謎の職業《天気予報士》は全ての魔法使いが羨む職業でした
たまごちゃん
プロローグ~旅立ち
第1話 プロローグ
僕の名前はスタン・ライネル。5歳だ。前世からの記憶がある僕は周囲から神童と言われ騒がれてはいるが単に昔の記憶があるに過ぎない。
前世の僕は貴族に生まれ非凡な人生を送った。武官であったが国の最重要事項にも携わり、無論金も女にも困らなかった。正妻を入れて3名の嫁達と仲睦まじく生活を送っていたがある日の夜、寝たのを最後に記憶が無い。まぁ暗殺されたのだろう。そんな人生だった。
あくる朝、目を覚ましたら体は動かないし、声が発せないのだ。突然のことに驚いたがまた転生したのかと納得してしまった。
そう。何を隠そう俺の転生は2度目なのだ。元々日本でしがないニートをしていた俺は前世で無双しようと努力しまくった。まぁその結果がまぉまぁ高い地位と3人の可愛い嫁だったのだ。
本日は誕生日。転生した日から5年経った祝いの日だ。5歳になった僕に家庭教師が就く日でもある。誕生日のお祝いに何が良いかと言われたが物よりも欲しいものがあると頼み込んだのだ。新たな世界に生まれて初めての魔法の勉強である。実に楽しみだ。生まれは農民なのだが所有面積も広く農民にしては裕福な家庭であった。
「お父様。お母様。家庭教師の先生はまだですか?」
『ふふふ。ライネルはそんなに待ち遠しいの?子供といえば勉強よりも遊びが好きのにおかしな子ねぇ。』
『ライネルは優秀な魔法使いになるんだもんな?』
「はい!お父様。僕は魔法使いになってお父様とお母様に楽をさせてあげたいのです。」
2人は顔を見合わせてふふっと笑った。
僕の母スタン・エリザベスは元宮廷魔法使いである。白く美しい髪を束ねた女性で中肉中背。「最近ちょっと太ったかしらー」が口癖だ。宮廷魔法使いとは宮廷に仕える花形の職業で得意属性によって仕事が異なるらしい。母は水や氷の魔法が得意で戦争に行った事もあるらしい。戦争で前線にて戦うのは専ら冒険者達であり、母は後方で補給部隊をやっていたのだとか。
父スタン・レイクードは鋼血流という血を鋼のように硬くして戦闘する武道の免許皆伝だと言う。ハゲ頭にでっぷりとした体型から見て全く武道に精通しているようには見えないのだが。しかし時々グラスが落ちそうになる等のハプニング時に咄嗟に素早く動けるのは凄いと思わざるを得なかった。まぁその後惨劇が起こるのはご愛嬌だ。
そんな素晴らしい父母を持つ僕は否が応でも期待されていた。魔法使いなら宮廷魔法使いに。武道なら鋼血流を継ぐ者として。
『初めまして。魔法魔術協会から来ました魔法講師のニーファンです。よろしくお願いします。』
「は、初めまして!」
これは……途轍もない美人が来たもんだ……
ニーファンは魔女帽子を深く被ってはいるがピンク色の髪を腰まで伸ばし、目は大きくキラキラと輝いてみえる。薄く伸ばした紅も真っ白な肌には十分なアクセントで妖艶さを演出している。年齢としては15歳位だろう。それにしても胸がデカい。メロンだ。いや。スイカかも知れない。
「ふふふ。君がライネル君か。噂通り変わってる子ね?」
えっ!?どうして第一印象が《変わってる》になっただろうか?それは僕の動作が原因だったようだ。この時僕は《スイカ》に出会った衝撃から思わず両手を胸の前で合わせ拝んでいたのだ。そりゃ変わってる子と言われるのも当然か。ごめんなさい。もーちょっと拝ませてください。
ニーファン先生は高度な魔法技術を持った先生だったが、最も長けている事が鑑定スキル持ちという事だった。この世界では《スキル》と呼ばれる特技のようなものが生まれた時から1人につき1つだけ《神様》から与えられるのだと聞いた。
そのスキルによって魔法使いや他の職業を決めると言っても過言ではないようで、ニーファン先生のスキルは《観察眼》というスキルで相手にあった魔法を選ぶことで効率の良い魔法属性を知ることが出来るのだとか。
母のスキルは《詠唱短縮》であり、魔法使いや魔術師としては有用なスキルだったらしい。
ちなみに父のスキルは《筋肉強化》と単純な身体強化のスキルだったらしい。頭も残念だがスキルも残念だったのだ。はっはっは。流石父上だ。
そして今日僕のスキルもニーファンの観察眼によって明らかになるのだったが……
そのスキルは──《天気予報》だった。
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