第49話 好きって告白しよう。

 和希に『万倍かわいい』って言われちゃったぁ。


 めちゃめちゃ喜んでいるのがバレそうだったので適当な理由を言って電話を切った。


 嬉しすぎて心臓バクバク。鼻血が出そう。


 水族館デートか……いいな。和希のお相手は伊藤いとうはなちゃんだったかな?


 あはは。やるな小娘! ブタを飼い慣らすなんて——


 ——あっ、いけないいけない。私おこしてた。うっかり暗黒雲雀ちゃんが出ちゃった。てへっ。


 和希は言っていた。


『花ちゃんは普段自己主張しない。俺を誘うなんてどれほどの勇気を出したんだろう。だから断らずに行くことにしました』


 だってさ。


 はい、ぜぇぇったい嘘っ! 内容は本当だとしてもその言葉は後付けだね。お姉さんには通用しないぞ。


 和希は誘われた時は『ヒャハー! やったぜぇ。かわいい子に誘われたぁ。行く行くぅ』って思ったはず。


 ぐぬぬ。やっぱり危惧していたことが起こりはじめた。コレから先も和希にジャンジャンお誘いが来る。


 むむむ。困った。遠距離は不利だよ。気軽にデートに誘えない。


 いつか和希のハートを射止める子が出てくるかも……。


 私は和希に『デートしちゃダメ』って言えない。そんな権限はない。彼女じゃないしね。


 う〜。どうしよぉ〜。ヤバイよぉ。


 ……ん? かの……じょ? 彼女! そうだよ和希の彼女になれば良いんだよ!


 告白だ! 好きって告白しよう!


 断られるかもしれない。それでもいい。和希に彼女が出来たら告白はできない。


 電話やチャットで告白は絶対ダメ。直接会って告白しないとね。でもいつする?


 ——そうだ! もうすぐ文化祭がある。私の高校は日曜日に文化祭。一般の人も来場可能!


 和希を文化祭に呼んでその時に告白だぁ。


 私の決意は固まった。一ヶ月後の十一月上旬の文化祭で私は和希に告白する。


 でも……文化祭までに和希に彼女ができる可能性はある。だけど普通に告白してもつまらない。


 それに文化祭で告白するには理由がある。私の通う学校は文化祭の時に学校一の美少女を決めるミスコンがある。


 それで優勝して告白すると必ず成功する。と言うか断れない状況になる! 断ると血の雨が降る。無事に学校から帰れない!


 私は臆病者。確実に成功したい。和希が私の事を好きと思いたい。今までの和希の態度で可能性はかなり高い。


 でも勘違いかもしれない。『万倍かわいい』と言ってくれても好きとは限らない。人の心なんて分からない。


 だけどもう我慢の限界。不安だらけ。毎日和希の事ばかり考えてる。


 よし、毎日電話しよう。そしてさりげなく好き好きアピールしよう。『雲雀さん俺のこと好きかも』と意識してもらっちゃおう。


 うんうん、頑張るぞぉ〜。考えがまとまったから勉強しよ〜っと。


 そして私は机に広げていた教科書と参考書の問題をバリバリ解いていく。いつもより集中している気がする。


 私は保育士になりたい。だから勉強する。恋してるからって勉強を疎かにしないぞぉ。

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