第26話 ジュピタン到着

この世界で言う天気予報とは現世によるものと似て非なるものであり、天気を予測するものでは無い。ヒントを出すとするならばこの世界には天神様が存在すると言うことだろう。


さて…エンペラースネイクを食した一行はジュピタンへと急いだ。まだメイクード王国は乗っ取られたままだからである。住民たちの奇行。本来ならばすぐにでも対処したいところだがスプライト率いる魔族が強敵であることから他国へ援軍を求める事になったのである。


しかし……メイクード王国を発ってはや5時間。


「まだか…まだつかぬのか…」


バルムス王が完全に移動に飽きちゃったみたいですね。しょうが無いな……じゃいっちょやりますか!


「じゃいっくよ!本日は晴れ!足元には旋風が巻き起こるでしょう!」


「ちょ、ちょい!待って!!」

「それは駄目なやつじゃーーー!」


は?誰だよ飽きたって言ったやつ。僕も飽きたんだよ。だからビューンと行こうぜ!


べしゃ!べしゃ!


「ぶへらっ」「あぴゃー」


アイリスは何度も旋風に乗ることで慣れたようだったがメシウスとバルムス王は見事に顔面からずっこけた。


しかしそれでも今回は止めなかった。


「旋風!」


べしゃ!べしゃ!


「ぶごっ」「へれにゃー」


「旋風!!」


べしゃ!べしゃ!


「………ほべらっ」「うぴょーー」


「旋風!!!」


べしゃ!


「ひゃーー!」


お!?バルムス王成功したじゃん。


「あと一人だな。乳が邪魔なのか?邪魔なら切ってやろうか?あぁん?」


オッパイ星人のライネルは心にもない事を言ってメシウスを鼓舞させようとする。


「旋風」


………おお。見事全員成功である。


泥まみれとなったメシウスとバルムス王の顔はやりきったのかどこか晴れやかだった。


「さぁ!急いで行こう!」


僕らは ジュピタンまでの道のりを今までの10倍速の速度で走り抜けていく。


「ぬ?あれがジュピタンか?」


バルムス王が問う。


「はい。バルムス国王様。あれが精霊国ジュピタンです。」


目の前に広がる巨大な樹木。《世界樹》と謳われるその植物は万物の生と死を司ると言われている。


「ほへぇ~でっかい木ですね!」


「この木なんの木?」


「気になる木!」


「「「「世界樹だろ!」」」」


ジュピタンの兵士たちの的確なツッコミが炸裂する。


そう──ここは既に緑の楽園。精霊国ジュピタンであったのだ。

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