クラスアップ(上級職編)①
ヒナタに相談を持ちかけられた俺は、ヒロとクロも誘って一番広いヒナタとメイの部屋に集まることにした。
「全員のクラスアップ先について話し合うか」
「はい! よろしくお願いします!」
部屋に備え付けてあった椅子に座り仲間たちに声を掛けるとベッドに腰掛けていたヒナタが立ち上がり、頭を下げる。
「確認だが、メイはすでに決まっているよな?」
「うん! 『忍者』になる予定だよ!」
俺の問いかけにメイは笑顔で答える。
「クロはどうだ?」
「当初の予定は『細工士』の予定だったけど……このメンバーなら『鍛冶職人』の方がいいと思っているにゃ」
「そうだな。他人のクラスアップ先を強要することは誰にも許されないが、クロが『鍛冶職人』になってくれると助かるな」
「にゃは! わかってるにゃ!」
クロは俺たちの将来を考えて『鍛冶職人』を選択してくれるようだ。
「ねね、『細工士』って何?」
「『細工士』はアクセサリーを作成するプロフェッショナルにゃ。後は、装備品の見た目も加工出来るので一番お金を稼げるクラスにゃ」
「へぇ、そんなクラスがあるんだ」
「セカンドだと人気のクラスにゃ」
メイの質問にクロがすらすらと答える。
『細工士』の最大のメリットはアクセサリー作成だ。宝石と言う高価な素材を使用するが、ランダムで様々な特殊効果が付与出来る為、一攫千金を狙えるクラスであった。
「後は『獣使い』にも興味があったにゃ」
「『獣使い』ってアレでしょ! モンスターを仲間に出来るんでしょ!」
「そうにゃ。モンスターを従魔として登録することが出来るクラスにゃ」
「わぁ! 楽しそうですね! 私の家はペット禁止だったので……従魔は惹かれます!」
「にゃはは……確かに従魔をペットのように愛でるプレイヤーは多いにゃ」
従魔と言うキーワードを聞いたヒナタが目を輝かせる。
「従魔の力を最大限に引き出せるのは『獣使い』系統のクラスだけだが……ペット代わりでいいのなら従魔は他のクラスでも扱うことが出来るぞ?」
「え? そうなんですか!?」
「一部のモンスターがドロップする『卵』を孵化させることに成功すれば……従魔として登録出来るな」
「人気の『卵』は高値で取引されてるにゃ」
そういえば、
このままだと話が脱線しそうなので、俺は再び話題を本線へと戻すことした。
「ヒロは決まっているのか?」
「お恥ずかしながら……上級職の知識がなく……何も決まっておりませぬ……」
「ログアウトが出来るなら……ネットで調べるのが普通だ。上級職の知識がないのは恥じることじゃないさ」
「ありがとうございます」
ヒロアキが申し訳なさそうに頭を下げる。
「ヒナタも決まってないんだよな?」
「はい……私もヒロさんと同じく上級職の知識がありません。皆さんの貴重な休息の時間を頂いてしまい……ごめんなさい」
「俺たちは仲間だろ? 気にするな。何も言われない方がショックだよ」
「ありがとうございます」
ヒナタもヒロアキ同様に頭を下げる。
「現状決まっているのは、メイの『忍者』とクロの『鍛冶職人』。そして、俺の『トリックスター』だな」
「『忍者』と『トリックスター』なら火力はかなり上がるにゃ。ボクは戦闘だとサブタンクか……サブアタッカーになるのかにゃ」
「『忍者』は何となくイメージ出来るのですが……『トリックスター』はどんなクラスなのですか?」
「『トリックスター』は奇抜なアタッカー? 何て説明すればいいんだ?」
「よく言われているのが……『自分はなりたくないけど、敵に回したくないクラスNo1』の対人に特化したクラスにゃ」
「あぁ……確かに数は少ないが対人だと敵に回すと厄介なクラスだよな」
俺が自身の選んだクラスを上手く説明出来ないでいると、クロが一般的な『トリックスター』のイメージを説明した。
「対人に特化したクラスですか?」
「え? リクはPvPに備えているの!?」
「いや、『トリックスター』は、その先にある最上級職――『ジョーカー』を見据えての選択だな」
俺は『トリックスター』を選択した理由を説明する。
「まずはヒロのクラスから話し合うか」
俺は部屋に備え付けてあったメモに騎士からクラスアップ可能な上級職を書き出した。
聖騎士 STR◎ VIT◎ AGI△ RES◎
得意武器 槍、剣、棍棒
その他 中級魔法一部解放 盾の証習得
龍騎士 STR☆ VIT◎ AGI△ RES△
得意武器 槍、片手剣、大剣、ボーガン
その他 幼竜をテイム可能 盾の証習得
守護騎士 STR○ VIT☆ AGI▲ RES◎
得意武器 槍、剣
その他 盾の極意習得
モンク STR◎ VIT◎ AGI○ RES○
得意武器 ナックルガード、棍棒
その他 中級魔法一部解放 肉体強化習得 裸強化
「ふんふん……名前だけ見たら龍騎士が強そうだね!」
「でも、龍騎士のステータスは騎士と言うより戦士みたいな感じですね」
メイとヒナタが俺の書き出したメモを覗き込んで、感想を告げる。
「龍騎士は戦士からもクラスアップ出来るクラスだからな」
「そうなんですか!?」
「しかし、騎士経由の龍騎士と戦士経由の龍騎士だとステータスがかなり違うから、ある意味別モノだけどな」
「ついでに言うと、モンクも騎士だけじゃなくて僧侶からもクラスアップ出来るクラスにゃ」
上級職以降になると、クラスのみならずどのクラスを経由したかによってステータスやスキルが大きく変化する。最上級職にもなれば、経由したクラスのほうが重視される傾向すらあった。
「さて、ヒロがファーストインプレッションで一番良いと感じたクラスはどれかな?」
俺は当事者であるヒロアキに質問を投げかけるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます