灰色の世界にみたものは

プロローグ

いつからだろう。何もかもがむなしく、つまらない。まるで世界が色をなくしてしまったようだ。ゲームも読書も楽しくない。ただみんなが言うので、楽しいと自分の中に言い聞かせてきた。冷めたやつだと言われるのが嫌で、なにをやるのも楽しそうにするうちに、いつも楽しそうなやつだと言われるようになった。それでいいと言い聞かせ、ただただ愛想を振りまいた。だが、彼女との出会いで俺の世界は鮮やかな色を取り戻した。

幸せだった。彼女といれば、なにもかもが楽しい。今までの人生とはまるで逆だ。

彼女はありのままの僕を受け入れた。

自分の価値観が変わっていくのを感じた。

こんな日がずっと続けばいい。

当たり前にそんな未来が訪れると思っていた。

ある日、けたたましいクラクションとともに、俺の世界は崩れ去った。

彼女が思い出させてくれた鮮やかな色をのこして。