最上級職

「各自、神殿でクラスアップだな。クラスアップを終えたら……また捕まると面倒だから、俺の家に集合でいいか?」


 クラスアップが出来るのは自分の属性を祀っている神殿だ。


 風属性の俺、闇属性のメイ、水属性のヒナタ、光属性のヒロアキ、火属性のクロ。


 と、全員が見事にバラバラの属性なので別行動となる。


「あ、あの! 一応、最後にもう一度……相談してもいいですか?」

「うちもシャドーマスターの予定だけど……いざクラスアップするとなると不安になってきたかも」

「私はジェネラルでよろしかったですかな?」

「クラスは一度決めると変更は無理にゃ。一度リクにぃの家で話し合うのがいいと思うにゃ」

「……そうだな。クラスアップのミスは何をしても取り戻せないからな。一度、話し合うか」


 一秒でも早くクラスアップしたい衝動を抑え、俺たちは一度話し合うことにした。


「進化先のクラスは把握してるよな?」


 道中の雑談でクラスアップの話題は何度もしている。


「はい。私がなれるクラスは、『セイント』、『聖女』、『賢者』です。回復のスペシャリストはメグ様のクラス――『ハイプリースト』ですが、巫女から進化できません」


 俺の質問にヒナタが答える。


「それぞれのクラスの特徴は?」

「『セイント』は特殊な攻撃手段を習得するヒーラー職。『聖女』は補助魔法にも優れたヒーラー職。『賢者』は回復魔法のみならず、攻撃魔法も扱える万能職……で、合ってますか?」

「正解。で、ヒナタはどのクラスになるつもりだ?」

「はい。当初は『聖女』の予定でした」

「当初は……? 今は心変わりしたのか?」


 俺はヒナタの答えに首を傾げる。


「いえ、心変わりと言いますか……え、えっと……」

「ん? どうした?」


 歯切れの悪いヒナタに俺は優しく問いかける。


「リクさんにご質問があります!」

「なんだ?」

「今後も……今後も……私たちは今までと変わらず一緒にパーティーを組めるのでしょうか?」


 ――!?


 ヒナタは意を決して鋭い言葉を投げかけてくる。


 今の俺はリクだが、同時に【天下布武】の団長ソラでもある。


 【天下布武】に復帰すれば、今までのように自由に過ごすことは許されないだろうが――


「答えは、俺もわからない」

「ど、どういうことですか?」

「【天下布武】の団長に戻れば、今までのような好き勝手は許されないだろう……但し、今の俺のレベルは60で、俺の最高到達階層は第五一階層だ」

「はい」

「レベルが100を超えているマイたちの横に並ぶには力不足だし、近く迫った緊急クエストを迎えるのも別の階層になる」

「ん? ってことは、うちらはこれからもずーっと固定パーティーになるんだね!」


 俺の言葉を受けて、メイが割り込んでくる。


「現状であれば、俺はこのメンバーで行動することこそが最適解であると思っているが、レベルと階層が最前線に追い付いたとき――誰と共にいるのが最適解なのかはまだわからない」


 走り続けていれば、いつか最前線には追い付くことができる。


 最前線のメンバー――例えば、マイたちも常に走り続けているが、進むべき道の険しさや必要とされる経験値が桁外れに違うから、いつか追い付くだろう。


「え、えっと……私たちのレベルがマイ様たちに追いついたら……リクさんは向こうのパーティーに……」


 ヒナタの声がどんどんと小さくなる。


「わからない、と言っただろ? 追い付いたその時に……俺たちが、【天下布武】の仲間たちが最上階を目指して突っ走っているなら、その時の最適メンバー次第だな。ひょっとしたら、風属性の俺が外れて、メイやヒナタがマイたちとパーティーを組む可能性もあるだろう」


「それはないです!」

「それはないよ!」

「ありえませぬな!」


 俺の言葉を3人が同時に否定する。


「まぁ、そんな訳だから……当分は一緒にいると思うが、未来はわからない、と言うのが答えだな」

「わかりました! これから先も一緒にいられるかは、私の頑張り次第ですね!」

「んー……そうなるのかな?」


 何かが吹っ切れたかのように、ヒナタは力強く答えた。


「私は――『聖女』になります! 回復の……そして、補助のスペシャリストとなって、皆さんを支えます!」

「了解。期待してるよ」


 ヒナタはクラスアップ先として『聖女』を選ぶことを決意した。


「うちは『シャドーマスター』の予定だったけど、『忍者』から選べるクラスって他になにがあるの?」

「……おい! 知らないのかよ!」

「あはは……うちは盗賊、忍者、シャドーマスターってIGOを始める前から決め打ちしてたから」


 メイが苦笑を浮かべる。


「『忍者』から進化できるクラスは、『上忍』、『シャドーマスター』、『ダークレイダー』だ」

「『上忍』は忍者の上位互換にゃ。新たな忍術が習得できるにゃ! 『シャドーマスター』はどちらかと言えばアサシンの上位互換にゃ。不意打ちに長けたクラスにゃ。『ダークレイダー』は探索に長けたクラスにゃ。便利なクラスだけど、メイねぇにはオススメできないにゃ」

「なんで?」

「『ダークレイダー』だけが、鎖鎌を得意武器としてないにゃ」

「あ! それは、却下だね」

「『上忍』も楽しいクラスだよな」

「そうなの??」

「使いこなせるかは不明だが、忍術はトリッキーな技が多いからな」

「単純にDPSを求めるなら、『シャドーマスター』のほうがいいにゃ」

「んー、確かに忍術も楽しいんだよね……」


 メイはここにきて進化先のクラスを悩み始めるのであった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(あとがき)


いつも本作をお読みいただきありがとうございます。


ごめんなさい! 更新時間遅れました!!m(_ _)m


月曜日の更新は不定期になりがちなので……ん??と思ったら、私のTwitterなどを見てくれると助かります🙏


今後も無限世界のトップランカーをよろしくお願いします!!

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