第88話 盟友

接近した愛聖騎士の顔に目を向けた金騎士は、夢見心地ゆめみごこちといった表情で、軽く頬を染めて口角が僅かに上がっている。


愛聖騎士は、そのまま顔を金騎士の顔へと近付け、赤く艶やかな唇から割って出た舌で、傷跡を下から上へと舐め上げる。


「あぁ…」


金騎士は辛抱しんぼうできずに声を漏らしてしまう。


「さあ。行くのよ。次はあなたが先導しなさい。あの女を使いなさい。」


「…は…はい…」


唾液だえきで濡れた顔を拭いもせず、息が抜けるような返事を返す金騎士。


顎から手を離した愛聖騎士に対し、金騎士は腕を胸の前で交差して、親指を絡めて拳を握る。

その後、踵を返して天幕から出ていく。


「んふっ…」


その背中を見送った愛聖騎士が、舌なめずりをしながらあやしく笑う。


「皆…私が思う存分、愛してあげるわ…」


ーー・--・--・--・--・--・--



黒雲山の横穴で眠り、数時間後。


「ご主人様。」


覚醒かくせい間近となっていた耳に届く、ニルが俺を呼ぶ声。

意識が一気にクリアになり、覚醒していく。


「おはようございます。」


「おはよう。」


横穴の中は相変わらずの状況だ。


「シンヤー!」


ちょうど良いタイミングで横穴の外からザンティの声が聞こえてくる。

ミルナレも声に気が付いたらしく、俺の方を見ている。


横穴から顔を出すと、ザンティと、戦鎚をかついだアンティとカンティの姿。


「今降りる!」


ニルに手を差し出すと、迷うことなく手を取ってくれる。

ニルを抱き寄せて黒雲山の急斜面を滑り降りていく。


「よく眠れたか?」


「ああ。お陰様で完全復活だよ。」


「そいつは良かった!どわっはっは!」


ザンティが腰に手を当てて大きな声で笑う。


「ミルナレはどうした?」


「気が付いていたようだから、直ぐに降りて」

ドゴーン!


真後ろで着地の凄い音が聞こえる。


昨日危ないとか言ってなかったか…?俺の気のせいか…?


「あんた達。準備は出来ているの?」


「母ちゃん!ばっちりだぜ!」


「……そう。」


ミルナレは、表情に一瞬だけ影を見せたが、直ぐにいつもの顔に戻ってアンティとカンティの頭を殴る。


ガンガンッ!


「負けたら承知しないよ!」


「おう!」

「うん!」


アンティとカンティは戦鎚を掲げて返事をする。


「んーし!行くぞー!」


ザンティが号令を掛けると、一同は先日アンティとカンティが破壊した、ボロボロの広場へと向かう。


アンティとカンティは、今まで剣を交えてきた相手の中でも、最強クラス。それは剣を交えなくても分かる。

俺もニルも、次第に緊張が増していく。


言ってしまえばただの手合わせだが、気を抜いたりして良い攻撃を貰えば、大変な事になる。主に俺とニルが。そうならない様に、最初から全開でいかせてもらおう。


「んーし!着いたぞー!」


ザンティの声で、思考から戻ってくると、既に目的地へと着いていた。


「ご主人様…」


ニルが、少し心配そうに俺の事を見る。ザンティやミルナレとの話があった後だ。俺が多少なりとも気にしている事が分かっているのだろう。


「大丈夫だ。今はこれにだけ集中するよ。」


「…はい。」


納得してくれたニルが、黒盾と蒼花火を構える。


「両者良いな?」


俺は鞘のままの薄明刀を正面に構える。


「ん?シンヤは抜かないのか?」


当然そう言われるとは思っていたが、薄明刀の斬れ味は尋常ではない。反則級だ。剣を交えるなら薄明刀の性能抜きで語り合うべきだろう。


「舐めているわけじゃない。」


「…そいつを聞けて安心したぜ。」


アンティの顔がいつもの表情から厳しいものへと変わる。随分と巨人達の表情も分かるようになってきたものだ。


「んじゃ……始めぇ!!」


ザンティの腹に響く声が広場の中を反響する。


「ぬん!!」


始まると同時にアンティが動く。


何トンあるか分からない戦鎚を、軽々と持ち上げて、俺の方へと思いっ切り振り下ろす。


バギバギバキッ!!


既にヒビの入った地面に、更にヒビが入る。避ける事は出来るが、圧力が凄い。それと衝撃も。


「こっちも行くぞ!」


先手は取られたが、そんなに簡単にペースを握られるわけにはいかない。


振り下ろされた戦鎚を足掛かりにして飛び上がり、アンティの顔面目掛けて鞘入りの薄明刀を振る。


カーンッ!


アンティの目の前に差し出された、銀色の戦鎚が俺の攻撃を止める。カンティが横からアンティを守ったのだ。


「むん!」

ブンッ!


カンティの戦鎚が、そのまま俺を押し退けていく。空中にいることを除外したとしても、力じゃ全く歯が立たない。


タンッ!


背後から聞こえてくる地面を蹴る音。俺は空中で無理矢理体勢を立て直す。後方に飛んでいく俺の真横を、ニルがすれ違って跳んでいく。


「はぁぁ!!」


ニルの狙いは戦鎚を振り切ったカンティだ。タイミングはバッチリ。これ以上無い程の連携だ。


「おっと!」


ガキンッ!


しかし、アンティの声と、高い金属音が鳴り響くと、ニルが俺と同じ様に飛んでくる。

今度はアンティが、戦鎚の柄を立ててニルの攻撃を防いだのだ。


バチバチと戦鎚の柄の周辺に火花が残っている。


「シンヤもニルも、とんでもなく速ぇなぁ!」


「僕達には無い速さだね。」


アンティとカンティの顔が、ニヤけていく。


「力じゃ勝てる気がしないな。」


「触っただけで吹き飛ばされました。」


ニルは後ろにいて分からないが、俺の顔もニヤけていくのを感じる。


殺意など微塵もない。ただただ互いを知るための剣。それがこんなに心地良いものだとは、知らなかった。


「魔法は使わねぇのか?」


「アンティ達も使う気が無いんだろ?なら俺達だって使わない。」


「…ぶわっはっはっは!」


楽しそうに笑うアンティ。


互いに得意な戦い方は違う。でも…これなら…


「これなら本気でやっても良さそうだなぁ!」


俺の心の声を代弁だいべんするアンティ。


二人の口元がそれまで以上にニヤリと緩む。


様子見は今の一合いちごうで十分だった。


「行くぞぉ!」


「うおぉぉぉ!」


アンティが走り出し、俺がそれに呼応する。

普段ならば乗せられまいと考えるところだが、今はそんな細かい…いや。細けぇ事はどうでもいい!


「ぬおぉぉぉぉ!」

ブンッ!!


胸を大きく開き、戦鎚を片手で横薙ぎに振るアンティ。地面に這いつくばって避けると、風と音が頭上を通り過ぎていく。


「げっ?!」


小さい体を利用させてもらった。


戦鎚を振り切ったアンティの体は、完全に捻れ、顔だけがこちらを向いている状態だ。

剛腕のせいで、外した後の隙がデカい。


次は俺の番だ!


「おぉぉぉ!」


地面を蹴って一足でアンティの足元まで寄る。


「させるかぁ!」


俺の行動を予測していたカンティが、アンティを守ろうと戦鎚を振り下ろす。


「それはさせませんよ!」


いつの間にかカンティの足元まで走り込んでいたニルが、飛び上がると、踏ん張ろうとしていたカンティの左膝裏に両足ドロップキックを打ち込む。


痛みは無いかもしれないが、カンティは左足の踏ん張りを失って、大きく体勢を崩してしまう。当然ながら、振り下ろそうとしていた戦鎚はヨロヨロと行き場を失ってしまう。


ニルの声が聞こえた段階で、俺はアンティの顔面目掛けて飛び上がり、既に体はアンティの目の前にある。


「ぬん!!」


体を捻ったまま、アンティは左腕のみを振って、空中にいる俺の体を叩き落とそうとする。普通ならばそんな無理な体勢で拳を振っても、赤子のパンチ程度の威力しか無いが、巨人族の赤子パンチは、俺達にとっては強パンチだ。当たったら全身打ち身になってしまう程度の威力はある。


ブンッ!


振られた拳が目の前に迫ってくる。


「ご主人様!」


ニルの俺を心配する叫び声が聞こえる。


俺は鞘に入った薄明刀を、迫り来るアンティの拳の上にそっと触れる様に乗せる。

そのまま、アンティの拳から腕の上を、刀と共に体を回転させて転がっていく。


使い方は応用編だが、父から受け継いだ剣技、泡沫うたかたという技だ。


相手の攻撃の打点から僅かにズレた位置で柔らかく受け、相手の攻撃の勢いを利用して回転し、斬りつける技だ。


まるで水面に浮かんだ水泡の、まさに泡沫のように、掴み所が無い動きと、的確な刀の扱いが必要になる。

実際に人に使った事は無いが、抜き身の刀で行えば、通った後には水泡が弾けた様に血が飛び散るだろう。


鞘にしまっておかなければ、アンティの腕はズタボロになっていたはずだ。俺はアンティの腕の上を転がり、肘あたりまで来た所で腕を蹴り、もう一段階高く跳ぶ。


既に体はアンティより高い位置にある。


「兄者ぁ!」


カンティがニルに向けて腕を振り下ろすが、ジグザグに走るニルの動きに追い付けず、地面を打つ。


「むぅ!」


「ご主人様直伝じきでん!!」

ガッ!


ダメ押しと言わんばかりに、ニルがカンティの立てられた右膝に飛び乗り、全力で飛び上がる。


「昇〇拳!!」

ゴンッ!


「むあぁぁぁぁ!」


完璧だ。片方の拳を上に突き出し、横に僅かな回転を加えながら飛び上がるニル。完璧に決まった。

カンティは顎をカチ上げられて、上を向く。

最後の声。俺にはエコーが掛かって聞こえたぜ…ニル。


いや…出来心だったんだ。この世界の身体能力ならほとんどの事が出来てしまう。そんな事に気が付いた時に、ニルから体術を教えて欲しいと言われ、最初は真剣に教えていたのだが……

出来心だったんだぁー!


俺は心の声も込めて、アンティの眉間に刀を振り下ろす。


「あぁぁぁ!」

バキッ!


「ぬあっ!」


二人とも、衝撃に耐えきれず、後ろへと倒れていく。


ドカーン……


大の字に倒れる二人。


K.O.


…もうやめておこう。ニルにもその技は封印だと言っておかなければ。いや、あの時教えた技は全て封印だと…


遊んでいる様に感じるかもしれないが、ニルは真剣だ。俺も最後の最後まで本当に真剣だった。

実際に、俺達が圧勝に見えて、紙一重な試合だった。

俺とニルは掠りでもしたら即終了だし、最初の様子見の時に、アンティとカンティが本気で俺達を吹き飛ばしていたら、その時点で終了していた。

その後の展開でも、二人がただ全力で戦鎚を振るのではなく、もっと俺達の事を見て攻撃してきたならば、結果は違っただろう。これは二人の性格故の展開だったかもしれないが…


どちらにしても、互いに剣を交えたからこそ分かる、相手の凄さを感じていた。そう感じてくれていると感じた。とても不思議な感じだ。

ニルの顔を見ると、驚いた…と言っていいのか分からないが、不思議そうな顔をしている。彼女も何かを感じているのだろう。


「………ぶわっはっはっは!」

「………ぐわっはっはっは!」


大の字になっている二人が、なんだか嬉しそうに聞こえる笑い声を上げる。


「父ちゃん以外に負けたのは何年振りだろうなぁ!」


「しかも相手は人族の二人だよ!ぐわっはっはっは!」


ボコボコッ!


「なに負けて笑ってんだい!このバカ息子共が!」


ミルナレが頭を殴っても、意に介さず、笑い続ける二人。


「ぶわっはっはっは!」

「ぐわっはっはっは!」

「どわっはっはっは!」


いつの間にかザンティまで混じってる?!


「良いところまで行くとは思っていたが、まーさか勝っちまうとはなぁ!」


ザンティがそこまで言う程、アンティとカンティは強いのだ。

これが試合でなく、殺し合いであったならば、違った結果になっていたかもしれないが…これは試合。そして、俺が望んだのは剣による会話。

だからこそ、アンティとカンティは心のままに戦鎚を振ったのだ。それが負けを招く行動だと知っていながら。

手を抜いたのとは違う。ただ、それでも巨人族は、自分達が人族に負けるとは思っていなかったのだろう。


「ぬん!」

「むん!」


アンティとカンティはその場に胡座あぐらかいて座り、俺とニルに視線を向ける。


「シンヤ。ニル。二人の事はよく分かった。」


「特にニルには驚いたよ。奴隷の事はよく分からないけれど、女性の身で有りながら、そこまでの身のこなしと剣術。身に着けるのは並大抵の事じゃ成し得ない事だと思う。」


「毎日…欠かすことなく、ご主人様に剣術の指南しなんを受けてきましたので。」


「俺にはカンティみたいな細けぇ事は分からねぇ。ただ、二人の剣は好きだ!気持ちが良い!」


二人なりの称賛。素直に嬉しい。


「少なくとも…俺とカンティの脳裏には、シンヤ達と共に戦場で駆ける景色が思い浮かんだぜ。」


「ぐわっはっは!そうだなぁ!僕もそんな景色が見えたよ!」


「俺達だけならシンヤの為に、いや。シンヤの誇りの為にこの剛腕を振っても良い。それがどんな理由であれ…な。」


アンティとカンティの目は鈍く光り、それが本気だと伝わって来る。

俺の剣から、神聖騎士団の連中に対する気持ちがどれ程のものかという事も汲み取ってくれたのだろう。その上で、俺を死んでほしくない相手として認め、共に戦いたい。そう言ってくれているのだ。


「後は酒の為にね。」


「ぶわっはっは!そうだったなぁ!」


二人は一頻ひとしきり笑った後、横に置いてあった戦鎚を手に取り、目の前に水平となるよう持ち上げる。


「俺達、巨人族はこの戦鎚しか使わねぇ。それは、他の武器では俺達の剛腕に耐えられねぇからだ。」


「この剛腕。シンヤとニルの為に振るよ。」


「たった今、この時より、俺とカンティは、シンヤとニルの盟友めいゆうとなる事を誓おう。」


「シンヤとニルの誇りを貫く為の剣に、僕達の戦鎚も加えてもらうね。」


「これ程心強い味方はいないな。ありがとう。」


素直に礼を言う。


後ろで黙って聞いていたザンティとミルナレは少し複雑な心境のようだが、割って入るようなことはしなかった。


「ただ…」


俺とニルの顔を見ながら、アンティが戦鎚を降ろす。


「俺達巨人族から引っ張るのは、後二人までにしてもらえねぇだろうか。」


「アンティ?!」


アンティの言葉に、ミルナレが声を荒げる。


同族の仲間が少なければ少ない程、その者達の生還率は少なくなる。四人。その数はいくら巨人族とはいえ、死ぬ確率の方が高い数だ。


「ミルナレ。」


ザンティがミルナレの言葉をさえぎるように腕をあげる。


「昨日集落に行って、全員で話をしたんだ。アンティとカンティに任せるんだ。」


昨日ザンティが集落に行った後、色々と話し合いがなされたようだ。


「俺達と、その二人は命を賭けて戦うと誓う。だから、四人。それだけで頼む。」


アンティとカンティは、この話し合いの中で、最も険しい顔をする。


本音を言えば、彼ら全員の力を借りたい。それだけで形勢は逆転すると言っても良い程の力だ。

ただ、彼らの力を借りられる。それだけでも十分な力添ちからぞえだ。元々はこの戦争に参加しなくても存続していける種族だったのだ。これ以上を望むのは、強欲ごうよくというものだろう。


「盟友…なんだろ?」


俺の言葉にアンティとカンティが険しい顔を崩す。


「俺達は対等の立ち位置のはずだ。頼む必要なんか無いさ。俺とニルは二人が来てくれるというだけでありがたいんだ。」


「…ありがてぇ。」


ザンティとミルナレが俺に話した事。この種族の存続についての話…

本能と、族王の一家としての責任。その間で彼らが出した結論がこれだったのだろう。

有難いのはこちらの方だ。彼らは、自分達の身を切ってまで、俺達に手を貸してくれると約束してくれたのだ。


「っ…」


ミルナレにしてみれば、これほど痛い事は無いだろう。


「母ちゃん。心配いらねぇよ。だって、シンヤとニルは負ける気なんて最初から無いんだ。そうだろう?」


アンティがニヤッと笑いながら聞いてくる。


「当然だろう。負ける気で戦いに挑む…なんてことするわけないだろう。絶対にあのクズ共は俺達が滅ぼす。」


「…ぶわっはっは!聞いたか母ちゃん!俺達は勝つ。勝つならこの戦鎚に誓って、先に逝ったりしねぇ!なあ!?カンティ!」


「ああ!兄者!死んだりしない!ぶわっはっは!」


死んだりしないと言い切る二人。その言葉にはいくつかの意味が込められている様に聞こえる。


「……はぁ…間違いなく、あんたの息子達だねぇ…」


「いいや。あいつらは、巨人族なんだ。」


ザンティは腕を組んで言い切る。


「これだから男ってのは…」


「どわっはっは!」


ミルナレは深く息を吐いて、ザンティは豪快に笑う。


「シンヤ。確かに俺達はあの神聖騎士団とかいう連中と戦うが、それは他の誰でもない。シンヤとニルの為だ。それだけは忘れないでくれよ。」


「そんな大事な事、忘れられるわけないだろう。その時が来たら…頼む。」


「ぬん!!」

「むん!!」


ゴウッ!

ギンッ!


アンティとカンティが戦鎚を大きく振り俺達の目の前に金銀の戦鎚が重なる。


「シンヤが言ったんだぜ。俺達はもう盟友だ。頼む必要はねぇ。いつでも呼んでくれ。」


「どこにいても、必ず駆けつけるよ。」


キンッ!


俺とニルは薄明刀と蒼花火を重ねる。


こうして、俺達は盟友となった。


「おーし…そうと決まれば、早速やらなきゃならない事が出来たな。」


「父ちゃん、母ちゃん。集落にいるゼイブとブルフルを呼んできてくれないかな?」


「任せとけぇ!」


ザンティとミルナレは集落の方へと向かっていく。


「何する気だ?」


「せっかく盟友になったんだ。互いのってやつを見せ合っておかねぇとな。」


アンティが立ち上がり、神聖騎士団が撤退した先を見る。


「それに、向こうもやる気みたいだしね。」


カンティも立ち上がり同じ方向を見る。山間からゾロゾロと現れる神聖騎士団の連中。


ピコンッ!


【イベント発生!…巨人族と共に神聖騎士団を制圧しろ

制限時間…六時間

達成条件…神聖騎士団の制圧

報酬…???


受諾しますか?

はい。 いいえ。】


「来たか…」


イベント告知が現れ、俺は、はい。のボタンを押す。


ピコンッ!


【イベントを受諾しました。】


「あれだけ情けない撤退をしたってのに、懲りねぇ奴らだな。」


金の戦鎚を肩に担ぐアンティ。


「歯が立たないと分かったはずなのに、この短期間で何か突破できる策でも見つけたのかな?」


銀の戦鎚を肩に担ぐカンティ。


全くの無策で突っ込んでくる程の馬鹿ではないだろうが…二人の力を凌駕りょうがする何かでもあるのだろうか。


「シンヤ達に手を貸すと決めた以上、俺達の不殺ころさずの規則は無くなった。全力でいくぞ!カンティ!」


「おうよ!兄者!」


ガンッと互いの戦鎚を打ち付け合う二人。

その顔はどこか嬉しそうに見える。

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