第33話 ラブラブな二人。
「和希ゴメン。お腹いっぱいになったら急に眠気が来ちゃった。ベッドで一眠りしていい?」
「う、うん。どうぞ……」
雲雀さんはベッドに横になった。はぁ……。俺って一緒にいても眠くなる程度の男なんだね。
そういえば、じいちゃんの家で二人きりの時は何話してたかなぁ? 確か……俺は推しの配信を見て、雲雀さんは次の日の勉強の課題を作っていた。
……あれ? もしかして……二人きりの時は会話
をほぼしていない?
うーん。ま、まぁ。推し優先にしていたからね。仕方ない仕方ない。ははは。
「お日様の匂いがする。いい匂い」
雲雀さんは嬉しそうに言った。俺がいない時沙羅が部屋の掃除していたからね。布団も干していたんだろうな。沙羅ちゃんありがとう。
雲雀さんは俺を見ている。どうしたの? あっ、そうか。
俺は座っていた椅子から立ち上がり、ベッドに近づいた。そして雲雀さんの足下にある夏用のタオルケットを取った。そして雲雀さんにかけた。
「ありがと。和希は優しいね」
「エアコン効いてますからね。寒いかなと思って」
雲雀さんの顔が赤い。タオルケットで暑いのかな?
「かーずき」
そう言って俺に向けて手を伸ばす雲雀さん。眠いんじゃないの?
「どうしました?」
「手、握って。安心して眠れそうだからね」
はい? いや。子供じゃないんだから……。
俺が黙っていると雲雀さんは頬を膨らませた。
「むぅ。繋いでくれないんだ。指輪さんも悲しいって言ってるんだけどな」
「指輪さんが悲しい?」
何言ってるのかな? 意味がわからない。とりあえず座ろう。なんだか長くなりそうな予感。
そう思いベッド側の床に座った。
「私がつけている指輪と和希の指輪は何?」
「何って……夏祭りの指輪?」
「そうだね。それにペアリングだよ。二つで一つの指輪。だから私の指輪さんが和希の指輪さんと離れていたから寂しいんだって。だから……ね」
指輪の擬人化ですか? コレは手を繋がないと終わらないやつですな。
そう思い、指輪をしている手で繋いだ。おっふ。ドキドキします。
「えへへ。嬉しい。会いたかったよ〜」
嬉しい? 会いたかった? 指輪がですよね? 眠くなりすぎて頭がボーとしているのかな?
「……私ね、男の人と手を繋ぐのは緊張して出来ないんだよね」
「ん? あれ? 元カレさんと手は繋いだ事ないのですか?」
「うん。繋いだ事ないよ。恥ずかしさもあったからね」
ほう。イケメン君とは手を繋いでいないと。『緊張して恥ずかしい』って……かわいすぎでしょ。
「でも俺とは手を繋ぎますよね?」
「だって、和希は大丈夫だから。緊張しないし、安心する」
……それは恋愛対象として見ていないって事なのかな? まぁ、うん、分かっていた事ですけどね。……シクシク。
「じゃあ、おやすみ。手は離しちゃダメだからね」
「はい。分かりました」
雲雀さんは目を閉じた。……天使か! 寝顔がかわいすぎる。ちょ、写真撮りたい! くっ、携帯端末は勉強机にある。手は離せない。ちっくしょー。
ぐぬぬ。……でも、寝顔を写真で撮っている姿を沙羅に見られたら、『変態キモお兄ちゃん』って言われて嫌われそうだな。……諦めよう。
……マズい。俺も眠たくなってきた。昨日寝れなかったのが今頃蝕んでくるなんて……。くそう睡魔め。
くっ……雲雀さんの寝……顔をずっと見て……いたいの……に……。
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