希って同姓同名がいるんだね。世の中狭いね。


「和希様。無視しないで」


「おまえ和希様はやめろぉぉぉ! 恥ずかしいだろっ」


 油木あぶらぎてるが俺を呼んでいた。分かっていたけどめんどくさい事になりそうな予感がしたので無視しいていた。


「じゃあ。和希君。俺と勝負してくれ」


 顔をテカテカと光らせながら油木あぶらぎてるは言った。勝負? イキナリ何ですかね?


「雲雀さんをかけての勝負なら断る。俺には何のメリットもない」


 負ける気はしないけどね。


「雲雀は関係ない。そんな鬼畜な女はコッチから願い下げだ」


「おまえ、死にたいらしいな。今死ぬか? 雲雀さんを侮辱するのは俺が許さん」


「あ、いや。ごめんなさい。調子に乗ってました」


 まぁ、挑発と分かっていてもカチンときた。馬鹿かこいつは。言葉を選ぼうよ。


「で、勝負ってなに?」


「野球部がグラウンドで文化祭の出し物をする。その出し物とは来客参加型の野球部員との対決。

 来客参加者がバッターとピッチャー好きな方を選んでの三球勝負。ヒットを打てるか打てないかで勝負が決まる単純なものだ。それで和希君と勝負したい」


「俺は野球は素人なんですが?」


 油木光が俺の過去を知っているのか鎌をかけてみよう。


「だからだ。親の七光では勝てないからな。実力だけでも勝ちたい」


 俺の過去は知らないみたいだ。だけど……うわぁぁぁ。クソザコだ。


「いいよ。受けようかな。何時に行けばいい?」


「十時から午前中開催だ。その間に来るといい」


「分かった。行くよ」


「ふっ。痛い目に合わせてやる。覚悟しておけ」


 捨て台詞を吐いて油木あぶらぎてるは去っていった。はいはい。頑張ってね。


「ふふ、和希って腹黒いね。素人だなんて」


「まぁ、高校野球って硬式でしょ? 俺は軟式しか経験ないし、ブランクもありますからね。素人同然ですよ」


「でも負ける気はないんでしょ?」


「もちろんですよ。自分の得意分野で素人に勝とうとするクソザコ君には痛い目に遭ってもらいましょう」


 それから俺は雲雀さんのお友達に会いに行った。俺を紹介したいとの事。友達に紹介か。なんか嬉しい。


 ◇◆◇


 雲雀さんの案内で教室に行くと十人くらいの女子がいた。おいおい多すぎないか? 二〜三人と思っていたよ。


 しかも雲雀さんに負けず劣らずの美人さんばかり。この学校、女子のレベル高くないですか?

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